自分自身のケアにも目を向けて
子どもに関わる大人の方ご自身も、自分の家族のこと、仕事のことなど考えなければならないことが多く、余裕がない状況かもしれません。そのようなときはぜひご自身の心と体も大切にしてください。
自分のケアを大切にしたほうがよいとき
・いつもとは違う子どもの行動などに対して、「自分が悪かったのではないか」などと自分を責めることが多くなる
・いつもよりイライラしやすい、不必要に子どもを叱る、わけもなく泣きたくなるなど、いつもより感情をうまく調整できない
・いつもより家事や仕事に集中できない
・家族や友人と会話をするのが億劫になる
・いつも楽しめていたことがあまり楽しめない etc.
身体や心に負荷がかかりすぎているときにはさまざまなサインがみられます。自分の調子がいつもと比べてどうかを丁寧にみてください。大人が落ち着いて関わることが子どもの安心にもつながります。そのためにも、まずご自身を大切にしてください。
自分の心を守るためにしたいこと
1)SNSやテレビから離れる時間を定期的につくる
情報媒体から離れる時間をつくって、自分の好きなことや、ほっとすること(好きな本を読む、歌を歌う、音楽を聴くなど)をしてみてください。自分がほっとする時間を探してみてください。
2)身体の緊張をケアする時間をつくる
深呼吸をする、ストレッチをする、ゆっくり入浴するなど、自分に合った方法を工夫してみてください。
3)いつもと同じ時間に眠る、同じように食事をとる
これまでと変わらずに続けられることがあれば、可能な範囲で続けてみてください。十分な睡眠と食事をとることも大切です。
4)「できていること」に目を向けて肯定する
できていないことに目を向けるのではなく、「できていること」「自分では当たり前だと思っていること」に目を向けて肯定してください。
また、これまでご自身が行ってきたストレスへの対処法や大変な時の経験で、自分や子どもの健康にとって安全で安心なものがあれば参考にしてみてください。
5)アルコールを飲みたくなることが増えたら、信頼できる人と話すなどほかの方法を試してみる
いつもより飲酒量や喫煙量が増えている場合も同様です。オンラインのツールを利用してもいいかもしれません。ストレッチをする、漫画を読むなど飲酒以外で感情が調整できる方法もぜひ試してみてください。
これ以外にもさまざまな方法があります。ご自身にあった無理ない方法を探してみてください。
自分ひとりで頑張りすぎずに、信頼できる相談窓口に頼ることも心を守る大切な方法です。相談することはとても勇気がいることです。けれど、ひとりで頑張りすぎずに、ときには専門の相談先も頼ってみてください。
※精神保健福祉センター等における新型コロナウイルスに関する心のケアについて (厚生労働省から各都道府県の精神保健福祉センターへ、新型コロナウイルスに関する相談を受けるよう指示が出されています)
※ストレス・災害時こころの情報支援センター
※心の変化はそれぞれで異なります。また、ここにあるサインなどがすべての人に起きたり当てはまるわけではありません。
※参考サイト:新型コロナウイルス、情報が届きにくい方(子ども・外国語話者・視覚/聴覚障害等)のサポート・不安のケア)
執筆
小澤いぶき
児童精神科医、精神科専門医、認定NPO法人PIECES代表理事、東京大学医学系研究科 客員研究員 精神科医を経て、児童精神科医として複数の病院で勤務。トラウマ臨床、虐待臨床、発達障害臨床を専門として臨床に携わり、多数の自治体のアドバイザーを務める。さいたま市の子育てインクルーシブモデル立ち上げ・プログラム開発に参画。2017年3月、世界各国のリーダーが集まるザルツブルグカンファレンスに招待を受け、子どものウェルビーイング達成に向けたザルツブルグステイトメント作成に参画。人の想像力により、ひとりひとりの尊厳が尊重される寛容な世界を目指し、認定NPO法人PIECESを運営している。
※ 本原稿は、小澤いぶきさんのnoteに公開されたものをもとに構成をしたものです。https://note.com/ibukiozawa/n/naa3f8ec1c922
再構成/谷畑まゆみ、WebDomani編集部
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