シンプルに焼いたラム肉に、粉山椒や大葉を添えて…
赤身でヘルシー、アミノ酸由来の「L-カルチニン」も多く含まれていてダイエットにも効くと、いま大人気のラム肉。じつはボルドーの人たちも、羊肉を日常的に食べているんですよ。だから、ラム肉とボルドーの赤ワインはもう定番ともいえる組み合わせ。いまスーパーなどでも気軽に買えるラムチョップを、フライパンでシンプルに焼いて火を入れたら、それに合わせたい赤ワインは「ラ・スース・ド・シャトー・ジョヴォント」。赤や黒い果物のニュアンスに少しスパイス香が混じっているから、粉山椒をつけたり、大葉を添えて食べたりすると、香りに共通点が生まれますよ。
▲ ラム肉の表面を焼いて、実山椒や醤油、赤ワインなどと煮込んでもいい。
「ラ・スース・ド・シャトー・ジュヴォント」ってどんなワイン?
▲ ラ・スース・ド・シャトー・ジュヴォント
ボルドーでよく使われる赤ワイン用のブドウ品種メルローとカベルネ・ソーヴィニヨンがメイン。そこに5%だけブレンドされているのがプチ・ヴェルドー。このブドウ品種は熟すのが遅くて、以前はボルドーより暖かい地域でおもに栽培されていました。でも地球温暖化の影響で、最近はボルドーでも育てる生産者が増えてきています。チェリーやカシスといった果実に、ややスパイシーな香りがプラスされているのはこのプチ・ヴェルドーが入っているから。味わいも、よりしっかりしたものになります。
▲ 下草が生えた畑は、除草剤の使用を抑えている証拠。
いまはボルドー全体が持続可能なワインづくりに取り組んでいます
▲ カーヴのなかに飾られているアート作品
このシャトー・ジュヴォントのオーナーであるギュットマン家の人々は、パリ在住。カーヴのなかにはヴィヴァルディの音楽「四季」が流れていたり、現代絵画が飾られていたりと、アートにも造詣が深いことがわかります。
▲ サスティナブルなワインづくりをおこなう栽培・醸造責任者のオリビエ・ヴェルナデさん。
シャトーを訪問したこの日は、栽培・醸造責任者のオリビエ・ヴェルナデさんが指揮をとり、カベルネ・ソーヴィニヨンの収穫のまっ最中でした。「いまはボルドー全体が持続可能なワインづくり、サスティナビリティに取り組んでいるから、私たちもそれを実践しています。殺虫剤の使用量、温室効果ガスの排出量、水の消費量などを少なくして、地球環境に配慮しているんですよ」。
文/鳥海美奈子 写真/Mathieu Anglada
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ライター
鳥海 美奈子
共著にガン終末期の夫婦の形を描いた『去り逝くひとへの最期の手紙』(集英社)。2004年からフランス・ブルゴーニュ地方やパリに滞在、ワイン記事を執筆。著書にフランス料理とワインのマリアージュを題材にした『フランス郷土料理の発想と組み立て』(誠文堂新光社)がある。雑誌『サライ』(小学館)のWEBで「日本ワイン生産者の肖像」連載中。ワインホームパーティも大好き。