story3 ブーム前にとことん食べて、情報を自分の中にストックする
Profile
KANA(仮名) 44歳
職業/大手食品会社勤務。調査部・食品開発部・商品企画部を経験し、2年前から新規事業開発部へ。
住まい/都内で夫・子ども(中学1年生)と暮らす
story1 24時間、呼吸をするように料理のことを考えます
story2 生きるのに大事なのはITよりも食事。ブームにも踊らされません
グルメメモに情報をストック
自身の妊娠と、食品会社への転職で、食とのつきあい方が変わったKANA。娘の中学受験も無事終えて今、少しだけ自分の時間ももてるようになってきた。
「外出先、出張先で、次に行きたい店のリストを、どんどんためています。情報源は、LINEニュースやフェイスブック、テレビの情報番組などいろいろ。候補の店を見つけたら、LINEに<グルメメモ>というグループをつくって、そこに情報をためていくのです。そして、時間ができたらその店を回ります。ひとりで食事をするのは、全然平気。全国どこでも、行きたい店があればひとりで行きます。近ごろは北陸が気になっていて、能登にはお気に入りのお寿司屋さんがいくつかあります。雪深い真冬、金沢から足を延ばして、かぶら寿司と日本酒を楽しむのは、幸せなときです。
情報のストックは外食だけではありません。チーズにハマれば、あらゆる種類を食べてみて、味のサンプル数を自分の中に増やしていく。そうすると、ちょっとした違いに気がつくようになって、味覚が研ぎ澄まされるんです。外食したときも、何のチーズをどう使っているのか、風味がどう生かされているか、わかるようになります。
数年前にはカカオをひたすら食べて、カカオ含有%ごとの違いもずいぶんわかるようになりました。ラーメン屋をくまなく行き尽くしたこともありました。ブーム前に熟成肉の店を制覇したこともありました」
どの場合も、「世の中にブームが来る前に」徹底的に食べ尽くし、ブームが来たときには「周囲に語れるくらい詳しい」というのが、KANAの得意技。お店の情報、味の記憶を自分の中に蓄えていって、会社の仲間やママ友が世の中のブームに気づいたころ、「いい店ない?」「何がおいしい?」と聞かれたら、KANAの<グルメメモ>と味の記憶の出番だ。
ウエディングドレスも100着試す!
「ストックしておいて、リクエストに応じて、最適なものを差し出す」。
これは家庭での食事もそうだし、グルメ情報でも同じこと。そうなるためには、徹底的に情報を集めてストックし、何が好みに合うのか、判断できるまでになっておく。そういえば、自分の結婚式のドレスもそうだった。
「似合うウエディングドレスがわかるまで、100着を目標にとことん試着しました。最初の20着ではわからなくても、40着目くらいからは、生地やデザインのよさがわかるようになり、自分に合うものが、鮮明に浮かんでくる。で、結局はその情報ストックをもとに、着たいドレスをオーダーしました。
でも、ふだんの服は不思議なほどこだわりません。いただきものでも、なんでも着ます。そのほうが、新しい自分発見になるかなって(笑)」(3回シリーズ終わり)
南 ゆかり
フリーエディター・ライター。ただいま、7月頭発売の書き下ろし新刊を準備中! ほかに『Domani』2/3月号のワーママ10人インタビュー、Oggi誌面「お金に困らない女になる!」「この人に今、これが聞きたい!」、 Cancam.jpでは「インタビュー連載/ゆとり以上バリキャリ未満の女たち」なども掲載中。