銭ゲバ夫は養育費にもがめつかった!
前回のお話▶︎「パンツを洗うのも嫌だった」夫からの解放
夫に親権を取られたものの、ひとり息子と一緒に暮らしているのは母親である多恵さん。平日は多恵さんの元で過ごし、土日は元夫と過ごすという取り決めになったそう。
さかい:向こうは養育費はちゃんと払ってくれているんですか?
多恵さん:払ってはくれているんですが、お金にケチなモンスター夫なので、息子のための養育費を私に生活費として使い込まれるのが嫌だという理由から、養育費の代わりに教育費を1千万円払うことにし、それを16年間で割り、さらに12ヶ月で割ったものを毎月振り込む、というスタイルなんです。だから本当に微々たる額。とにかく、私には自分のお金を一銭も使われたくないみたい(苦笑)。
現在では高校の学費無償化の動きもあり、教育費にも変動がありそうなので「普通に養育費を払って欲しい」と頼んだそうですが、「だったら離婚しません」と言われてしまったのです。
多恵さん:ほんとに、別れ際に「こんな人だったっけ……」と思うようなことがたくさん起きて、周りもびっくりしてました。離婚についての条件とか、お金にがめついところとか。でも、本人はそれを異常なことだとは全く思っていないんですよね。離婚する前に、彼が離婚についてどう思っているのか聞きたかったんだけど、「もう離婚は決まったんだし話す必要ない」と言われて。結局、別れることに対しての彼の気持ちは未だに一切わからないんです。
最後まで自分の感情を出さなかった夫
さかい:付き合っているときはどんな感じの人だったんですか?
多恵さん:付き合うときも何か言葉があったわけではなくて、彼は自分の感情を言わないタイプ。ただ、恋人時代はデート代を全部向こうが出してくれていたんです。それが、結婚後は奄美大島への旅行のときも、宿代からガソリン代、ご飯代も全部折半。
モラハラは結婚前には見抜くのが難しいというけれど、結婚後にそんなに豹変するものなんですね。
多恵さん:もちろん私も「それっておかしくない?」と夫に言ったことはあるんですが、「お前が稼いでいるのは俺が息子をみてやってるからだ」という謎理論で言い返されて。それと、普通の夫婦ならそういうことに対してもっとおかしいと指摘できると思うんですけど、私は夫のことが怖くて言えなかったんです。
さかい:何か暴力を振るわれたことがあったんですか?
多恵さん:キレたときに血走った目で睨まれたりして、すごく怖いオーラを発するんですよ。罵声を浴びせられたことも一度ありましたし。なんていうか、普段我慢している人特有のキレたらヤバいぞ、という雰囲気で。だから本能的に怖いと感じていたんです。
再婚するなら自然体でいられる人が唯一の条件
今思えばモラハラ夫に洗脳されていたんだと思う、と振り返る多恵さん。そんな夫の性質に気づかず結婚してしまったことに、「条件で選ぶとこうなるんだな」と反省しているそう。
多恵さん:次に選ぶなら、収入じゃなくて性格を見ますね。私は感情的な人間なので、その感情を吐き出せる相手が欲しかったんだと、ようやくこの年齢になって気づきました。お金は自分で稼ぐから、本当の自分を出せる相手がいい。お互いを知り尽くしているような相手なら、きっと仲良く暮らせるんじゃないかしら。やっぱりね、夫婦は自然体でいられる相手が一番ですよ。
離婚したばかりの多恵さんですが、結婚に失敗したからこそ、自分が本当に望むパートナーについて考えるようになったのです。
多恵さん:今は開放感が大きいけど、やっぱり不安もあります。コロナで先が見えないですし。だけどそこを考えても仕方ないから、今は人生の幸せな部分にフォーカスして行こうと思っています。
インタビュー・文
さかい もゆる
出版社勤務を経て独立。と思った矢先、離婚してアラフォーでバツイチに。女性誌を中心に、海外セレブ情報からファッションまで幅広いジャンルを手掛けるフリーランスエディター。著書に「やせたければお尻を鍛えなさい」(講談社刊)。講談社mi-mollet「セレブ胸キュン通信」で連載中。withオンラインの恋愛コラム「教えて!バツイチ先生」ではアラサーの婚活女子たちからの共感を得ている。