マグロと繊細なボルドーの赤は絶品の組み合わせ
赤ワインには、魚は合わないと思っている人も多いんじゃないでしょうか。でも繊細なタイプのボルドーの赤ワインなら、魚にもとてもよくマッチしますよ。特に赤身系のマグロはぴったり。お刺身用のマグロをそのまま食べてもいいけれど、赤ワインを少しだけふりかけて10分ほどマリネ。そのマリネしたマグロとともにワインを楽しめば、もう絶品のマリアージュになります! もし時間的に余裕があれば、マグロの柵を買ってきて、パン粉をつけて揚げたマグロカツもいいですね。子供も大喜びのメニューです!
▲ ボリューム感のあるマグロカツ。一般的なカツと同じように衣をつけて揚げるだけ。
味わいもまさに「ミラクル」なカベルネ・ソーヴィニヨン
ボルドーのなかでも、有名な格付け1級シャトーがひしめくメドック地区。そのカベルネ・ソーヴィニヨン100%の赤ワインは濃くて重いというイメージが一般的にはあります。でも、ドメーヌ・ウチダの「ミラクル」は、そんな思い込みを鮮やかにくつがえしてくれる1本。グラスに注ぐと、ワインはとても淡く明るい色調。飲めばジューシィな赤い果実のアロマがふんだんに広がり、後味にはなめらかなタンニンと美しい酸も感じられて、とてもスムーズな味わいです。
▲ 和紙を思わせる素材に、内田家の家紋がデザインされたラベルの「ミラクル」。
日本人がつくると素晴らしいワインができると証明したい
ボルドー格付け1級のワインとして名高い、シャトー・ムートン・ロスチャイルド。2015年に日本人の内田修さんが設立した小さなワイナリー「ドメーヌ・ウチダ」は、そのお隣にあります。
▲ 小さなガレージワイナリー。ここから日本人の誇りを映したワインが生まれる。
▲ 内田さんは広島県出身。中学・高校時代はマラソンで数々の全国大会に出場したスポーツマン。
「ボルドーは長い歴史を誇る地だけに排他的で、他国の人がワイナリーをおこすのは決して簡単なことではありません。言葉や人種、思想など多くの壁にぶつかりました。ワインの醸造法も同じで、僕はあまり凝縮した味わいにしたくないと思っていたから、ボルドーでは伝統的に使われていない方法でつくったんです。周囲からは “そんなやり方ではだめだ” と言われました。でも初ヴィンテージのワインを試飲したとき、自分が望んでいたようなワインができた。それで自然と出た言葉が “ミラクルだ!” でした。だからそれを銘柄名にしようと決めたんです」。
▲ 「漫画は日本を代表する表現法」と、ラベルには内田さんの似顔絵も。
日本人がつくるとミニマリズムを表現した、繊細で素晴らしい作品が生まれるということを世界に証明したいと語る内田さん。今後の活躍が楽しみです!
輸入元/ワイナーズ JAPAN 0847・51・2949
ミラクル (2018年ヴィンテージ) ¥5,500 (税別・参考価格)
文・写真/鳥海美奈子
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ライター
鳥海 美奈子
共著にガン終末期の夫婦の形を描いた『去り逝くひとへの最期の手紙』(集英社)。2004年からフランス・ブルゴーニュ地方やパリに滞在、ワイン記事を執筆。著書にフランス料理とワインのマリアージュを題材にした『フランス郷土料理の発想と組み立て』(誠文堂新光社)がある。雑誌『サライ』(小学館)のWEBで「日本ワイン生産者の肖像」連載中。ワインホームパーティも大好き。