Q.シングルマザーです。婚活アプリで知り合って交際していた男性が、既婚者だと判明。この場合、相手に慰謝料は請求できますか?(39歳・4歳のママ)
A.「このようなケースの場合、騙されて肉体関係に至ったことで精神的苦痛を受けたとして慰謝料を請求するには、『交際相手が(既婚者であるにも関わらず)既婚者だと偽り、それを信じたこと』を主張し、立証する必要があります。
このようなケースでは請求された被告側(今回の場合、男性側)は、自分が既婚者であることを知っていた、や、女性側の相手が嫌がらせ目的の請求である、とか、ハニートラップである、などといった反論を行なうため、裁判では、女性側が既婚者であると知っていたか否かが中心的争点となることが想定されます。
仮に、男性側が口では独身だと嘘をついていたとしても、例えば結婚指輪を左手の薬指に着けているとか、週末は会えない、彼の家に行かせてもらえない、などといった、常識的に考えて、明らかに既婚者ではないかと疑えるような状況が多々あった場合、女性側が既婚者であることに気づかなかったとは通常考え難いとして、請求は認められないと結論づけられることになるでしょう。
もしお相手の男性が独身だと偽っている内容のメールやLINE、会話を録音した証拠があれば、この限りではありませんので、ケースバイケースと言えます。
こういった被害を避けるためにも、マッチングアプリなどで出会った異性との交際は、そのバックグラウンドや人となりを知るために、できるだけ慎重になられることをおすすめします」(中川裕一郎先生)
●本連載では離婚に関する慰謝料や養育費など、法律的な悩みや疑問にプロの弁護士が直接回答します!ご相談ごとがあるかたは、domani2@shogakukan.co.jpまでメールでお寄せください。 件名に「離婚相談」と書いてなるべく具体的な内容をお送りください。すべてのご相談にお答えできるとは限りません。あらかじめご了承ください。
お悩みに回答してくれたのは・・・
中川裕一郎先生
弁護士。東京中川法律事務所経営。https://tokyo-nakagawa.com
商社勤務時代にバックパッカー旅行に飛び出し、世界中を回ってみつけた、弁護士となって社会的正義を守るという生涯の目標のため、紛争を未然に防止し、目の前の依頼者を笑顔にするために日々奮闘中。親身になってアドバイスをくれる人情派弁護士として、依頼者たちからの信頼も篤い。
インタビュー・文
さかいもゆる
出版社勤務を経て、フリーランスライターに転身。女性誌を中心に、海外セレブ情報からファッションまで幅広いジャンルを手掛ける。著書に「やせたければお尻を鍛えなさい」(講談社刊)。講談社mi-mollet「セレブ胸キュン通信」で連載中。Web Domaniの人気連載「バツイチわらしべ長者」で様々なバツイチたちの人生を紹介している。withオンラインの恋愛コラム「教えて!バツイチ先生」では、アラサーの婚活女子たちからの共感を得ている。