「判明」とは?「発覚」や「確認」との違い
「判明(はんめい)」とは、物事が明らかになり、はっきりとわかることです。「身元が判明する」のように用いられます。
ニュアンスの似た言葉には、「発覚」や「確認」などが挙げられます。それぞれ、どのように違うのでしょうか。例文と共に、具体的な意味や違いについて確認していきましょう。
「判明」と「発覚」の違い
「発覚」とは、隠していた悪事が明るみに出ることです。物事がはっきりとわかることは「判明」と共通していますが、「悪いこと」という点に「判明」との違いがあります。
現在、秘密を明らかにすることは「秘密を暴く(あばく)」と書きますが、かつては「秘密を発く」と「発」の字が用いられていました。「告発」や「摘発」など、よくないものが明らかになる言葉に「発」の字が使われているのもそのためです。
明らかになる物事が悪事や陰謀などである場合は、「判明」ではなく「発覚」が適していると覚えておきましょう。
「判明」と「確認」の違い
「確認」とは、物事をはっきりと認めることです。確かめる行為そのものも意味します。
時間を確かめる行為を「時間を確認する」と言うことはあっても、「時間を判明する」と表すことはありません。
ビジネスシーンで用いる機会の多い「ご確認ください」も、物事を確かめる行為を促す言い回しです。ビジネスでは、それぞれの違いを理解したうえで活用していきましょう。
「判明」を使った例文
意味や他の語句との違いをふまえ、ここからは「判明」を使った例文をみていきましょう。具体的な使い方を参考に、日常会話でも「判明」という言葉を正しく活用してください。
・綿密な調査により行方不明者の身元が判明した。
・予定していた列車では目的の時間に間に合わないことが判明した。
・納期が遅れ予算オーバーすることが判明した。
「判明」の類義語や言い換え表現
「判明」には、以下のような類義語や言い換え表現があります。
いずれも物事がはっきりしたり、不明だったものが明らかになったりする様子を表す言葉です。ここからは、それぞれの語句の正しい意味や使用例をご紹介します。
わかる
「わかる」は、意味や区別がはっきりとしたときに用いる表現です。「理解した」「了解した」という意味を持ちます。また「わかる」には、シーンに応じた漢字表記があります。
・分かる
・判る
・解る
一般的には「分かる」が多く用いられ、より厳密に意味を表したいときには「判る」「解る」などを使うと覚えておきましょう。
分かる
「分かる」は、一般的に用いられる表記です。文化庁の「常用漢字表」でも、「分」は「分かる」と訓読みすると記されています。
常用漢字表とは、漢字教育の指針にされるものです。そのため、日常生活では「分かる」がもっとも多く用いられ、目にする頻度も高いと考えられます。
判る
「判明」にも使われる「判」の字を使う「判る」は、物事の判別・判断に関して用いる表記です。主に、以下のように使用します。
・今の段階では敵か味方か判らない。
・双方の具体的な違いがやっと判った。
「判」という漢字には物事を見分けるという意味があるため、「判る」は「判明」と非常に近い意味を持つ言葉だといえます。
解る
物事を理解するという意味の「わかる」は、「解る」と記します。物事の意味や価値、内容などを理解できたときに適した表現です。人の気持ちを理解できたときにも、「解った」という表記が適しています。
・実際に業務を担当してみて、前任者である彼の気持ちがよく解った。
・申し訳ないが言っている意味がよく解らない。
現す
「現す」とは、見えていなかったものを表面化させ、見えるようにすることです。「姿を現す」や「正体を現す」のように用いられます。
また「あらわす」も、「わかる」のように「表す」「顕す」と複数の表記を持つ言葉です。
心に思っていることを言葉や絵、表情などで示す際は以下のように「表す」を使います。
・プロジェクトが成功した喜びを表さずにはいられなかった。
・今の気持ちを言葉に表すのは難しい。
善い行いを世に知らせるときは、「顕す」と表記しましょう。細かなニュアンスの違いですが、気持ちや状況を正しく伝えるために覚えておきたい表現です。
証明
「証明」も「判明」のように、物事を明らかにすることを意味します。「判明」との違いは、物事の真偽を証拠と共に明らかにすることです。
日常生活では、「身分証明」や「印鑑証明」といったかたちで耳にする機会が多いかもしれません。いずれも何らかの手続きをする際、本人であることを証明できる書類です。
その他、「証明」は以下のように何かしらの証拠や裏付けが必要な物事に対して用いられます。
・何としてでも彼の無実を証明してみせる。
・こちらの申込書を記入いただき、身分を証明できるものを提出してください。
・遅刻理由を証明するため、電車遅延の証明書を受け取ってください。
・新たに発見した事実を証明するためには、複数のデータが必要となる。
「判明」の反対の意味を持つ言葉
ここからは、「判明」と反対の意味を持つ言葉をみていきましょう。
いずれもわからないこと、明らかでないことを表す言葉です。具体的な意味と共に、使用例もぜひ参考にしてください。
隠蔽
「隠蔽(いんぺい)」は、物事の真相が周囲に知られないよう故意に覆い隠すことです。そのために嘘をついたりごまかしたりすることは「隠蔽工作」と呼ばれます。密かにさまざまな根回しを行うなど、企業の不正にもつながる行為です。
・はっきりとものを言わない様子から、事実を隠蔽しているのではないかと疑われた。
・出所不明な資金の詳細を隠蔽する。
・やましい事実をもみ消そうと隠蔽工作を図った。
不詳
「不詳」は、はっきりとわからないことを意味します。以下のように、詳しい事実が判明しないことに対して用いる言葉です。
・作者不詳の作品が注目を集めている。
・俳優のプロフィールでは年齢不詳となっている。
また「今の段階でははっきりとわからない」と伝えたいときは、「不詳」ではなく「未詳」という表現が適しています。
不明
明らかでないことは「不明」と言い表します。とくに、調査をしてもわからないことに用いる語句です。
不明を使った言葉に「不明瞭」がありますが、こちらは「不明瞭な方針」や「不明瞭な発音」のように考え方や立場、視覚や聴覚で捉えられるものを対象としています。
・先日出した書類が宛先不明で返ってきてしまった。
・行方不明だった猫が先日無事に戻ってきた。
・山奥の沼に正体不明の生き物がいるらしい。
「判明」の意味を知り日常生活で活用しよう
「判明」は、「発覚」や「確認」とは違った意味を持ちます。主に、物事が明らかになりはっきりとわかることを意味する言葉です。
また、「判明」にはいくつかの類義語があります。どれも不明だったものが明らかになった際に用いる言葉ですが、ニュアンスは少しずつ異なります。対義語などもあわせて「判明」の意味を知り、日常生活やビジネスで正しく活用していきましょう。
メイン・アイキャッチ画像:(c)Adobe Stock
あわせて読みたい