「はした金」って?
「はした金」という言葉がありますが、その金額は果たしていくらを指すのか疑問に思ったことはありませんか? 頻繁に使う言葉ではありませんが、意味や使い方を把握しておくといいですね。
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▷【端金】読み方:はしたがね
ある額に達しない半端な金銭。ごくわずかな金銭。はしたぜに。「こんな—では役立たない」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
たとえば、相手から渡されたお金が自分の予想以上に少なかった場合、「こんなはした金ならいりません」のように使います。
「半端な金銭」や「ごくわずかな金銭」という意味を持つ言葉ですが、その金額を否定や拒否するような意味合いで使われることが多いかもしれません。
「はした金」の金額は?
金額が少ない場合に使う「はした金」ですが、実際にはどれくらいの額を指すのでしょうか?
決まった金額はない
実は「はした金」に決まった金額はありません。少ない、わずかであることを表しますが、決まった金額や、○円以下を指すというような定義はないと考えていいでしょう。
少ない金額やわずかな金額がいくらかというのは、人によって変わりますよね。収入や生活水準、その時の状況などでも異なるでしょう。そのため、一概に○円と言い切ることはできないいのです。
一般的には10円や100円以下の小銭を「はした金」とすることが多いと言えますが、それも状況によりけり。「あと100円あれば必要なものが買えるのに」のような状況だと、100円を「はした金」とは思えないかもしれませんね。
「はした金」、どのように使う?
ここからは、「はした金」という言葉の使い方を見ていきましょう。例文を挙げて紹介します。
《例文1》謝罪金の額を提示したところ、“そんなはした金はいらない”と言われた
相手から受け取るお金が予想以上に少ない場合や、お金をもらうことで納得したくないという場合に使われます。批判的で、相手に対する拒否や否定の意味合いがあります。
《例文2》“こんなはした金では役立たない”と先方から叱られた
これも予想より金額が少なかったという意味です。お金や相手の気持ちを軽視している、見下しているとも解釈できるため、トラブルに発展しても不思議ではないように感じますね。少なくとも、気軽に口にするのは避けたいところです。
《例文3》はした金と思いながらも貯め続けたら、けっこうな金額になった
買い物でもらったお釣りをコツコツ貯める、給与の端数分があればすぐに貯金用口座に入れるなどして一定の金額にし、それで旅行をしたり、欲しいものを買ったりしている人もいるでしょう。小さな金額の貯金は抵抗が少ないため、実は貯金を継続しやすいというメリットも。「はした金」をコツコツ貯めるのはおすすめです。
例文からもわかるように、「はした金」という言葉は否定的な意味合いで使われることが多いでしょう。また、お金を軽く見ている、金額をバカにしているという風にもとれる言葉ですので、使い方には十分注意したいですね。
《例文4》叔父が投資で大損した時“はした金だから痛くもかゆくもない”と言っていたが、結局自己破産した
投資やギャンブルで損をした、事業に失敗した、人にお金を貸して戻ってこなくなったというようなことが起こると、強がって「こんなはした金」のように使う人もいます。お金絡みで人生自体が転落するのはよく聞く話ですから、注意したいものです。
「はした金」と似た言葉
「はした金」には、似た言葉がたくさんあります。表現力向上にもつながりますので、ぜひ把握しておきましょう。
「小銭」
細かいお金や少額の金銭の意味。また、高額とは言えないけれど、ちょっとまとまったお金という意味で「小銭」を使うこともあります。「はした金」と似た意味を持ちますので、言い換え表現としても使えそうですね。
《例文》
・借りたものを傷つけたので弁償しようとしたら、相手に「小銭ならいらない」と言われた
・パートナーがコツコツと小銭を貯めてくれたおかげで、海外旅行ができた
「はした銭」
読み方は「はしたぜに」。時代劇や小説などで登場することが多い言葉です。意味は「はした金」と同じと考えてください。言い換え表現にも適していますが、今は「銭」という言葉自体をあまり使わないため、言われた方はピンと来ないかもしれません。
《例文》
・小説で、主人公が子供に「はした銭だが」と言ってお金を渡すシーンがとてもよかった
「涙金」
相手に同情して与えるお金や、お情けで与えるわずかなお金を表す言葉です。「なみだきん」と読み、日常ではあまり使わないかもしれません。特に、それまでの関係を解消する時に渡すわずかなお金を指すことが多いでしょう。「はした金」と近い意味を持つため、シーンによっては言い換え表現として使うことができます。
《例文》
・10年も一緒にいたのに、ほんの涙金を渡されて関係が終わってしまった
「びた一文」
ほんのわずかなお金を指す「びた一文」は、漢字だと「鐚一文」と表します。ほんのわずかな金額でも、安くすることはできないことを表す際に使われることが多いでしょう。「はした金」の言い換えとして使える表現です。
《例文》
・示談金の額を下げてくれと懇願されたが、びた一文まけるつもりはない
「腐れ金」
とるに足りない、ほんの少しの金額という意味で使われる言葉です。「くされがね」と読み、不正な手段で得たお金という意味も持っています。このことからもわかるように、あまり良い意味では使われない言葉です。「はした金」と同じような意味を持ち、使い方も変わらないと考えていいでしょう。
《例文》
・こんな腐れ金で一体何ができるものかと彼女は怒りをにじませ言った
「はした金」だからこそ、大切に
お金のことを「はした金」と表すのは、ネガティブなシーンが多いと言えます。時にはお金を見下し、この言葉を使うということもあるでしょう。
しかし、1円であっても、それがないと物を買うことやサービスを利用することはできません。また、お金を貯めるのは大変ですが、失うのは一瞬。失ったお金を取り戻すのも、相応の時間と労力がかかります。
そのようなことも意識し、たとえ1円であっても、お金を大切にしながら暮らしたいですね。
最後に
「はした金」について紹介しました。日常会話でこの言葉を使うことはあまりないかもしれませんが、意味や使い方を知ることで表現力向上につながります。お金をどのように扱うかで、人間性がわかるとも言われます。「はした金」を大切にしながら、過ごして行きたいですね。
画像/Adobe Stock
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