気づけば別居生活、10年目。夫との再同居は考えられないけれど
43歳の真由さん(仮名)は、4歳年上の夫と結婚14年目。しかしながらそのうちの10年間は別居生活をしてきたそうで、そろそろ夫婦関係を「何とかしなくてはいけない」と考えています。
「30代前半で結婚、出産をしましたが出産直後に夫が浮気をしていることがわかり、大揉めしたんです。当時、私は浮気をされていたショックで夫を精神的にも生理的にも受け付けなくなり、離婚も考えたのですが、子どもが生まれたばかりだったので一旦は別居をして、様子を見ようということで今の形になっています。
でも…、別居生活も気づけば10年目になっていて、さすがにこのまま年月ばかり重ねていくのもどうなんだろうって思いが強くなってきて。夫は転勤の多い仕事をしているので、単身赴任みたいな形で地方に住んでいる時期も多く、今もかなり離れたところにいます。ですので、顔を合わせることは年に数回、あるかないかって感じなんです」
真由さんも正社員として仕事をしているので、別居を始めてずいぶんと時間が経っている今は、子どもの教育費だけ夫から振り込んでもらい、それ以外の生活費は真由さん自身で賄っているとのこと。「だから、離婚したらそれをそのまま“養育費”として払ってもらうことになり、経済的な負担は今と変わらないんですよね」と真由さんは話します。
実質シングルマザーなのに公的支援も受けられず
「どうして離婚したほうがいいかなって思ったかと言うと、実態がなくても夫と籍が入っているというだけで受けられない公的支援があることや、私自身が恋愛もできないというのがやっぱり大きいです。
これまでは夫婦の再構築も模索してきましたが、10年経ってみて、夫との夫婦関係はもういいやって。夫への気持ちは冷めたままなので再び同居することも考えられないですし、実質シングルマザーとして子どもをここまで育ててきて、何とかなったっていうのも自信になりましたね」
とはいえいざ「離婚」となると、なかなか前に進められない理由が真由さんにはあるのだそう。それは…。
「実家です。実家の父が今、あまり体の調子が良くなくて。実家は古い体質の家なので、娘が離婚となると世間体を気にするんですよ。今も離婚しているのと生活はほぼ変わらないのですが、別居と離婚ではインパクトが違うみたいで」
自分の幸せか実家の体裁か…天秤にかける日々
「自分の幸せをとるなら、すぐに離婚したほうがよさそうな気がしています。恋愛するにしてももう40代なので、どんどん年齢的にも不利になりそうだし。だけど実家のことを思うと、我慢できるところまでは夫と籍を入れ続けるべきなのかな〜って迷うんです。
毎日、どうしようかなって頭の片隅にあって、早くスッキリしたいですね。答えが出るのがいつになるのかわからないですけど、こうやって迷っている間にも歳をとっていくし、悩ましいですね」
結婚や離婚には、当人同士だけの話にとどまらないことも多々あります。自分では離婚の意思が定まっていても、周囲の事情によって動けないケースもあるのでしょう。人生は一度きり。しかし後悔のない歩み方をしたいと思っても、社会的な事情によって身動きがとりにくいことも増えるのは、40代という年代の傾向でもあるのかもしれません。
取材・文/並木まき