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EDUCATION 教育現場より

2023.07.05

【お受験ママの相談室vol.11】注目高まる、日本で入学する「インターナショナルスクール」情報最前線

 

教育編集者・田口まさ美による教育者との対談連載。子供の進路に悩む母親向けにお送りしています。第11回目の今回は、インターナショナルスクールについて。昨今は、お受験とともに視野に入れる方も増えました。何かと情報が少ないインターナショナルスクールですが、小学校でインターを選ぶのは、とても大きな決断なので情報収集・早期準備は必須です! 今回は、かなり信頼できる情報盛り沢山な内容になっているので、興味のある方は必読です。

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第11回:インターナショナルスクール&海外スクール情報最前線
海外名門小学校を国内で目指すには?

〈お話を伺った方〉
GKcors Co-Founde Director 満木夏子氏

聞き手・原稿:教育エディター 田口まさ美
▶︎Instagram: @masami_taguchi_edu

田口まさ美さん、満木夏子さん 横並びに座っている様子

田口:今回は、広尾にある英語塾GKCorsのCo-Founde/Director満木夏子さんをお招きしています。こちらは、日本にいながら海外で通用する英語力をつけること、そして日本人の家庭が日本のインターナショナルスクールの入学試験に合格するために、英語力を始めとした学習をサポートする塾。夏子さんご自身も働くお母様ですが、本日は子供に英語力を養うために親ができる効果的なノウハウや、「インターナショナルスクールって一体どんなところなのか?」「海外スクールと何が違うのか?」など、疑問に思われているお母様に役立つ、今更聞けない基本的なことから教えていただけますか?

満木:最近は、ご両親が日本人でもインターナショナルスクールや海外現地校を検討されるご家庭も増えましたが、実際には情報が足りなく、ぼんやりとしたイメージしかありませんよね。そんな情報不足を感じて、私たちもGKのような塾を立ち上げました。英語教育に関心が高まるのは、私共としては大変嬉しいことですが、きちんと詳しい知識を得て熟慮いただきたいなと思っています。

インターナショナルスクール(※今回は一条校* を省いた一般的なインターナショナルスクールのことを指します)とは、本来は親の仕事の都合などで在日する外国人の子供たちが、駐在中に通うために日本に設置された学校のことです。ですから、日本人の子供が“英語を学ぶための学校”ではありません。この基本は、保護者様が、ご理解されておいた方が良いことだと思います。

*学校教育法第一条にある、幼稚園・小学校・中学校。高等学校・中等教育学校・特別支援学校・大学・高等専門学校をいう。(デジタル大辞泉より)

つまり、DAY ONE(入学初日)に先生から英語でいろんな説明をされて、その内容が理解できない子のための学校ではありません。年齢相応の英語力が必要になります。そして、外国の教育を受けることになりますので、日本の文部科学省の学習指導要領に則った学習内容や日本ならではの教育理念とは異なるという点も理解しておいた方がよいでしょうね。また、一口にインターナショナルスクールと言っても、日本において、長い歴史のある老舗校から新しい学校までその種類は様々にあります。

田口:現在日本にはインターナショナルスクールが97校以上あるそうです。さらに増え続けていて、まさに質も内容も様々です。インターナショナルスクールを卒業しても、日本の義務教育課程を修了したことにはならないことを、ご存知のない方もいらっしゃいます。

満木:そうなんです。ですから、もしインターナショナルスクールを選ぶとなったら学校選びは日本の学校を選ぶ以上に慎重にならなければなりません。私共が主に行っているのは、インターナショナルスクールの中でも、いわゆる老舗と言われる長年日本で歴史を刻んできたインターナショナルスクール(小学校)への受験サポートや、現在インターナショナルスクールに通うお子様の日常学習のサポートです。さらに海外現地の学校受験のサポートも行っています。

老舗校においては、受験の際に日本の小学校受験に似たような「制服をきちんと着られるか」「挨拶ができるか」「自分の興味・関心について話せるか」などの能力や資質も求められますので、その部分の指導を英語で行なっています。簡単に言えば“日本の小学校受験でやる内容を英語でやる”というのが、本校の特色の1つです。

さらにこれを、どの先生が授業をしても、授業の質の担保をできるように、属人化せずマニュアル化しています。私と日本人のお受験教室の教師とで、ネイティブの先生に監修していただきながら、「ここは言葉をリピートしてほしい」「ここは、こういう声かけをして」など、全てのレッスンにおいて、実用的なマニュアルを作りました。

たとえば、日本語が母語の子だと、「How are you?」は知っていて答えられても、「How are you doing?」と聞かれるとフリーズしてしまう。そんなケースが多々あります。そういった細やかな事例を踏まえて、ここまでの言い方は全網羅してダイアログする、などと決め込んでいます。こうしたマニュアルにより、日本文化にあまり詳しくない外国人の先生であっても、質の高い授業が可能になりました。

田口:小学校受験の内容は豊富。季節に関する内容だけでも、相当な量だと思います。

満木:年間200以上のレッスンがありますね(笑)。その全てのレッスンにおいて、この授業にどのようなアカデミックな内容を盛り込むか、どのような英語的知識を入れるか、ということを1年間以上かけて手作りでやっていきました。それを毎年アップデートしています。大変でしたが、面白い作業でしたよ。日本の幼児教育、小学校受験のコンテンツは、かなり体系立てられていて教材も豊富ですし、世界的に見てもレベルが高いんです。内容的には、海外の名門スクールにも十分太刀打ちができるレベルです。

満木夏子さん

算数であれば、「お菓子を分ける」というテーマで、あまりのある割り算の概念まで網羅しており、国語では「お話(お話を聞いての記憶を問う問題)」で記憶力や集中力を見て、また季節の絵を選ぶ問題などで一般常識を求めたりと、よく考えられていますし、それらの教材が一般的に本屋さんで買えます。これは世界的にみても稀です。

欧米社会では、小学校受験は富裕層だけのもっともっと狭い世界のものなので、幼児教育はコモデティ化していません(インターナショナルスクールの学費も、日本や東南アジアでは年間平均200~300万円、欧米では400万スタートで1000万円以上がデフォルト)。大手塾もなく、家庭教師をつける文化です。 それに比べて日本の小学校受験は、小さなマーケットとはいえある程度裾野が広がっています。それが、日本において幼児教育が盛んになった理由の一つだと思います。特にこの数年、小学校受験が「お受験」と呼ばれて、一般化しましたよね。そのため大手塾ができたりもして、ある種ビジネスとして進化したのだと思います。

米国シリコンバレーで成功者の子供が通う
名門ハーカースクールの教育を日本で

田口:「お受験」。まさにこの連載のタイトルにもなっていますね。最近は、国内の小学校だけでなく、海外スクールを目指すご家庭も増えてきたのを感じます。

満木:そうですね、当スクールは“日本に住んでいながらも、海外に通用する英語を話せる塾を”という想いで立ち上げましたが、やっているうちに海外スクールを目指すご家庭が出てきました。ですがこれまた、海外の学校の情報自体があまりにも少ないですよね。全ての学校にエージェントがついているわけでもなく、保護者が英語を話せないと受験すること自体が難しい現状です。なので、弊社でもそういったご希望に応えるため海外スクールのエージェント機能も後で加えた経緯です。

また、海外の学校へ行かせたいとなっても、英国・スイス以外の国には、小学生以下でのボーディングは基本的にないので、入学となると家族で海外移住しなければなりません。それはかなりハードルの高いことですよね。ですから、「日本にいながら、海外でも通用する環境を作りたい。それには海外の学校をここに持ってくるしかない!」と強く思いました。

そこで、「シリコンバレーの成功者たちは子供をどこに入れているんだろう?」と興味を持って実際に現地に何校か見学に行きました。その中で見つけたのが、The Harker School(ハーカースクール)です。

ハーカースクールはスタンフォード大学の初代学長によって設立された私立一貫校、スタンフォード大学やハーバード大学に大勢送り込む名門です。私が見学した中でも最も敷居の高い学校でしたが、何度も連絡をして、ぜひ話を聞いてほしい、と依頼を続け、やっとの思いで何人か生徒をサマースクール送れるようになりました。その後、コロナ渦になったので、サマースクールをオンラインで日本でも受けられるように交渉し実現しました。その後も、オンラインを続けてほしいという声を受けまして、今も続けています。

そして現在は、現地で開催されるサマースクールのみならず、にオンライン留学もできるようになったんです! 日本の土曜の朝に3時間、ハーカーで実際に現地の生徒を教えている先生のオンライン・プログラムがあります。こちらの教室にチューターをつけて、米国とリアルタイムで授業をします。

田口:実際にハーカースクール本科への入学となりますと、審査基準はどんな感じですか?

満木:ハーカーをはじめ海外の現地名門校入学試験は、面接と学力試験があります。例えば、キンダーレベル(日本の年長)を受ける際には、英語力、そしてIQテストがあります。IQは110以下だと足切りとなります。学年が2年生以降になると、SSAT・ISEE(※)の一斉学力テストの平均スコアより上を求められます。今年は男の子が2人合格しました。その他、米国のボーディングスクール、シンガポールの名門校などへ合格されました。本人とご家族のサポートの結果ですが、我々も願書の添削や学力試験の添削等をサポートさせていただきました。※アメリカの私学の学力テスト

【各国の学校の特徴】

〜国別に小学校の特徴について大まかにまとめました。詳細はご自身でお調べください〜

[アメリカ]:ギフテッド教育、ダイバーシティ教育、オルタナティブ教育など、教育内容の選択肢が多い。好みに応じて選べるのがメリット。ボーディングは中学生からで、小学生は家族移住が必要。

[スイス]:中立国家ならではの多様性が学べる。低い年齢から(学校によっては3歳から)受け入れてくれる。学年が上がると世界中のセレブや富裕層が通う名門があることでも有名。

[イギリス]:伝統校が多く、良くも悪くも保守的。代々続く家庭の生徒が今も一定数いる。試験は日本の小学校受験の雰囲気に似ている。小学生からボーディングの受け入れがある。

[シンガポール]:多民族国家で多様性が学べる。英国系や米国系のインターナショナルスクールがある。現地校や現地インターの受験は年々倍率が高くなっており、難関。

 

親のアクセサリー化は危険、
小学校でインターナショナルスクール受験の落とし穴

満木夏子さんと田口まさ美さんが会話している様子

田口:最近は有名人のお子様が通っていることもあり、あまり準備や熟慮なくイメージ優先でインターナショナルスクールを選ばれるご家庭もあります。

満木:そこは心配なところです。なかなか深刻なのが、セミリンガルになってしまったお子様です。セミリンガルとは、日本語と英語、どちらも中途半端になってしまうこと。英語が理解できず、それを日本語で説明しようとしても、日本語でも理解できないという状況になってしまうとリカバーが大変です。大抵、未就学児の頃は気がつかなく、小学校の中学年くらいになって授業についていけなくなり、「あれ?うちの子大丈夫かしら?」となったりします。

最初に申し上げたように、インターナショナルスクールは、母国語を英語とする人のための学校なので、英語力が不十分なお子様には大変な負担であることは間違いありません。ですから、その場合はご両親のサポート体制と覚悟が必要です。お子様に第二外国語として英語教育を施すことと、幼少期からインターナショナルスクールを選ぶことは、実は別物として考える必要があるのです。

田口:バイリンガルと言っても、人は深い思考は一言語で行うと言われていますよね。日本で育って日本語を話すご両親同士のご家庭では、ここの根本的な理解が欠けていることが多いと感じます。幼い頃からインターナショナルスクールへお子様を入れることは、第一言語を英語にするのか、日本語にするのか、に関わってきます。 その際に起こり得るアイデンティティ・クライシスにはどう対応するか、母国語である日本語の能力はどの程度求めたいのか、など、ご両親でしっかりと話し合っていただきたいと思います。

満木:海外スクールを選ぶ場合も同様に、ご家庭での話し合いが大切になってきます。もちろん海外へ行けば英語力も伸びますし、発音も違います。ローカルの生きた言語も学べるというメリットがありますし、幼少期からグローバルな人間関係の輪に入っていることでの国際感覚も養えることと思います。 

このようにメリットはたくさんありますが、同時に日本語を高度なレベルでは使えなくなる、日本人のコミュニティには入りにくくなることのデメリットについても考慮して、最終的なゴールをどこにおくかを、ご家族でコンセンサスをとっておくことが大事だと思います。どちらが良い悪いという正誤の問題ではありません。教育のゴール設定が大学になってしまいがちですが、少し立ち止まって考え直してもいいかもしれません。親が経験しない未来を生きるお子さんの選択肢をどのように広げるか、ぜひご家庭で時間をとってお話されるのがよいと思います。

子供の幸せを願う気持ちは、どの親も同じだと思います。ですが、ご家庭の背景は千差万別です。パートナーのどちらかが外国人であったり、親の仕事が海外であったり、親自身が帰国子女であったりする場合は、インターナショナルスクールを選ぶ理由がシンプルです。そういったご家庭に比べ、海外との繋がりのない両親ともに日本人のご家庭では、その子供にとっての境遇や学ぶ理由が全く違ったものとなります。うちの生徒さんでも、ご家庭ごとの背景を踏まえ、きちんと話し合いがされていて、教育のゴール設定についてご両親間である程度合意があるご家庭のお子様は、みなさん幸せそうですよ。

老舗インターナショナルスクール受験は、
プレスクールでの準備が成功の鍵

田口:インターナショナル・プリスクールについて教えてください。

満木:インターナショナルスクールは一般的に9月入学です。日本の私立小学校の入学試験は年長の秋からスタートしますが、インターナショナルスクールの入学試験は、年中の秋頃から願書受付、年中の冬頃から試験や面接が始まります。つまり、日本でいう年中さんで受験になるんです。ですから、気持ち的には1年早い準備が必要です。つまり4歳の時には受験の準備をしている状態が好ましいのです。もし、日本の幼稚園に入っているお子様でしたら、3歳からの準備が望ましいです。準備が整っている状態とは、具体的には、フォニックスの発音が身についていて、英語の大文字・小文字が理解できて、英語で年齢相応の受け答えができて、簡単な絵本が読める状態です。それをベースに、面談の練習、調整をして受験に向かいます。

日本のお受験では、読み書きは問いませんが、インターナショナルスクールの受験は、若干文字を書かせる試験があるんです。それらを踏まえて、幼保の段階からインターナショナルプリスクールを選ばれる方が多いですね。また、受験する際には、学校によってはパスポートチェック、つまりご両親が日本人だと難しい学校もありますので、事前によく調べておくことが必須です。

家庭でも英語力が育つ方法、意外なキーポイントはこの3つ

田口:最後に、子供に英語教育をしたいと思った時、家庭での環境づくりとしてどのようなことが有効ですか?

満木:英語教育には、家庭での環境づくりが必須ですし、有効です。正直、週1のレッスンよりも毎日の家庭環境、という側面はあります。ただ、それを親が全てやらないといけないと思うと負担ですよね。お母様も働いていらっしゃったりすると思うので、親が無理して教える必要はないと私は思っています。代わりに、オンラインコンテンツなどを上手に利用していただくことをおすすめします!

まず、SpotifyやApple Musicなどを朝から聞き流しにしたりするのがおすすめです。子供が話しているニュースもあったりして、楽しんで聞けます。歌も良いと思います。能動的に聴かなくても、子供の耳には効果がありますよ。YouTubeのコンテンツで字幕を英語にしておくのも大事です。キーポイントは、子供に最初に見せる時に日本語にしないこと!(笑) 英語がデフォルトの状態にしておくと良いと思います。

意外と盲点なのが、アルファベットを教える時に、「小文字を忘れずに!」ということです。日本のプロダクトには、(例えばアルフベット・ブロックなども)大文字しかないことが多いんです。でも、実際によく使う英語は、どちらかというと小文字ですよね。
 
単語を教える時、フラッシュカードなどを使うこともあると思います。その時に、教える単語に、動詞や形容詞もセットで伝えるというのも大事なポイントです。名刺ひとつに必ず1個だけ動詞つける、というルールでもいいので、やってみてください。

1.英語コンテンツの聞き流し

2.小文字を忘れずに!

3.単語+動詞1つのセットで教える

この3つは、意外と盲点なのですが、キーポイントです!

満木夏子さんおすすめ作品 

Netflix

「マジック・スクール・バス: リターンズ」:絵本が原作。子供たちのスクールライフが舞台の物語で、サイエンスの知識も学べる!

「ブルーズ・クルーズ&YOU」:アメリカの子供向けテレビ番組。可愛いワンちゃんが出てきて、お兄さんと会話しながらクイズ形式。

YouTube

「peppa pig English」:幼児が覚えたい日常会話が豊富。

プロフィール

満木 夏子 Natsuko Mitsugi

GKCors 取締役。大学卒業後、2年間渡英。帰国後は、グローバルカンファレンスの企画・運営を経験。国内外での経験を経て、日本のグローバル化に課題を感じるようになる。日本からグローバルに挑戦する人を増やすためには根本的な改革と育成システムが必要と考え、英語の幼児教室GKcorsを2018 年に設立。運営責任者として、幼少期からの英語教育・グローバル発想の育成に努めている。GKcorsは、米国シリコンバレーのトップスクールとの提携も果たし、グローバルスクールへと成長中。
▶︎GKCors 公式HP
インスタグラム▶︎@gk_japan

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Interview& Writing

田口まさ美

〈教育エディター〉
小学館で教育・ファッション・ビューティ関連の編集に20年以上携わり独立。現在Creative director、Brand producerとして活躍する傍ら教育編集者として本連載を担う。私立中学校に通う一人娘の母。Starflower inc.代表。Instagram▶︎ @masami_taguchi_edu

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