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EDUCATION 教育現場より

2024.10.25

小学校受験直前!大人気保育士てぃ先生に聞く〈1〉大事な本番前に緊張する子供への”いい”声かけ

今回は、大人気の現役保育士「てぃ先生」にお話を伺いました。第一弾は、お受験直前シーズンということで、お受験ママの疑問や相談を投げかけさせていただきました。受験直前の子供に、てぃ先生だったら、どんな声をかけ、どう接するのでしょう?

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【お受験ママの相談室|第24回】受験前のママからの質問に、てぃ先生が答えます!

てぃ先生

〈お話を伺った方〉
保育士 てぃ先生

聞き手・原稿:教育ジャーナリスト 田口まさ美
Instagram:@masami_taguchi_edu

 

──今回は、現役の保育士でありながら、テレビ番組やSNSで、いつもあっと驚く子どもに効果的な育児法を教えてくださる大人気保育士・「てぃ先生に質問シリーズ」第1回目!今月は、お受験直前シーズンということで、お受験直前の子どもへの対応をお聞きしました。どの質問にも、大納得のご回答。Q&A方式でお届けします。

Q:都内のお受験直前。受験に関わらず、習い事の発表会、運動会など、本番前で緊張している子どもには、どのような声をかけ、どう接してあげるとよいですか?

てぃ先生:つい「大丈夫だよ」と言ってしまいがちですが、大人でも子どもでも、緊張している時に「大丈夫」と言われても、その場でリラックスするのは難しいですよね。「大丈夫だよ」と声をかけられても、その瞬間に「本当に大丈夫かな?」と感じてしまう子どもも多いことでしょう。

無理に「自分は緊張していない」と思い込もうとしても、実際の自分との乖離が大きくなり、かえって「できないんじゃないか」という心配が余計大きくなります。すると、パフォーマンスが下がってしまいますよね。ですから、緊張している人に「大丈夫だよ」は、ほぼ無意味なんです。

そこを考慮して緊張を和らげるならば、無責任に励ますよりも、まずは今の子どもの状態を認めてあげることが改善への近道です。

「緊張するよね」「ママだって、〜ちゃんだったら緊張するよ」と、まず「緊張することは当然で悪いことではない」「当たり前のことだよ」と認めてあげることで、子どもも今の自分の状態を受け入れることができて、安心できるんです。緊張をほぐすには、緊張していることを自覚して受け入れることが大事なのだと覚えてみてください。

“緊張している時は、緊張していることを受け入れる”

Q:逆に受験直前になって緊張感がなさすぎている子ども。親としては焦ってしまいます。そういう場合は、どうしたらいいですか?

てぃ先生:普段は真面目に取り組んでいる子どもが、直前になって急にふざけたり、集中していない様子が見られた場合、それはその子なりのストレス発散方法だったり、緊張を和らげるための行動である可能性が高いです。例えば、大きな地震で恐怖を感じた後に、子どもたちは「地震ごっこ」と称して遊んだりします。それは、大人からすると不謹慎にも思えますが、子どもたちなりに、緊張した精神を平常心に戻すための行動なのです。

ですから、そういう時は注意せず、見守るのが良いと思いますよ。

様子を見ていて、子どもが緊張しているなと感じたら、その緊張をほぐすには、先に書いたこともそうですが、別の方法としては、普段から緊張をほぐすためのお決まりの行動を決めおくことがおすすめです。

例えば、「ママは緊張したときには、こうしてお腹に手を当てるんだよ」などと言って、安心する行動を伝えておくのです。すると、その行動がその子にとっての「おまじない」になります。それが習慣化すれば、本番前でもその行動をして、落ち着いてパフォーマンスを発揮できるようになります。

また、この時に「ママは〜」と、ママを主語にするのがポイントです。世間一般の話で「〜だそうよ」はなく、親がやることを、子どもは信じて、「そうなんだ」と思い込んで、真似しようとするからです。この年齢の時期に、思い込みは効果的です。

“緊張した時の対策は、日頃からの準備が大事です”

てぃ先生

 

てぃ先生プチ知識────

「思い込み」の効果は、良い意味でも悪い意味でも幼少期には有効です。小2くらいまでの子どもには、自己評価が難しいと言われています。ということはつまり、周りに言われたことが自己評価になるのです。「あなた、にんじん嫌いよね」「かけっこ得意よね」など、ネガティブなことも、ポジティブなことも、親に言われた通りに、子どもは自分のことを認識しますので、なるべくネガティブな言葉は避けた方が良いですよ!

 

Q:面接など、人と話すのが苦手な子どもに何かアドバイスはありますか?

てぃ先生:人と話すのが苦手な子どもに共通しているのは、いつも同じ人としか話していないということです。親や特定の大人との会話の経験しかないと、その会話のリズムにだけ慣れてしまい、他の人とのコミュニケーションが難しくなります。逆に、いろんな人と話す機会を増やすと、自然と話す力がついてきます。

ですから、接する人のバリエーションを増やすことですね。面接の練習も、親だけではなく、他の家族や近所の人、友達など、大人、同世代、年下といろんな人に協力してもらうことで、自然と話すスキルやリズムが身につきます。いろんなタイプとコミュニケーションすることで、こういうタイプとは、こう話せばいいんだなという学びが増えて、コミュニケーション能力が向上し、話すことで緊張しなくなると思います。要は”慣れ”なんです。

Q:ピンチ!受験間際に、子どもがスランプ。こんな時はどうしたら?

てぃ先生:言葉じゃなくて、可視化することです。例えば、野球選手が大会前に、練習で折ってきたバットを並べて、「これだけ自分が練習してきた」ということを可視化するなど、です。

小学校受験で言えば、「その子の良いところを書き出して貼っていく」などはどうでしょう。良いところとは、結果ではなく過程の部分です。それを具体的に書くことです。「毎日机に座って勉強したね」「一生懸命に発表していた姿が素敵だったよ」「形をゆっくり丁寧に書こうとしている姿がかっこよかった」など、親として、気付いたところ、褒められる部分を頑張って最低10枚以上書き出してお部屋に貼っていたらどうでしょう。

自分の良いところを可視化できることは、大事です。そうすることで、事実を認識できる からです。頑張った過程を目にして、「確かに自分は頑張ってきたよな」と思えると、自信に繋がります。

「大丈夫、大丈夫」と言っても、当事者である子どもには、「何をもってして大丈夫?」となってしまいます。できれば日頃から、写真とか動画で、勉強している姿をおさえておくのも良い方法ですね。自分の良い状態をみることで、心が安定するものなので。お母さまでしたら、例えばパートナーと喧嘩して嫌だな、と思うことがあっても、楽しかった旅行の写真や結婚式の写真を見ると、少し心が落ち着きますよね。それと同じです。

“「魔法の言葉」では、どうにかできません!視覚的なことの方が、断然強いです”

てぃ先生プチ知識────

言葉より可視化、という意味では、「道路に飛び出すのは危ないですよ」と話すより、おもちゃの車と人形で、ビジュアライズしながら、ケーススタディを見せた方が理解しやすいですよ。公園に行って「すべり台3回で帰ろう!」と言っても子どもが帰りたがらない、のような時にも、アイテムを3つ並べて見せてあげて、1回滑ったら1つずつ消えていくのを可視化すると、子どもも理解し、納得しやすくなるんです。

 

Q:子どもに自信をつけさせる、ってどうしたらいいの?この年齢における、自信とはどんなものでしょう?

てぃ先生:「自信を持って」と言って、持てるものではありませんよね。これは、中長期的にやった方がよいことなのですが、実は、無関係なことが自信につながるんですよ。子どもにとって心の支えになるのは、好きなもの・夢中なものです。

例えば、電車がめちゃくちゃ好きなお子さんがいたとして、教育熱心な親ほど、そんな子どもの姿を見て「電車だけでは足りないのでは?」と考え、いろんなものに興味を持ってもらおうと「絵本はどう?」「お花は?」と選択肢を提示してしまいがちです。でも、そうではなく、「自分は電車が好き」「電車の中でもこまちが好き!」などという軸が出来上がって、それが幹になり、枝葉がついて、初めて自己肯定感の木が完成すると考えてください。

好きなことでしっかりと、自己肯定感の木ができていると、園などで「さぁ、リトミックやりましょう」のように、突然新しいことを提示されても、「自分は〜ができるから、あれもできるかも!」と思えたりするかもしれませんし、もしリトミックできなかったとしても、好きなものの基盤があるから、「リトミックができなくても、自分には電車があるから大丈夫!」と思えたりする。それこそが、自信の正体なんです。

“自信とは、好きなもの・興味のあることに没頭することを確保してあげることで育つもの”

てぃ先生と田口さん

 

てぃ先生プチ知識────

好きなものと言うと「うちの子は好きなものがありません」という人もいらっしゃいますが、それは「好きなもの」のハードルを勝手に上げているんだと思います。子どもが興味を持ったものは、小さなことでも、なんでもいいのです。例えば「指が鳴らせる」とか「口笛が吹けるとか」でも、子どもにとっては十分に自信に繋がりますよ!

 

Q:どんな結果であれ、受験が終わった時には、どのように声をかけ対応すべきでしょうか?

てぃ先生:「今までやってきたきたことを褒める」これは基本です。 

これは、合格したとしても、結果だけでなく、慢心しないようにという意味も込めて結果ではなく、勉強をしていた過程を認めた方がいいですよね。本人がもし、結果に落ち込んでいたとしたら、慰めることも必要ですが、それ以上に、合格してもしなくても次の目標を見つけていくことが大事だと思うんです。

というのは、受験直後って、一番子どもが「頑張った」という気持ちが高まっている良い状態だからです。ですから、休憩はしてもいいのですが、その一度高まった気持ちを、未来へ繋げることが大事かなと思います。小学校受験って、そもそも人生の入り口でしかありませんから、通過地点ですよね。

不思議なもので、受験に対して、さほど熱心じゃなかった子でも、やはりその子なりに受験直前直後は、気持ちが高まっているものです。ですから、どんな子でも、それを利用しない手はないと思うのです。

新しい目標として「この小学校にはこういうことがあるよね!」とか、「サッカークラブがあるから頑張ろうね」とか。おうちにできるお手伝いのような小さな目標でもOKです「次の目標のために頑張ろう」と思えるように、親子で話し合いの時間を作ってみてはいかがでしょうか。

“上がりきった熱を冷まさないことでです”

田口:いかがでしたでしょうか。小学校受験に取り組んでいるご家庭の方に少しでもご参考になれば幸いです。また、受験していないご家庭にも役立つてぃ先生からのアドバイスでした。次回は、「てぃ先生が考える子どもに必要な力は?」や「子どもが遊んでいる時に、勉強に向かわせたい時は?」などなど、さらに様々な気になる質問に、大納得な解決法をご紹介します!お楽しみに!

次の記事:小学校受験直前!大人気保育士てぃ先生に聞くシリーズ〈2〉【お受験ママの相談室 vol.25】

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教えてくれたのは…

保育士 てぃ先生

現役の保育士でありながら、SNSの総フォロワー数が200万人を超え、幅広い分野で活躍中。その具体的な育児法は斬新なアイディアに溢れ、世のママパパから圧倒的な支持を得ている。著書は累計70万部を突破、全国での講演活動は年間50本以上で、他園で保育内容へのアドバイスを行う「顧問保育士」の創設と就任など、保育士の活躍分野を広げる取り組みにも積極的に参加している。

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Interview&Writing

教育ジャーナリスト 田口まさ美

株式会社小学館で編集者として初等教育教員向けコンテンツ中心に教育、学習、子どもの心の育ち、非認知能力・海外の教育などの取材を経験。同社にてファッション誌編集含め23年以上(教育編集者として10年以上)携わり2022年独立。現在教育ジャーナリスト・編集者として留学・進路などの情報を発信、本連載を担う。カナダ留学中の娘の母。Starflower inc.代表取締役。
▶︎Instagram:@masami_taguchi_edu

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