シビアとは? 意味をおさらい
シビアは日常やビジネスシーンで幅広く使う言葉ですが、正しい意味はよく知らないという人もいるかもしれません。頻繁に使う言葉ですから、意味や使い方を把握しておきたいですね。
まずはシビアの意味について見て行きましょう。
シビアとは「過酷なさま」のこと
▷シビア【severe】読み方:しびあ
[形動]非常に厳しいさま。過酷なさま。「—な批評」「—な条件」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
環境や状態が過酷な時、条件や要求が厳しいこと、考え方などが厳しい人などを形容する際に使います。日常会話からビジネスシーンまで、幅広く使われているカタカナ語と言えるでしょう。
シビアの使い方を例文で確認
シビアという言葉の使い方について、パターン別に紹介します。例文も参考にしてください。
環境や状態などに対して使う
《例文》
・プロの世界はシビアなので、アマチュア感覚は捨てる必要がある
・シビアな状況に変わりはないが、諦めるわけにもいかない
・医師の診断はシビアなものだったが、希望を持てるような提案をしてくれた
いずれも「厳しい」や「深刻」など、簡単には行かない環境や状態を表しています。
人に対して使う
《例文》
・彼は穏やかな人だが、仕事になるとシビアな考え方をする
・彼女の家はシビアで、門限を破ることは絶対に許されない
・部長は経理出身なので、経費についてはシビアだ
その人の持つ価値観や考え方、判断基準などが通常よりも厳しいと感じる時に、「シビア」を用いて表現することがあります。
ビジネスシーンで使うことも
・先方が提示してきた予算がシビア過ぎるため、提案内容を考え直すことにした
・競合他社の台頭を見ていると、このままでは当社の未来はシビアなものになるだろう
・期末の売上目標ははシビアなものを求められたが、何とかクリアできた
環境や状況以外に、成果やお金に関することにも「シビア」を使うケースがあります。
シビアを使った関連する言葉を紹介
シビアを使った関連する言葉についても把握しておきましょう。2つ紹介します。
「シビアアクシデント」
原子炉における大事故のこと。設計時に考慮した範囲を超える、異常な事態が発生したけれど、想定していた手段では安全に制御して事故を収束することができず、炉心溶融や原子炉格納容器の破損に至る事象を指します。
米国スリーマイル島原子力発電所事故、旧ソ連チェルノブイリ原子力発電所事故、福島第一原子力発電所事故は、シビアアクシデントになるとされています。
「シビアコンディション」
自動車に関連する用語。自動車にとって、一般的な条件よりも厳しい使用状況や環境を指します。自動車は使い方や乗り方ひとつで、車本体にかかる負担が変わりますが、次のような状況や環境は、シビアコンディションに該当すると考えてください。
・舗装されていない悪路や積雪路を走る
・高低差のある山岳路や登坂路
・車庫や駐車場に置きっぱなしで滅多に動かさない
・8㎞以内の短距離走行ばかり繰り返している
・低速度(30km/h以下)での走行が続く
・アイドリング状態が多い など
シビアと似た言葉を紹介
ここからはシビアに似た言葉について見ていきましょう。シビアとの違いがあれば、それも把握しておくといいですね。
「シリアス」
事態などが深刻な様子や、きわめて真面目な様子を表す言葉です。どちらも同じような意味を持ちますが、シビアは状況を表すのに対し、シリアスはその場の雰囲気を表すと考えてください。
《例文》
・シビアな状況であることがわかりはじめ、場の空気はシリアスになった
「辛辣」
言うことや、他に与える批評のきわめて手厳しいさまを表す言葉です。読み方は「しんらつ」。物の見方や表現が手厳しいことを指すため、人や意見に対して使われることが多いでしょう。
《例文》
・彼の意見は辛辣だが、一理あるのは確かだ
「厳重」
いい加減にせず、厳しい態度で物事に対処する様子を表します。人の言動に対して使うケースが多いでしょう。
《例文》
・年末が近いこともあり、普段よりも厳重に戸締りをするよう促した
「厳格」
規律や道徳に厳しく、不正や怠慢を許さないことを表します。手加減がなく厳しい対応や、人柄を表す場合にも使われる言葉です。
《例文》
・父は厳格でしつけもシビアだったが、私が自分で決めたことは必ず応援してくれた
「重度」
程度や症状の度合いが重いことを意味します。特に病気やケガ、心身の状態などに対して使われることが多いでしょう。
《例文》
・重度とまではいかないケガだが、当面安静にするよう医師に指示された
「深刻」
事態が容易ではない状態まで来ていること、事態を受け止め深く思いわずらうこと、考えや表現が重々しく深いさまであること、無慈悲で厳しいことなど、複数の意味を持つ言葉です。
《例文》
・事態は深刻で予断を許さないが、突破口は必ずあるはずだ
シビアの対義語もチェック
シビアの対義語も見ていきましょう。
「寛容」
心が広くて、よく人の言動を受け入れることや、他人の罪や欠点などを厳しく責めないことを意味する言葉です。
《例文》
・マナーや礼儀のことはうるさく注意するが、失敗やミスに対しては寛容というのが恩師のやり方だった
「ルーズ」
ゆったりとしていてゆとりがある様子や、だらしがない、締まりのない様子を表します。
《例文》
・彼は仕事ができて人柄もいいが、お金に対してルーズなところがあり、信用されない
シビアって悪いこと?
シビアという言葉は一見ネガティブに聞こえますが、実はシビアな人ほど現実を冷静かつ的確に見ているということがあります。現実というのは、誰にとってもシビアなことが多いもの。それを直視し受け入れるからこそ、冷静に判断を下すことができ、着実に前進するのかもしれません。
自分の望みを実現させるためには、まず自分の置かれている現状や自分自身について正しく認識する必要があります。これ自体がシビアなこととも言えますが、無理し過ぎないように注意しながら、進んで行きたいですね。
最後に
シビアという言葉の意味や使い方、似た言葉、対義語について紹介しました。「厳しい」や「過酷」という意味を持つこの言葉は、日常からビジネスシーンまで、あらゆる場面で使われています。どのように使うかはもちろん、似ている言葉や対義語も把握し、言葉を適切に使えるようにしたいですね。
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