コラムニスト・犬山紙子さんが語るワーキングマザーのあれこれ
1:ワーママの頭をよぎる、どことない不安感じたことありませんか
「お父さんとお母さん、どっちが好き?」という質問は残酷なこと。冗談っぽく流したとしても、呼ばれなかったほうの心に確実に小さな闇が生まれてしまいます。絶対聞いちゃいけない質問ランキング1位です。
▶子供に「お父さんとお母さんどっちが好き?」なんて残酷なこと聞かないで
2:産後クライシスでは片付かない「夫が嫌い」問題
正直子供を産んでから夫が嫌いになったという人の話、それは産後クライシスだからで片付くものじゃないことが多い。『子供できたけど俺はこれまで通り』が通ると勘違いして、妻の犠牲を見て見ぬ振り…。それじゃ嫌いになって当たり前。実際ママたちに話を聞いたところ、かなりの割合で「夫が嫌い」「夫にどんどん幻滅している」という話が出てきます。
3:育児中の母親の、なくてはならない存在。それは検索エンジン
育児について母親は様々な疑問や不安を持ちますが、そんなときに登場するのがネットの検索エンジン。妊娠中は「つわり 楽になる」「マタニティ服 おしゃれ」「逆子 治る確率」だったり、産んでからも「母乳 飲まない」「冬 室内 温度」「手足口病 大人 感染る」「赤ちゃん インフル ワクチン」「海外 おしゃれ ベビー服」「赤ちゃん 温泉」など幾度となく検索し、ときに勇気付けられ、ときに苛立ち、ときに振り回され、ときに安心し、なくてはならない存在だったのです。
4:「保育園なんか」と切り捨てていいものかどうか
ある女性議員さんが「世の中に『待機児童』なんて一人もいない。子どもはみんなお母さんといたいもの。保育所なんか待ってない。待機してるのは預けたい親でしょ」とツイッターでつぶやいていた件。保育園は「保育所なんか」と切り捨てて良い場所なのでしょうか。 こんなことを議員という立場の人がつぶやいていることに暗い気持ちになってしまうのです。
▶「待機児童」なんて一人もいない?「#保育園落ちた」に思うこと
5:まだ社会は、性別が理由で人を苦しめるようになっている
社会は性別が理由で人を苦しめていることがあり、「女だから子どもを産んだ後重要な仕事を任されなくなった」や、保育園に入れなくて女性がしたい仕事を諦めなきゃいけないのも然り。男性だって育児をしたくても育休が取りにくい、会社を休みにくいなど、まだまだ性別で不自由なことがいっぱいあるのです。
▶2人目が欲しい。でも正直、キャリアと子供を天秤にかけている
6:ママたちは、余裕がなくなるくらい頑張っている
気軽にできるSNS。でもSNSを見てつらくなってしまう人も多数いて、特にママ同士だと過敏になってしまうことも。例えば「うちの子よりも月齢が低いのにもう歩いてる…」「あの家は夫の稼ぎが良いアピールが激しくて嫌だな」「保育園受かったのに大変とか言ってるんだ」とか…そんな風に感じてしまう。そう感じてしまうときって、頑張りすぎているときだったりするんです。
7:セクハラ被害者が責められる日本。「嫌」と言える世の中に
イヤイヤしている娘を見ていて「でも嫌なことを嫌って言うの、大人になると難しいよねえ」と思ってしまいました。イヤイヤ期のようにわがままし放題にできないって意味ではなく、本当に嫌なことでも嫌って言い難い空気。今はまだ嫌って言った人がさらに嫌な目に遭うことが多い状態なんですよね……。
8:仕事がはかどり、機嫌もよくなるワーママとお金の関係
子どもが生まれたらお金がどんどん出ていくということは覚悟していたけれど、1年分の使ったお金を確認したら、産む前の1.5倍になっててひっくり返りました。「金が出ていくっていったって、これまで飲み歩いてたお金はぐっと減るからそこまで変わらないのでは」と思っていた私がアホだった…。
▶産後の出費は産前の1.5倍!? ワーママのお金のかけどころ
9:児童虐待をなくすために動き出しました
今虐待されている子供は何万といて猶予なんかないんです。大人の私がニュースを聞くのを辛すぎるなんて言ってるその瞬間に、比じゃないくらい辛い思いをしている子供がいる。同じ思いをもっている人が大勢いるとわかり「 動いたら何か変わるかも」と思えたんです。これまで分不相応だと思っていた自分の持てる力を活かすのは今なんじゃないだろうか。
▶「#こどものいのちはこどものもの」児童虐待をなくすチーム作成
10:ワーママ2年目にしてイライラ爆発! カウンセリングを受けてみた
元々イライラしやすい性格で、結婚時に夫とうまくやっていくためにも怒るのをやめようと心を入れ替えても、余裕がなくなるとダメ。生理前は特にイライラが募り理不尽に怒ったり、家事育児と忙しい夫に「あれができてない」とか指摘してしまうということが最低でも月1であったから、カウンセリングに通い始めました。
▶脱イライラ!「カウンセリングを受けたら怒らないようになった」
11:子どもをほしくない人が7割というアンケート結果
先日ちょっとびっくりするデータに触れました。それはバズフィードジャパンの「子ども、ほしいですか?」というアンケート。子どもをほしくない人が7割だったのです。 バズフィードを読む層(様々な社会問題に意識が高い層と思われる)という特徴を踏まえても、1000人以上の20代もたくさんいるアンケートで、子どもはいらない派が7割というのに驚き、でも「そりゃそうだよな」とも思うのです。
▶「子供をほしくない」と思う人がこんなに多いとは知らなかった!
12:ひとりで背負って壊れてしまうなら自立なんかしなくていい
「私って自立できてるのかなあ」ふとそんな問いが頭をよぎりました。そもそも自立の定義は何かと調べてみたら「自分以外のものの助けなしで、または支配を受けずに、自分の力で物事をやっていくこと」とありました。うん、私自立してないこと確定です。でも、この定義を見て自立なんてクソ喰らえだとも思いました。なぜってこの世で誰かの助けを借りずに心身ともに健康で生きていくなんて無理だから。
私、子ども欲しいかもしれない。/¥1,300 平凡社「子供は欲しいけど、実際どうなの?」出産前の犬山さんが育児体験者の話を聞いて、〝どうしよう〟をとことん考えた「出産・育児」のリアル。母親の本音が炸裂です!
コラムニスト
犬山紙子
1981年生まれ。『負け美女』(マガジンハウス)でデビュー。人間観察の名手として注目を浴びる。ユーモアあふれる表現で女子の生態をつづった著書多数。2017年1月に出産、一児の母に。オフィシャルLINEブログやインスタグラム@inuyamakamikoでも日常を発信中。
Domani2018年連載 新Domaniジャーナル「ピッカピカの! ワーキングマザー一年生」 より
本誌取材時スタッフ:イラスト/犬山紙子 構成/佐藤久美子