「ジンクス」の正しい意味とは?
「ジンクス」を気にする人は多いかもしれません。一般的に「縁起がよい」とされるジンクスがあると、心が躍ることもあるでしょう。あるいは、あまりよくないとされるジンクスに、不安を覚えるかもしれませんね。
ジンクスはカタカナ語として根付いていますが、本来の意味を知っていますか? 本記事ではジンクスという言葉にスポットをあて、使い方や似ている言葉を紹介します。
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▷ジンクス【jinx】
読み方:じんくす
縁起のよい、または悪い言い伝え。また、縁起をかつぐ対象とする物事。「緒戦は勝てないという—がある」「—を破る」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
ジンクスに科学的な根拠や裏付けはないとされていますが、昔から言い継がれており、信じる人も多いでしょう。ジンクスは縁起のよいものと悪いもの両方に対して使います。
「縁起」って?
ジンクスに深く関連するのが「縁起」です。縁起も昔からある言葉ですが、意味を調べたことがない人もいるでしょう。辞書で調べた意味は次の通りです。
【縁起】
読み方:えんぎ《「因縁生起」の略》
1:吉凶の前触れ。兆し。前兆。「—がよい」
2:物事の起こり。起源や由来。
3:社寺・宝物などの起源・沿革や由来。また、それを記した書画の類。「信貴山(しぎさん)—絵巻」
4:仏語。因縁によって万物が生じ起こること。
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
「1」の意味にある「吉凶」とは、吉(きち:よいこと)と凶(きょう:悪いこと)のこと。吉凶は両方を合わせた言葉です。
ジンクスに関連するのは「1」の意味。吉だけでなく、凶の兆しに対してもジンクスを使います。
「ジンクス」言葉の使い方
ジンクスという言葉の使い方を見ていきましょう。例文を用いて紹介します。
例文で紹介:よいジンクス
《例文》
・初戦を突破できたら、そのシリーズを制覇できるというジンクスがある
・ブーケトスでブーケをキャッチできたので、ジンクス通りになるのではと期待している
上記の例文は、「よいジンクス」での使い方です。結婚式で花嫁の投げたブーケをキャッチできた人が次に結婚できるというジンクスは有名ですよね。このような一般的に知られているジンクスがあれば、個人が各々で信じているジンクスもあり、その内容はさまざまです。
また、地域や国によりジンクスの内容が異なるというのも、ジンクスの持つ特徴と言えるでしょう。
例文で紹介:悪いジンクス
《例文》
・あの選手は、2年目のジンクスに打ち勝つことができた
・悪いジンクスを破るには、強い意志と勢いが必要だ
悪いジンクスの意味で使う場合は、「破る」「打ち勝つ」をつけることが多いでしょう。特にスポーツの世界にあるジンクスは、例文のような使い方をよくします。悪いジンクスを意識することでよい成果を得るということもめずらしくありません。
悪いジンクスで多いのが、数字でしょう。数字に対するイメージはジンクスと結びつきやすいもの。特にマナーに関連するジンクスについては、内容を把握しておくといいですね。自分は気にしなくても、相手は気にかかるかもしれません。そのことも踏まえ、マナー違反にならないよう意識してみてください。
「ジンクス」と似ている言葉
「ジンクス」と似ている言葉を紹介します。どのような言葉があるでしょうか?
「俗信」
「俗信」は、自然現象などに対する観察・経験・解釈から起こり蓄積された知識のこと。予兆・禁忌・呪術・卜占(ぼくせん)・憑(つ)き物・妖怪などが「俗信」とされます。読み方は「ぞくしん」。予兆は「ジンクス」と近い意味になると言えるでしょう。
「迷信」
「迷信」は、上記で説明した「俗信」、合理的根拠のないものを指します。合理的根拠とは、道理や論理にかなっている法則などのこと。「迷信」は、道理に合わない法則などを頑なに信じることで、一般的な社会生活における実害を及ぼし、道徳に反するような知識や信仰を言います。
「因縁」
「因縁」にはさまざまな意味がありますが、「ジンクス」に近いのは「物事が生じる直接の力である因と、それを助ける間接の条件である縁」という意味。すべての物事は、この二つの働きによって起こるとされます。読み方は「いんねん」です。
「ゲン担ぎ」
「ゲン担ぎ」は、験(げん)を担ぐことの意。ある物事に対して、よい前兆であるとか悪い前兆であるとかを気にすることを指します。以前やってみてよかった行ないなどを、縁起がよいと考えて再度やることを表す際にも使います。
「ジンクス」は悪い意味だった?
「ジンクス」は、英語の「jinx」が由来の言葉。「jinx」の意味を調べると、「ジンクス」とは少し異なる意味であることがわかります。どのような意味の言葉なのか見ていきましょう。
「縁起の悪いもの」を指す?
「jinx」は、「縁起の悪いもの」「不運」「不吉」などの意味を持つとされています。もともとはギリシャ語であり、魔術に用いた鳥の名前が語源とする説も。実は英語の「jinx」には、「よい兆候」や「縁起のよいもの」などの意味はありません。
海外にもさまざまな「ジンクス」が存在しますが、いずれも縁起の悪いものばかり。もともとは縁起の悪い言い伝えを表す言葉だったのです。今もいい意味で使われることはありませんので、その違いも押さえておくといいですね。海外や外国人との交流で「ジンクス」を使う場合は、このことを意識するようにしてください。
「縁起のよいもの」は日本独自の使い方
「ジンクス」に「縁起のよいもの」という意味を含むのは、日本独自の使い方と言えます。一般的にはよい意味も浸透していますので、日常会話などで使う分には問題ないでしょう。
一方で、放送や新聞などのメディアにおいては、「ジンクス」を「縁起のよいもの」という意味で用いるのは的確でないと考えられています。「縁起の悪いもの」のみに「ジンクス」を用いるという規制もありますので把握しておきたいですね。
参照:NHK放送文化研究所|「ジンクス」という語の使い方は?
最後に
「ジンクス」について紹介しました。日常生活だけでなくビジネスシーンでも使われる「ジンクス」は、日本と海外で意味が異なります。「ジンクス」の意味や語源、使い方などを把握することで、コミュニケーションや情報収集を円滑にしてくれるでしょう。「ジンクス」を大切に思う人は多いですが、振り回されることがないよう注意してください。
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