「運」で人の生き方、働き方が左右される日本は、先進国?
先日、ある女性議員さんが「世の中に『待機児童』なんて一人もいない。子どもはみんなお母さんといたいもの。保育所なんか待ってない。待機してるのは預けたい親でしょ」とツイッターでつぶやいていてクラクラしました。 言いたいことはいっぱいあります。お金がないと子供はご飯が食べられません、生活できません。それでも保育園は親のためのものでしょうか。保育園に入れられなかったから寝る時間を削って働いて、精神的に追い詰められたり、体を壊して辛そうなお母さんを子供が望むのでしょうか。保育園は「保育所なんか」と切り捨てて良い場所なのでしょうか。 こんなことを議員という立場の人がつぶやいていることに暗い気持ちになってしまうのです。
「子どもは保育所なんか待ってない」と言われた保育園ですが…
私自身、認可保育園は出した第10希望まで全部落ちたのですが、運良く認証保育園に入ることができて本当に助かっています(ちなみに認証も激戦区だと本当に入れないのです)。で、「子どもは保育所なんか待ってない」と言われた保育園ですが、私の体感ベースですが今のところ最高なのですよ。
・先生が子どもに愛情を持って接してくれるから、子どもが信頼できる大人が親以外にもいる状態。子どもも先生大好き
・自分の子どもに愛情をかけてくれる人がいることの安心感、喜び
・お友達ができる。年上のお友達も。保育園で開いてもらった娘の誕生会でお友達が歌をうたってくれたりして号泣 ・育児で悩んだりした時、育児のプロに相談できる。結果子どもに対して余裕を持って対応できる
・給食の安心感。栄養バランスが取れたご飯を必ず食べられる安心感はすごい(おかげで忙しい時離乳食を市販のものにすることも)
・散歩や歌やダンスや絵本など、家以外の遊びが体験できる
・健康の管理もしてくれる。虫歯チェック、身長体重を毎月測ってくれる。もうちょっと保育園を嫌がったり寂しがったりするのかなと思っていたのですが、ニコニコで保育園に行き、教室についたらお友達のほうへ嬉しそうにハイハイしていく姿を見て、むしろこっちがちょっと寂しくなるくらいです。教室から出る私に笑顔でお友達と一緒にバイバイしてくれるんだから。
私の体感だと「保育所なんか」なんて切り捨てられるような場所ではありません。今この原稿を書いているのも娘が保育園に行っている時間。本当に本当にありがたいのです。
保育園に入れるかどうかは「運」次第!?
これを書いている今、保育園の第一次選考の結果が発表されている時でして、ツイッターでは「#保育園落ちた」の声がたくさん上がっていました。「保育園落ちたから働けない、死ねというのか」「長期入院するか離婚してポイントをあげるしかないのか」「私保育士なんだけど保育園落ちた」「引っ越ししなきゃいけないかな、でもそれにもお金がかかる」「保活している友達がノイローゼ気味だ」etc.…。 保育園に入れるかどうかは残念ながら今は運によるところが本当に大きいわけです。「運」で人の生き方、働き方が左右される国が先進国って言って本当にいいのかなあと。せめて娘が大人になるころにはこんな不公平がなくなっていて欲しい、そんなわけで私はこれからもこの問題に怒り続けるのです。
私、子ども欲しいかもしれない。/¥1,300 平凡社「子供は欲しいけど、実際どうなの?」出産前の犬山さんが育児体験者の話を聞いて、〝どうしよう〟をとことん考えた「出産・育児」のリアル。母親の本音が炸裂です!
コラムニスト
犬山紙子
1981年生まれ。『負け美女』(マガジンハウス)でデビュー。人間観察の名手として注目を浴びる。ユーモアあふれる表現で女子の生態をつづった著書多数。2017年1月に出産、一児の母に。オフィシャルLINEブログやインスタグラム@inuyamakamikoでも日常を発信中。
Domani2018年4月号 新Domaniジャーナル「ピッカピカの! ワーキングマザー一年生」 より
本誌取材時スタッフ:構成/佐藤久美子