元夫は今では単なる「お金配達人」に
仮面夫婦からの、夫の借金返済のために持ち家を手放すことになり、怒り心頭の美枝子さん。ようやく離婚する決意が固まり、慰謝料と養育費は、ネットで調べた「結婚年数と子どもの数で決まる」試算表というもので計算して夫に請求。
前回のお話▶︎夫が事業に失敗し夜逃げ。家が競売にかけられそうになり離婚の道へ
美枝子さん:息子はもう小学3年生だったので、離婚のことはきちんと話しました。もともと、夫は家に滅多に帰って来ないし、いても昼過ぎまで寝ていたり、タバコを吸うかスマホばっかり見ていて、子どもとは遊んでくれない存在と見ていたみたいで懐いていなかったんです。父親だから、好きは好きなんでしょうけど。
さかい:面会権とかはどうなったんですか?
美枝子さん:弁護士を立てていないので、特にそういうのはないんです。向こうも会いたいとも言って来ないし、借金がまだあるかもしれないから会わせるのは危険。もし将来、息子が大きくなって、彼がちゃんと借金を清算していたら会ってもいいかなと思ってます。今となっては元夫は、お金を払ってくれる人という存在でしかありません。
結婚が失敗に終わった原因を、「結局、そんなに好きでもない同士が、できちゃって結婚したからだと思う」と、美枝子さんは分析。息子さんに「パパのどこが好きだったの?」と聞かれて、答えられずに悩んだと笑います。
やっぱり、「2番目に好きな人」じゃ、相手がもしも借金したりしたときに踏ん張れない、ということなのでしょうか。夫婦って本当に、長く過ごす間に色々ありますもんね。
シングルマザーだからこそ、再婚はお金が大事!
美枝子さんがしっかりしてるなと思ったのは、「夫がいつ死んでもいいように」、夫の保険金の受取人は息子さんにしているということ。先日も、元夫から「コロナは大丈夫?」という優しい気遣いのLINEが来たそうですが、美枝子さんは「コロナにかかったら教えてください」と返信する塩対応ぶり。
美枝子さん:母親ってシビアなんですよ。子どもがいると優先順位がはっきりつくから。再婚相手も、独身のときは「顔が好みで〜」とか色々条件があったけれど、今はもう、お金を持ってて許容範囲の外見なら、それでいい。そのお金で息子と楽しく暮らせるなら、息子のために我慢できるんで。まあ、5個理想があったら、2個叶えばいいかなって。結婚に夢を見なくなりました。
な〜る〜ほ〜ど〜! 母は強しって、こういうこと!? 今までこの連載で取材したバツイチさんは、実はお子さんがいらっしゃる女性がいちばん再婚率が高かったのです。もしかしたらこういう現実的なところが、スパッと再婚に踏み切れる潔さに繋がっているのかなと、妙に納得してしまいました。私みたいにいまだに「すごい好きな人と結婚するの〜〜〜」などとふわふわしたことを言っている夢見るバツイチは、だからなかなか再婚が決まらないのでしょうか(自虐!)。
ちなみにそんな美枝子さんが現在(※離婚まだ数ヶ月です)狙っているのは、夫の借金問題のときにお世話になった銀行マン。
美枝子さん:実家が不動産持っててめっちゃお金持ちなんですよ〜。彼は子どもは欲しいけど今の生活スタイルは変えたくないらしいから、お互いニーズが合致するかなって(笑)。
どこまでもタフなシングルマザー、美枝子さん。その強さ、少し見習いたいなと思った、豆腐メンタルな私でした。
インタビュー・文
さかい もゆる
出版社勤務を経て独立。と思った矢先、離婚してアラフォーでバツイチに。女性誌を中心に、海外セレブ情報からファッションまで幅広いジャンルを手掛けるフリーランスエディター。Web Domaniで離婚予備軍の法律相談に答える「教えて! 離婚駆け込み寺」連載も担当。著書に「やせたければお尻を鍛えなさい」(講談社刊)。講談社mi-mollet「セレブ胸キュン通信」で連載中。withオンラインの恋愛コラム「教えて!バツイチ先生」ではアラサーの婚活女子たちからの共感を得ている。