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2019.04.12

生きるのに大事なのはITよりも食事。ブームにも踊らされません【ストイック女子/KANAの場合2】

どこまでも、自分のやりかたを一直線に貫くストイック女子のリアルドキュメント。3人目は、「食べること」「作ること」にこだわるKANAさん。(3回連載)

Text:
南 ゆかり(フリーエディター)
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story2 生きるのに大事なのはITよりも食事。ブームにも踊らされません

Profile
KANA(仮名) 44歳
職業/大手食品会社勤務。調査部・食品開発部・商品企画部を経験し、2年前から新規事業開発部へ。
住まい/都内で夫・子ども(中学1年生)と暮らす

story1 24時間、呼吸をするように料理のことを考えます

食のおかげで娘は病気知らず

「栄養のバランスはもちろん大事です。それに加えて、娘が受験シーズンのときは、勉強のリズムやストレス対策も考慮しました。夕食は油の量を控えて重たくしないように。夜の勉強や眠りを妨げず、胃に負担をかけないこと・消化にいいことは、絶対ですからね。

また、風邪をひかないように生姜やネギを多く使ったりも。生姜が苦手な娘のために、すりおろしてスープに入れたりしました。勉強が煮詰まっているなと感じたら、ホットミルクを差し出して、『今日は早く寝たら』と提案することもあります。

そして大事なのは、塾に持って行ったお弁当箱の食べ残しチェック。中身があまり減っていなかったら、ストレスフルなのかな。煮詰まっているのかな。娘の状況を判断する手がかりにもなります」

こんなふうに、KANAの家では、食が生活の主導権を担ってきた。娘が小さいときから、朝起こす合図は「朝ごはん何食べたい?」だったし、寝起きが悪かったら、いちごを口に入れて目覚めさせることもあった。

「朝も、まずは食べたいもののオーダーを聞きます。おかずは納豆がいいか卵がいいか。卵は生なのか焼くのか。飲み物はココアがいいか紅茶がいいか…。娘にも夫にも、食べたいものは自分で決めてもらうのです。そして私は、そのリクエストに答えられるように、いつでもスタンバイ。その結果、娘は本当によく食べるようになったし、とにかく病気知らず。結果、ワーキングママとしては助かっています」

肌荒れも白髪もなくなりました

生活が食を中心にして回るようになったのは、子どもをもってから。

「かつてはIT業界で営業の前線にいました。クライアントからクライアントへ、移動の時間も食事の時間も惜しいくらいで、よくエネルギー補給のゼリーを飲んでいました。いっそ、お腹がすかなければいいのに。そう思っていたくらいです。そういえば、肌荒れもあったし、ちらほらと白髪も出始めて、まあ30代になれば仕方ないかな、というくらいに思ってました。

そんな状況の最中で妊娠。過酷な環境にいながら体の変化を感じるようになって、さすがに食べ物のことを気にかけるようになりました。当時はつわりがひどくて、常に何か口にしてないとつらかったんです。営業に行くにも、小さく握ったおにぎりを持ち歩いたり、グレープフルーツをビニールに入れておいたり。気持ち悪いとき、柑橘類の匂いをかいで抑えていました。自分の体調のことを考えつつ、生まれてくる子どものために、どんな食生活がいいのかも、調べるようになりました」

妊娠中の栄養のこと、食事のこと、そして出産後は母乳のための栄養のこと、情報はいくらでもあったが、それらをひととおり勉強しつつ、どれが自分に合っているのか、考える毎日が始まった。

と同時に、KANAには気にかかることがあった。周囲のママたちの、「料理が面倒」「自分で作らない」という声。自分もそうだったこともあり、それならば、困っているママたちに役立つことをするべきじゃないか。社会人を続けていくなら、何か社会に還元できることをしたい。食べることをもっと大事にしたい。

「そう思って、食の業界に転職を決めました。今の会社を選んだのは、『食を通じて人とつながり、笑顔ある暮らしを共につくる』という企業理念が、私が考えていたことと、まさに一致していたから。IT業界にいたからなおさら感じるんです。人が生きるのに大事なのは『ITより食事』だと。

実は転職後、IT営業をしていたときのような肌荒れも白髪もめっきり減りました。いつの間にか花粉症も治っていました。妊娠中から、野菜を多く使って料理をするようになり、乳製品もきちんととって、腸内環境が整ったのだと思います。当時はまだ腸活という言葉もなかったころですが、食べ物で腸が変わり、体が変わること、若々しくなれることを、実感したのです。ただし大事なのは、バランスよく3食いただくこと。すごく特別なことをしたり、ブームに踊らされたり、“○○ばかり食べる”のようなことは、ありません」(story3に続く)

南 ゆかり

フリーエディター・ライター。ただいま、7月頭発売の書き下ろし新刊を準備中! ほかに『Domani』2/3月号のワーママ10人インタビュー、Oggi誌面「お金に困らない女になる!」「この人に今、これが聞きたい!」、 CanCam.jpでは「インタビュー連載/ゆとり以上バリキャリ未満の女たち」なども掲載中。

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