・齟齬があったのか、生徒たちはわたしが伝えたいことを誰も理解していないようだ。
・申し訳ない。言い方に齟齬があったらしい。正しくはこの紙に記載したので、確認してほしい。
齟齬に「する」をつけて、「齟齬する」と使うこともあります。
・計画が齟齬し、スケジュール通りに物事が運ばなかった。
・齟齬しないように、要点をわかりやすく説明するほうがよい。
相違と反対の意味で使われる言葉
相違や差異、齟齬は、いずれも違いが見られるときに使われる言葉です。反対の意味で使われる言葉としては、次のものが挙げられます。
それぞれの言葉の意味や違い、ニュアンスについて解説します。
一致
一致(いっち)とは、二つ以上のものがぴったり一つになることで、食い違いがない状態です。たとえば、次のように使います。
・彼女が用意した原稿は、去年のディベートコンテスト優勝者の原稿とまったく一致していた。
・彼とは言い争ってばかりだが、珍しく今回は意見の一致を見た。
・容疑者の指紋と現場に残されていた指紋が一致している。犯人かどうかはともかく、あの場に容疑者がいたのは間違いないだろう。
合致
一致と似ている言葉に、合致(がっち)があります。合致とは、ぴったり合うことや一致することです。
・彼女の発言は、新会社のポリシーとぴったりと合致していた。
・グループのリーダー格としてプロジェクトを牽引していた二人の見解が合致した。
類似
類似(るいじ)とは、互いに共通点があることや似かようことを意味する言葉です。一致や合致のようにぴったりと同じというわけではありませんが、どことなく似ているときや部分的に一致しているときなどに使われます。
・彼女の書き方は作家の〇〇氏と類似している。文章自体は流麗だが、後味があまりよくない。
・このバッグは〇〇ブランドの類似品のようだ。どこで買ったの?
相似
類似と似かよった意味で使う言葉としては、相似(そうじ)が挙げられます。相似とは、形や性質が互いによく似ていることを意味する言葉です。たとえば、次のように使います。
・この建物は国宝の五重塔と相似した構造です。建立された時代も近いことから、設計者が同じと考えられます。
・彼女の性格は姉と相似している。一緒に暮らしていると、性格まで似るのだろうか。
相似は、学問で使われることも多い言葉です。たとえば、数学では、一つの図形を拡大または縮小した関係にあるときに「相似」と表現します。
また、生物学では、異種の生物の器官で、発生的には異なるものの機能が同じであるために形態が似ている現象を指して「相似」と呼ぶことがあります。
正しく意味を確認しておこう
相違とは違いがあるときに使う表現で、「相違がある」「相違がない」と使うことが一般的です。差異や食い違いなどの類似した表現も多くあるため、ニュアンスの違いを理解して、状況に合わせた言葉を使うようにしましょう。
また、相違と反対の意味で使われる言葉には、一致や類似があります。一致はまったく同じ、類似は似ているときに使う言葉のため、正しく使い分けてください。
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