忌避とは?
忌避とは「きひ」と読み、嫌って避けるという意味です。特定の状況を避ける行動や心理的反応を指し、ただ避けるのではなく「嫌う」というニュアンスがあります。
忌避は、法律用語の意味もあります。裁判の公正を妨げる事情がある場合、裁判官や裁判所書記官を事件の職務執行から排除する申立てを指す場合です。
ここでは、忌避の意味をみていきましょう。
2つの意味がある
忌避の2つの意味は、次のとおりです。
嫌って避けること
忌避とは、特定の状況を嫌って避けることを指します。忌避の一例として、不快な音や匂いを避ける行動があげられます。生物が、危険や不快を感じる環境から身を守るためにする行動であり、人間に限られません。
動物や昆虫が特定の音や化学物質を避ける行動を指すこともあり、「忌避剤」のように動物や昆虫を避ける薬剤の名称にも使われます。
また、忌避は行動だけでなく、不快な感情・記憶を避けようとする心理的反応を表すこともあります。
裁判手続きで裁判官等を排除すること
忌避は、法律用語としても使われます。裁判で裁判官や裁判所書記官がなんらかの事情で不公平な裁判を行うおそれがある場合、当事者の申立てにより、その者を事件の職務執行から排除すること、もしくはその申立てをすることを指す言葉です。
裁判官等を排除する手続きには、忌避のほかに「除斥(じょせき)」もあります。除斥は、除斥原因のある裁判官等を、その事件についての職務の執行からあらかじめ除外することです。
忌避には除斥のような特定の排除原因はありませんが、裁判の公正を妨げるべき事情がある場合に、当事者が職務の執行から除外するように申立てをするものです。
き‐ひ【忌避】
1 きらって避けること。「徴兵を忌避する」
2 訴訟事件に関して、裁判官や裁判所書記官に不公正なことをされるおそれのある場合に、当事者の申し立てにより、その者を事件の職務執行から排除すること。また、そのための申し立てをすること。
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
忌避を使った例文
忌避を使った例文について、2つの意味に分けて紹介します。文脈を通して、忌避の理解を深めましょう。
避けるという意味の場合
忌避は一般的に、「嫌って避ける」という意味で使われます。例文は、以下のとおりです。
・格式のある式典に出席するのに、そのようなラフな格好では忌避されるよ
・彼女は人が多い場所が苦手で、会合への参加はいつも忌避している
・娯楽施設の建設計画は、住民の忌避により長いこと難航している
裁判官などを排除する場合
法律用語で使われる忌避の例文は、次のとおりです。
・裁判で裁判官の職務執行が公正に行われないと予想できるときは、忌避の申立てが必要だ
・裁判の公正を妨げる事情があるため、彼は忌避の申立てをすることにした
・裁判で実際に忌避が認められた事例は少ない
忌避の類義語
忌避には次のような類義語があります。
・回避(かいひ)
・敬遠(けいえん)
回避は物事を避けること・不都合な事態にならないようにすることです。敬遠は、関わりを避けることを表します。
どちらも好ましくないものとの接触を避けるという意味で、忌避と似た言葉です。あわせて覚えておけば語彙が増え、使うシーンに応じて使い分けができます。
ここでは、忌避の類義語の意味や例文をみていきましょう。