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2018.05.17

今のところ大成功?トランプ政権の経済施策とリスク【三浦瑠麗の「優しさで読み解く国際政治」】

国際政治学者・三浦瑠麗さんに教えていただく世界の「今」。今回はトランプ政権の「方向性」について伺いました。

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多様性の論点に寄る米国に響くか「オレたち主導の経済政策」

米国のトランプ政権が、引き続きいろんな波風を立てています。つい先日、政権発足1年を振り返ったばかりなのに。年始には連邦政府機関の閉鎖問題があり、その解決をめぐるドラマがありました。直近の注目は政権の方向性が見えてくる一般教書演説で、トランプ大統領が何を言うかという点でした。 演説は、とてもトランプ的なものでした。政権1年目の最大の成果として強調されたのは、昨年末に成立した税制改革。税制改革に呼応するように、アップルをはじめとする大企業は次々と米国内での投資や雇用増を発表しています。

失業率は低く、株価は最高値圏にあります。共和党の大統領としては、好調な経済というのは何よりの勲章ですから、この点は得意の絶頂という感じです。実際、80年代末のレーガン減税に匹敵する経済史に残る成果だろうと思います。今後、世界におけるお金の流れは変わっていくでしょう。 トランプ政権は圧倒的に内政の政権です。外交安保の分野でも、内政の絡みがある問題が重視されます。強調されたのはホームランドセキュリティー(≒本土防衛)です。それは、イスラム原理主義者によるテロを警戒するという点であったり、不法移民の入国を防止する国境警備であったりです。警察、消防、国境警備、民間のボランティア団体などを称賛するのは、彼らが体現する公に奉仕する精神を、政権のアイデンティティーとしたいからでしょう。

「オレたちが主導する経済政策」の正当性

面白かったのは、刑務所の待遇改善や、薬価の引き下げなど、民主党っぽい政策も訴えていること。演説会場の民主党席から拍手が少ないのを見て、「どうした、お前たちがやりたいことじゃないのか」と挑発するのも忘れません。この辺りは、保守的なレトリックで中道の経済政策を行う、というトランプ政権の本質がよく出ています。 米国政治が、マイノリティー、フェミニズム、LGBTなど、多様性の尊重に論点が寄りすぎていると感じている有権者に対し、「オレたちが主導する経済政策」の正当性を印象づけているのです。演説会場に招かれた、不法移民のギャングに殺された女子高生の両親は黒人でした。計算ずくで、こういうあざとい演出をするのがアメリカ流、トランプ流ということでしょう。

トランプ政権にとっての最大のリスクとは?

では、トランプ政権は順風満帆かというと、そうではありません。政権にとっての最大のリスクとなっているのが、いわゆるロシアゲート疑惑です。ニクソン大統領を辞任に追いやったウォーターゲート事件から取ったネーミングです。2016年の選挙においてロシアの介入があったことはほぼ間違いないとして、トランプ陣営との共謀はあったのか。捜査当局が動き出した時点で、政権幹部や大統領本人による偽証や司法妨害があったのかが焦点です。 捜査は特別検察官が任命され、司法の世界で粛々と進んでいます。安全保障担当の前大統領補佐官という大物が既に偽証を認めているようで、大統領まで法の手が及ぶかが焦点となっています。 対する政権と議会共和党は、FBI内部に、民主党に利するべく行動していた捜査官がいたことや、情報隠蔽を疑われるような不祥事があったことを暴き立てています。要は、この問題を司法から政治の場に取り返そうとする試みです。政治の世界では、数が多いほう、声が大きいほうが勝つわけですから。 まあ、相変わらず盛りだくさんなのですが、本年もトランプ政権に注目が集まり、同政権に振り回される世界となりそうです。

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国際政治学者

三浦瑠麗

1980年生まれ。国際政治学者。東京大学農学部卒業。東大公共政策大学院修了。東大大学院法学政治学研究科修了。法学博士。現在は、東京大学政策ビジョン研究センター講師、青山学院大学兼任講師を務める傍ら、メディア出演多数。気鋭の論客として注目される。

Domani4月号 新Domaniジャーナル「優しさで読み解く国際政治」 より
本誌取材時スタッフ:構成/佐藤久美子


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