〝地獄〟がつくる景色と混ざり合う文化に触れて
星野リゾートが全国に展開する温泉旅館ブランド「界」の長崎県初進出となる「界 雲仙」が、いよいよ11月25日にオープン。雲仙地獄で知られる長崎県・雲仙温泉に立つ新旅館のコンセプトは、「地獄パワーにふれる、異国情緒の宿」。館内の設えによって和 (日本) 、華 (中国) 、蘭 (オランダ) の要素が混ざり合った長崎文化が表現されるなど、宿にいながらこの地域ならではの体験ができます。
今回はオープンに先駆け、そんな異国情緒あふれる温泉宿の魅力をたっぷりご紹介します!
雲仙温泉ならではの景色は必見
雲仙地域は、1934年に日本初の国立公園に指定され、2019年には国立公園を中心に日本初のユネスコ世界ジオパークに認定されました。そんな雲仙天草国立公園内に位置し、独特の景観を持つ雲仙温泉。なかでも特徴的なのが、水蒸気を含む火山ガスがいたるところで白い煙を上げ、周囲は硫黄の香りに包まれる「雲仙地獄」です。現在も活発に活動し続けている雲仙地獄は、古くから源泉や噴気孔を利用した温泉のみならず、自然の地熱を利用した給湯設備「燗付 (かんつけ) 温泉」としても活用されるなど、人々の生活と密接に結びついてきました。界 雲仙はその地獄に面した場所に立ち、滞在を通して大地のエネルギーを身近に感じることができます。
▲雲仙地獄
また雲仙温泉は、鎖国の時代に出島を通じてオランダ商館医のケンベルやシーボルトが訪れたとされており、海外諸国と歴史的なつながりがある場所。その歴史を踏まえ、館内の設えには様々な人や文化が行き交う中で発展してきた、和、華、蘭の要素が混ざり合った長崎文化が取り入れられています。
長崎文化と温泉を堪能する特別感たっぷりの客室
地域の文化に触れるご当地部屋が名物のひとつである界ブランド。界 雲仙は、すべての客室のパーテーションやスタンドライトに、和華蘭 (日本を「和」、中華を「華」、オランダやポルトガルを「蘭」と表現し、それらをあわせた長崎独自の文化のこと) の要素が取り入れられています。
▲客室
たとえば、スタンドライトはオランダから伝わった硝子工芸品であるステンドグラスをモチーフにし、鮮やかな赤や青の色合いを日本文化である和紙で表現。
▲客室 スタンドライト
▲客室 パーテーション
また全51室中16室は、湯浴みを中心に滞在できる「和華蘭の間 (客室付き露天風呂) 」。入浴と休息を交互に楽しめるよう露天風呂とベッドルームの境界に「湯上がり処」が設けられ、開かれた景色に向かって大胆に置かれた湯上がりチェアでゆったりとくつろぐことができます。目の前の地獄から湯けむりを感じられる開放的な露天風呂を堪能した後は、湯上がり処で外の景色を眺めながらのんびりひと休み。
▲和華蘭の間 (客室付き露天風呂)
▲和華蘭の間 (客室付き露天風呂) 特別室
大浴場で色鮮やかな光の景色にうっとり
大浴場に足を踏み入れれば、オランダから伝わった硝子工芸品であるステンドグラスが施された窓に目を引かれるはず。外光が差し込む時間帯には、色とりどりの鮮やかな光が湯面に映り込み、美しく輝きます。独特な硫黄の香る湯けむりに包まれ、ステンドグラスがつくり出す景色を味わいながら湯浴みを楽しんで。
▲大浴場
長崎の文化を食事でも堪能
お楽しみの夕食は、和華蘭文化の1つである卓袱 (しっぽく) 料理 (和華蘭文化を反映した長崎発祥の宴会料理。大皿に盛られたコース料理を円卓に乗せ、その円卓を囲んで味わう料理が特徴) に欠かせない「豚角煮」をリエットにした先付でスタート。水の代わりに温泉水を使用して焼き上げる雲仙温泉の名物「湯せんぺい」につけて味わいます。その後に続くのは、卓袱料理の丸い円卓をイメージした鮮やかな朱色の器に、酢の物・八寸・お造りが盛り合わされた「宝楽盛り」。
▲先付
▲宝楽盛り
そして特別会席のメインの台の物として、正月の雑煮に使用するなど長崎県で親しみのある食材の「あご」を使った「あご出汁しゃぶしゃぶ」が登場します。上品な旨味を感じるあご出汁に牛肉や豚肉をくぐらせ、出汁とともに楽しむ一品。出汁のアクセントとして、柚子の香りと砂糖の甘さが特徴的な「ゆべし」を途中で加えて味わうのがおすすめです。締めとして島原名産のうどんを入れ、最後の一滴まであご出汁を堪能。長崎の豊かな食材と、和華蘭から着想を得た彩り豊かな器や料理から、目でも舌でも異国情緒感じるひとときを。
▲特別会席 あご出汁しゃぶしゃぶ
宿にいながら長崎の豊かな文化に触れ、雲仙地獄がつくり出す景色や温泉を満喫できる界 雲仙。11月25日に開業を迎える新旅館に、ぜひ注目してみてくださいね。