こどものいのちはこどものもの。児童虐待をなくすために動き出しました
目黒区で5歳女児が虐待死するという本当に本当に悲しい事件が起きました。虐待のニュースって大人でもこたえますよね。今回の事件だけではなく、これまでもたくさんの児童虐待のニュースが流れてきて、そのたびに私は悲しくて傷ついて、その感情をどう処理していいかわからず、虐待した親に対してひたすら激怒することでやり過ごしてきました。だってとてもじゃないけど、辛すぎる。詳細すら怖くて聞きたくない。それに向き合ったとて自分ひとりで何か変えられるわけがないと無力感に苛まれるのがオチ。
でも、今虐待されている子供は何万といて猶予なんかないんです。大人の私がニュースを聞くのを辛すぎるなんて言ってるその瞬間に、比じゃないくらい辛い思いをしている子供がいる。 目黒の事件を朝の情報番組『スッキリ』で「変えなければいけない」とコメントしたら、ラインなどSNSにたくさんの友人からメッセージが届きました。子供がいる人、いない人関係なく大人たちが一緒に悲しんでいました。 そこで「みんな同じ気持ち? 動いたら何か変わるかも」と思えたんです。それに私は幸いにもメディアに出演できるし、SNSでもフォロワーさんがそこそこいるじゃないですか。これまで分不相応だと思っていた自分の持てる力を活かすのは今なんじゃないだろうか。
イラスト/犬山紙子
児童相談所にもっと予算があれば、専門性のある人員がもっといたら、システムの不備がなければ、生き延びられた子供たちがこれまでいっぱいいて。そんなのおかしいし、そこを変えるには政治家に動いてもらうしかない。 そんなわけで私は「 #児童虐待問題に取り組まない議員を私は支持しません 」というハッシュタグをつくり発信することにしました。このハッシュタグが盛り上がってたくさんの人の意見が可視化されて、議員さんが取り組まざるを得ない状況をつくりたかったから。 このことがヤフーニュースになったこともあり、ハッシュタグは100万以上の人にリーチしました。私のつぶやきを議員さんが「いいね!」してくれたりもありました。 仲間もできました。眞鍋かをりさん、ファンタジスタさくらださん、福田萌ちゃん、坂本美雨さん、みんなが賛同してくれて、今度は「#こどものいのちはこどものもの」というハッシュタグを使い、より多くの人にリーチすべく児童虐待をなくすチームをつくったのです。
今、国や自治体も虐待防止のために動き出しています。それはもしかしたらつぶやいてくれたみんなの声が届いたこともあるかもしれない。でも、対処療法でなく、複雑に絡み合う問題点をひとつひとつ解決していって欲しい、そのためにも私たちは今後も活動を続けます。この号が出るころには厚労省にハッシュタグを提出した後かもしれません。 みなさんも、もし虐待をなくしたいと思っていたらハッシュタグ「 #こどものいのちはこどものもの 」を使ってつぶやいてみませんか。それは可視化されてひとつの力になります。 こどものいのちはこどものものです。でも、守れるのは私たち大人だけなのです。動いた分は、絶対に無駄にはならないですから。
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コラムニスト
犬山紙子
1981年生まれ。『負け美女』(マガジンハウス)でデビュー。人間観察の名手として注目を浴びる。ユーモアあふれる表現で女子の生態をつづった著書多数。2017年1月に出産、一児の母に。オフィシャルLINEブログやインスタグラム@inuyamakamikoでも日常を発信中。
Domani2018年9月号 新Domaniジャーナル「ピッカピカの! ワーキングマザー一年生」 より
本誌取材時スタッフ:イラスト/犬山紙子 構成/佐藤久美子