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EDUCATION 子供の進路・学校

2024.07.22

<中学校受験>2024年度 小受・中受受験市場の最新傾向と対策をプロに聞く!【お受験ママの相談室 vol.22】

こちらでは、中学受験の最新情報をお届けします。中学受験市場の全体の傾向から、最近人気の高まっている学校の傾向、信頼できる校長先生のいる学校など、長年の業界人脈と客観的データの蓄積がある森上教育研究所・森上さんならではの貴重な情報が満載となりました。中学受験を控えたママ必見です。小学校受験編もぜひ併せてご一読ください。

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第22回:中学受験の知って得するニュースを一挙公開! 
超ハード受験とゆる受験の二極化も

〈お話を伺った方〉
森上教育研究所 代表取締役 森上展安さん
株式会社サイタコーディネーション代表取締役・教育学博士 江藤真規さん

聞き手・原稿:教育エディター 田口まさ美
Instagram:@masami_taguchi_edu

 

──中学校受験2024年の最新傾向はいかがでしょう?

森上:減少に転じた小学校受験とは違い、中学受験に関しては、まだこの年齢層は少子化に及んでいなくて、神奈川県が少し減ったものの、全体としてはほとんど減らなかったんです。わずかに全体で70名ほど減ったのですが、出願率は全く減りませんでした。

小学校受験2024年の最新傾向はこちらから▼

棒グラフ

2月1日午前の試験受験者数を見ますと、ピークといわれた一昨年や昨年より、やや減っています。ですが、2月1日の受験比率を見ると増えており、偏差値40くらいまでの学校が平均倍率が3倍くらいでした。相当ハードな状況です。

昔は、中学受験は難しいところほど受験者が多く【逆ピラミッド型】だったのですが、近年の特徴は、真ん中から下、偏差値でいうと35くらいの受験者が増えていて、ほぼ【ドラム型】に変化しました。下のグラフをご覧下さい。 

2月1日午前中の受験者数の変遷 2022-2024 男女別ヒストグラム

2月1日午前中の受験者数の変遷 2022-2024 男女別ヒストグラム@森上教育研究所

※アルファベットは以下の四谷大塚偏差値をあらわしています。
A 65以上
B 60-64
C 55-59
D 50-54
E 45-49
F 40-44
G 35-39
H 偏差値なし

 

この傾向は、コロナの頃からはっきりしてきました。トップ校の入試問題が難しくなっているのもあり、無理してトップ校を目指さない受験者も増えているんです。二局構造になっており、とても厳しい“超ハード受験”と、“ゆる受験”とが二層ある。これは新しい傾向です。

2019年に、東京23区大学定員の厳格化政策がとられ、大学が合格者を出しにくくなり、大学に入りにくくなったので、付属ブームが起きました。その影響で、2021〜2023年は日大などの付属系学校が大変人気でしたが、今年は少し沈静化したようです。しかし早慶MARCHは、そこそこ堅調です。来年4月はまた増加するのではないでしょうか

人気校・魅力的な校長でますます注目の学校

──業界随一の情報と私学校長との人脈を持っていらっしゃる森上さん。人気の学校を教えてください。

森上:去年一昨年は、【広尾小石川】【芝国際】はじめ、国際系の学校がブームで人気を集めました。英語がしっかりできる学校は人気です。

【広尾学園】や【三田国際】、【開智日本橋】【広尾学園小石川】【芝国際】などの国際系が強く海外大学を見据えた学校は、絶大な人気がありますね。また大学の附属や、附属に新しくなる継続学校も大変人気です。

2026年には、明大前にある日本学園中学校・高等学校が、【明大附属世田谷中学・高等学校】となり、2026年から明治大学の系列校になります。共学にもなりますので、こちらも大変人気が出るのではないでしょうか。

【順天中学校・高等学校中学】は、北里研究所がオーナーになります。昨年暮れに発表され、来年4月からスタートするので今年は3割受験者が増えました。少子化を見据え、大学が手を打ってきていますね。

私立中学校の知られざる背景

森上:あまり知られていないことですが、トップ男子校として有名な【開成学園】は、教師の給料が一流企業並みに高いんです。それも大切なことですよね。職員のお給料に力を入れた学校は、学校の力が上がると思います。

また、女子校は改革をすると変わりやすいと言われます。女子生徒たちの学力には幅があまりないと言われていて、比較的少し改革すると結果が出やすいという特徴があります。

大学生の傾向としては、東京の大学に地方から来なくなってきて久しいです。特にコロナ禍が追い打ちをかけました。近年は、地方の学生も、東京には出ず、ほとんど地元の大学へ行きます。地方から東京の大学に子供を出すと仕送りが大変ですから。 少子化が著しく進み、地方の塾も衰退しています。

そうなれば、私立大学は、首都圏の中学や小学校から学生の確保を考えなければなりません。そんな背景もあり、中学受験者数は、急激に上がることはないですが、簡単には下がらないでしょう。また、人口としても東京都では、小学校6年生は減っていませんから。小1で減っても、小3くらいから東京への人口流入により増えています。

もう一つの変化としては、小学校受験も中学校受験も、外国人受験者が増えています。特に、「国際」と名前につくような学校は、外国人も受験しやすいですので、その傾向があります。

女子のトップ校、【豊島岡女子学園】などは、算数と英語資格入試という英検やTOEFLなどの得点で入試を行うことも来年からスタートします。外国籍の子供や帰国生には嬉しい仕組みで、一気に注目が集まっています。

江藤:外国人の幼児教室も、最近はありますね。
森上先生からお聞きするような、公正な立場からの受験情報を知っておくことは大切ですね。データに基づいてきちんとした情報を得ないと、近年本当に変わってきています。保護者の思い込み、過去の価値観のままではなく、親も情報をアップデートしていかなければなりませんね。

──学校は校長次第とも言われます。森上さんおすすめの、素敵な校長先生がいらっしゃる注目校を教えてください。

森上:中部圏では、森田祐二校長のもと、【関東学院中学校高等学校】も、すごく伸びています。森田校長は、若手の校長として注目です。

【富士見中学校高等学校】の善本久子校長は元々都立白鴎にいらっしゃった方で、素晴らしい。この学校も、今後ものすごく伸びると思いますよ。

【菅生学園初等学校】の布村浩二校長先生は数学指導を長く東大寺学園で指導され東大京大に沢山の生徒を送り出された、いわば技量のある方であり、同時に授業の良さを数学に限らず他教科とも共有できる先生です。 

【明星中学校高等学校】水野次郎校長は、元々ベネッセにいらっしゃり、しまじろう作ったことで有名な水野校長は、生徒と頻繁に会話をされている方で、いつも面白い取り組みしていらっしゃいます。

人気キーワードは国際系と理系進学、女子こそ理系!

左から田口さん、 江藤さん、森上さん

森上:私立中学は、今はとにかく”国際系”と”理系進学”の2つのキーワードあると人気が出ます。”探求”も今や言わない学校はないですね。

実はMARCHの付属校の理系進学率は15~20%くらいなのです。かなり文系中心です。対して、男子の進学校で偏差値55以上の学校になると、6割近くが理系進学になります。

桜蔭も、6〜7割が理系ですね。先にご紹介した富士見中高では、理系が4割いて女子校としては高い比率と評価できます。今の時代、理系は就職率に直結しますから、どのくらいの割合が理系に行っているかも、大事な指標ではないでしょうか。

特に女子は、理系が弱いという思い込みを捨てて、理系を強化すると良いと思います。日本では、理系科目の女性の先生が少ないんです。そこから変えていかないといけないかもしれませんね。

江藤:女子バイアスは取り除く必要はありますね。娘も理系で医学部へ進学しました。親の意見や一言も影響が大きいので、無用な思い込みをもたせないように気をつけないとですね。

江藤さん

中学受験に関しては子供の力の育成のプロセスにもなっていくものです。そのプロセスの中で、さまざま非認知能力も育つと思います。

私の娘たちも中学受験をしてよかったと言います。勉強経験が今に生きているし、塾も楽しい場だったとか。子供が見ている世界と大人が見てる世界は、違うこともあります。可哀想と思うばかりが正解ではないかもしれません。

森上:塾は楽しくないと続かないですもんね。

江藤:受験に対して辛い、苦しいというイメージがついていますが、全員に当てはまるとも限りません。実際に子供たちがそう感じているかどうかが大事だと思います。チャレンジとか自分を超えることへの挑戦という心持ちを持てれば、成功ですね。

また一方で、”ゆる受験”という言葉のように、受験の定義が広がって、そのチャレンジの仕方も様々になりました。その子に即して選ぶようになってきたのは、良いことです。どう選んだらいいのか?と迷うと思いますが、ポジティブに捉えていただければと思います。

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教えてくれたのは…

森上教育研究所 代表取締役 森上展安さん

森上教育研究所を主宰。中学受験や中高一貫教育、学習塾の問題に詳しく公正な立場での信頼あるデータ提供に定評があり私立業界での人脈も広く深い。NHKテレビ出演や著書多数。「わが子が伸びる親のスキル研究会」を主宰し、保護者向けの公開講演会を20年に渡り継続している。

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教えてくれたのは…

教育学博士 江藤真規さん

東京大学大学院教育学研究科 博士課程修了。一般社団法人小学校受験協会理事や㈱サイタコーディネーション代表取締役として子育て・家庭教育に関する講演や執筆活動を行う。「子どもの主体性」を伸ばすコーチングスクール、学びの土台作りを目指したクロワール幼児教室を主宰。著書「子どもを育てる魔法の言い換え辞典」「母親が知らないとツライ女の子の育て方」他。娘2人は中学受験を経て東大に現役合格。
▶︎子育てコーチング:サイタ・コーディネーション

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Interview&Writing

教育ジャーナリスト 田口まさ美

株式会社小学館で編集者として初等教育教員向けコンテンツ中心に教育、学習、子供の心の育ち、非認知能力・海外の教育などの取材を経験。同社にてファッション誌編集含め23年以上(教育編集者として10年以上)携わり2022年独立。現在教育ジャーナリスト・編集者として留学・進路などの情報を発信、本連載を担う。カナダ留学中の娘の母。Starflower inc.代表取締役。
▶︎Instagram:@masami_taguchi_edu

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