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LIFESTYLE インタビュー

2023.03.09

【宝塚歌劇団OGリレー連載/音 くり寿さんvol.1】飛龍つかささんからの退団同期バトン

 

飛龍つかささんからバトンを繋いでいただいたのは、宝塚歌劇団の元花組生で昨年9月にともに退団した音 くり寿さん。イラストレポを含め、4回にわたって音さんにお話をうかがいます。

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死ぬまでに「これが私の表現」と言える唯一無二のものを見つけたい

前回ご登場いただいた元花組男役の飛龍つかさ(ひりゅう・つかさ)さんからのバトンは、同じ花組に所属され、2022年『巡礼の年〜リスト・フェレンツ、魂の彷徨〜/Fashionable Empire』にて宝塚歌劇団をともに退団された、娘役の音 くり寿(おと・くりす)さん。実力をもって花組を盛り上げてきたきたおふたり。退団同期の縁でご紹介いただきました。

飛龍つかささんのコメント>

相手役をやらせていただいたこともありました。実力も、作品への取り組み方も素晴らしくて、下級生ではありますが尊敬していました。

 

まず飛龍さんとのエピソードを教えてください。

音さん(以下敬称略):たくさんたくさんお世話になった上級生です。いちばん思い出深いのは、『NICE WORK IF YOU CAN GET IT』。カップルの相手役をやらせていただき、ものすごく楽しくて。飛龍さんは受けのお芝居がとてもお上手だから、私がどんなにヘマをしてもそれが失敗に見えないように自然にカバーしてくださるんです。どんどんレベルを上げてお芝居の質を高めてくださり、日々一緒に作っていく感覚で毎日が充実していました。私自身の役がちょっと挑戦したような役だったからひるむ気持ちがあったのですが、飛龍さんがポジティブマンなんです。

ご自身ではきっと心の中でいろいろ考えていられたと思うのですが、みんな飛龍さんになにかお話をすると絶対に前向きになれるような言葉を返してくださるんですよ。解決策を示してくださったり、元気をくださったり。「あ、そんな見方や考え方があったのか」ということをいつも気づかせてくださる方でした。

学年が近いということもあり、お芝居やナンバーで絡ませていただく機会が多かったのはうれしかったです。たわいない話でも楽しい渦に巻き込んでくださったり、本当にお世話になりました。魅力や実力が抜きん出ていらっしゃいますし、学ばせていただくことが多かったです。

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退団について、長く迷っていたというのを目にしたことがあります。そして『元禄バロックロック』の集合日にプロデューサーに伝えに行かれたと。その行動に至るまでのきっかけはあったのですか?

音:うーん、なんでしょうね…。宝塚歌劇は真ん中に男役さんがいらして、そこに娘役が寄り添うという美学があります。でもいつしか社会の風潮に影響されてか、ヒロインの娘役さえも力強くかっこいいキャラクター像を求められる事が増えました。歌のキーも下がってきましたし。

学年が上がると見える景色や任されるものが変わり、いろいろな変化を感じました。その変化の中で、宝塚歌劇の世界の中だからこそできること、やったら面白いこと、おいしいことは間違いなくあり、それを模索しながらも1公演1公演、後悔しないように演じることを自分の中では目標にしていました。”品”さえ失わなければ「タカラヅカだからこうでないといけない」というのは早い段階から自分の中には消えていて、その作品のために自分はどんな立ち位置でいるのがいいのか、主演や周りの方がやりやすいのかという方向にシフトチェンジしていたため、しがらみのようなものは消化されていました。

「タカラヅカの外に出てこんなことをやりたい」というのも特に決まっておらず、ふと、「今なら(退団すると)言える勇気がある」みたいな感じでした。長くいる場所から踏み出すのは相当なエネルギーがいるんですよね。自分の意思を固めたとていろいろなご意見をいただくことは想定内で、それでも揺るがない気持ちが必要なんです。自分としても、ここまで長く在団するとは思っていなかったんです、実は。あの集合日、すっごく気持ちが軽くて踏み出すのが怖くなかった。退団を迷っていた時期は必ずなにかがあるんです、「まだここにいた方がいいな」という出来事が。そんな時は、まだ退団すべき時じゃないんだなぁと思って、そういうことを繰り返してあの集合日に至ったという感じでした。

音さんといえばなんでもできて、いるだけで舞台が締まる印象でした。歌・ダンス・お芝居すべて素晴らしかったですが、ご自身はなにがいちばん好きでしたか?

音:選べないんです(笑)。もともと歌と芝居は自信がなく、踊りをやっていた歴がもっとも長かったので好きでしたが、今は逆にいちばん苦手意識を持っていますね。今、(梅棒公演『曇天ガエシ』で)壁にぶつかっているので…。好きだからこそ仕事にしてしまったがゆえの悩みというか。仕事にすると、好きのまま留めておけないじゃないですか。どうしてもクオリティを求められ、比べられてします世界なので。

さらに精進していく余地があるということでしょうか?

音:そうですね、それはずっと続いていきますね。今の現場に行くと「かなわないなぁ」と思うことがありますし。もう、次元が違うんですよ。今まで自分がやってきたことのストックってあるじゃないですか。それがひとつも武器として使えなくて、まだまだ自分は甘かったということに直面している最中です。それがモヤモヤするんですけど、うれしい(笑)。今の現場で新しい武器を見つけられたらいいなと思っています。

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