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2019.02.06

仕事もおしゃれも第一線を目指したら、カレに浮気されました【MBAと婚活/早苗の場合1】

MBA取得はビジネスのためだけれど、実は結婚にも大いに役立つ!? 身をもって証明したキャリア女性の実話シリーズ。

Text:
南 ゆかり(フリーエディター)
Tags:

story1 私には結婚という形が合わないのかもしれない

Profile
早苗さん(37歳・仮名) 既婚・子どもひとり
職業/医療機器メーカー・広報
趣味/海外旅行、ワイナリー巡り
住まい/シンガポール(賃貸戸建)

医療ドラマに憧れて

「あれはもう17~18年前。大学生のときに読んでいた『CanCam』に、海外のMBA【※1】を取得した女性のインタビューが載っていました。社会人になって経営を体系的に学びたいと思ったと語っていたその女性。勉強って、学生で終わりなわけじゃない。社会人になっても、勉強し続けるって、なんだかいい。そして、おしゃれに知性も加わると、女性ってこんなに魅力的なんだ。そうか、MBAね…」その記事の女性の名前も顔も忘れてしまったけれど、早苗はときどき、このときの自分の感情を思い出す。おしゃれとデートとスイーツだけじゃない、女性の輝き方があるということに気づいた、そのときの自分を。

「医療機器の会社に就職したのは、子どものころから医療ドラマが大好きだったから。人の命を救うことに関われることは尊いし、カッコよく見えました。特に好きだったのは、『ER救命救急室』だったかな。

配属されたのは企画部門でした。技術者と一緒に新製品の企画をまとめる仕事です。仕事がハードなことは覚悟していたけれど、恋愛や家庭とも両立させて、どっちも同じくらい頑張るぞって、ずいぶん力が入っていました。海外ドラマの影響かしら(笑)。スーツ着て赤ちゃん抱えて、というのも憧れ。そんな映画もどこかにありましたよね、なんでしたっけ? そして理想は、夫婦になっても恋人みたいにラブラブでいること…」

その理想を追い求め続けていたのが、早苗の20代だった。同期の中ではトップの早さで、チームリーダーに抜擢され、仕事が「デキる」称号は入社2~3年のうちに手に入れた。そうすると業界内の勉強会やミーティングの機会も増える。そこからつながって、毎週のように業界内合コンがあった。趣味で通っていたワインスクールでも、水面下ではいつも、どこかに出会いがないか意識していた。その中から、食事に行く程度の軽いつきあいは何人かあったけれど、結婚話にまで発展したのは、結局はいちばん近く会社内の男性だった。

相手は、早苗の企画部門に異動して来た1年先輩のタカシ。早苗の「デキる」姿を褒めてくれたのが、うれしかった。将来の期待値も高く、スペックも申し分のないタカシ。順調に結婚の話は進んだのだけれど…。

【※1】MBA/「Master of Business Administration」の略で、日本では経営学修士と呼ばれる。資格ではなく「学位」であり、世界各国MBAプログラムを提供している大学院は、通称「ビジネススクール」と呼ばれている。アメリカがその基礎をつくり、現在は世界各国に広がっている。

 

浮気メールからわかったこと

「タカシのお母さまは、結婚と同時に仕事を辞め、ずっと家族のために全力を尽くしてきた方でした。だからタカシも、私には残業なしで帰って来てほしい、残業があるなら部署を異動して欲しい、ゆくゆくは辞めてほしい。そう思っていました。ワインスクールの後、仲間と飲みに行くことさえ、いい顔をしない。

お互いに思い描く家庭像が違うことが、どんどんわかってきました。ケンカも多かったし、そうなるとどっちが謝るかの根比べみたいなことも続きました。そんなケンカの真っ最中、タカシから来たLINEが、私の気持ちを凍りつかせました。『次の休み、どこ行くー? 楽しみだね♡』。もうこれ、完全に誤送信でしょ。相手、私じゃないでしょ。

すぐには攻めず、あとで聞いたら白状しました。タカシ、なんて言ったと思います? 『早苗が忙しくてかまってくれないから』『寂しかったんだ』って」寂しかったのは、早苗だって同じだ。でもそれは、誰かがそばにいない寂しさではなく、パートナーと人生観を共有できない孤独感というのが近いかもしれない。

「仕事は第一線で、それを諦めずに家庭と両立する。それはワガママなのかしら。それを主張し続ける私は、もしかして結婚に向いていないのかしら。仕事をバリバリやりたいけれど、それを歓迎してくれる男性は、ほぼいない。諦めというよりは、自分分析の結果の答えでした。

そして次に思ったのは、来週に控えている社内での部署異動希望の申請締め切り。そろそろ、アプライしてみようかな。ずっとやりたかった広報に。本当はもっと早くに応募したかったけれど、残業が多くなることを心配して、タカシに遠慮していた。今なら、いいよね」

早苗は31歳になっていた。考えたいことがあるとき、早苗は行きつけのワインバーにひとり立ち寄り、しっかり自分を見詰め直す。よく飲むのは、フランス・ブルゴーニュ地方のジュヴレ・シャンベルタン。淡いルビー色は見ているだけで落ち着くし、渋みが少なく、スっと自分の中に染み込んでいく感覚が好き。今日はひとりで、3杯お代わりした。そして、かつての部署異動希望記事が頭をよぎった。女性が輝くって、どういうことなんだろう…。(story2に続く)

南 ゆかり

フリーエディター・ライター。『Domani』2/3月号ではワーママ10人にインタビュー。十人十色の生き方、ぜひ読んでください! ほかに、 Cancam.jpでは「インタビュー連載/ゆとり以上バリキャリ未満の女たち」、Oggi誌面では「お金に困らない女になる!」「この人に今、これが聞きたい!」など連載中。

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