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2021.06.15

更年期きっかけで出始める6つの症状とは?【人には聞けない婦人科系のお悩み】

更年期による身体の不調は知られていますが、それがきっかけで病気に繋がることも!? 今からでも予防はできるのか専門家に話をうかがいます。

更年期がきっかけで、不調が次々出てくるって本当!?

【お悩み】
更年期が始まると、そのほかにも不調が出ると聞きました。今から不安でたまりません。どのような症状を引き起こすのでしょうか?(40代・東京都・子ども2人)

「ホットフラッシュ(ほてり・のぼせ)やイライラなど、更年期の症状は理解しているつもりです。しかし、更年期をきっかけにそのほかにも身体の不調が出る人もいると聞きました。想像すると怖くて、ひとり悶々としています。どのような病気にかかりやすいかわかっているのでしょうか? また今から対策できることがあれば教えて頂きたいです」

更年期 動脈硬化 骨粗鬆症 糖尿病 精神・神経疾患 泌尿生殖器の変化 肌の変化

更年期きっかけで出始める6つの症状

医療法人大美会・南 真実子先生に「更年期からの不調」についてお話を伺いました。

「更年期は女性ホルモンであるエストロゲンが大きく変動し、低下する時期です。エストロゲンは血管、骨、筋肉、消化管、皮膚などにも作用することが分かっています。エストロゲンが低下することにより様々な組織や代謝に影響を及ぼします。ではよく見られる症状を6つ解説します」(南先生、以下同)

1:動脈硬化

「エストロゲンは血管に作用して血管拡張物質の産生を高め、血管を拡張させることで動脈硬化に対し予防的に働いているとされています。また、エストロゲンは善玉コレステロールを増加させ、悪玉コレステロールを低下させる作用があり、動脈硬化の進行を遅らせる働きもあります。

ですので、エストロゲンが低下すると、一般的には動脈硬化が進みやすくなります。動脈硬化が進行すると、心筋梗塞や脳梗塞のリスクが高くなります。閉経が早いほど、このリスクが高くなるとされています」

2:骨粗鬆症

「エストロゲンは骨吸収に関わる破骨細胞の働きを抑え、骨形成に関わる骨芽細胞の働きを促進する作用があり、骨の成長にも影響を与えています。エストロゲンが低下すると骨代謝のバランスが崩れ、骨が脆弱になります。閉経が早いと骨粗鬆症のリスクも高まります。また、エストロゲンには筋力を保つ作用があり、閉経によりエストロゲンが低下すると筋力が低下します。この筋力低下による転倒などが骨折の原因となることもあります」

3:糖尿病

「エストロゲンは、血糖値を下げるホルモンであるインスリンの分泌を促進し、作用を高めています。エストロゲンが急激に低下すると、インスリンの分泌も減少し、閉経により糖尿病のリスクが高くなります」

4:精神・神経疾患

「エストロゲンには不安を和らげる作用があり、エストロゲンが低下するとうつ状態になりやすくなると考えられています。また、閉経後のアルツハイマー病の女性は、病気でない女性と比べてエストロゲン濃度が低下しているという報告があり、エストロゲンが脳へのエネルギー供給に関係している可能性があるとされています」

5:泌尿生殖器の変化

「エストロゲンは腟内の環境を整える作用があります。エストロゲンが低下すると腟内に雑菌が繁殖しやすくなり、おりものの異常やかゆみなどの不快感を認めることがあります。また、腟のうるおいが低下し、性交痛や性交時出血を認めることもあります。また、エストロゲンが低下すると、膀胱や子宮などの骨盤臓器を支える骨盤底筋にゆるみが生じて、尿失禁や骨盤臓器脱などをきたすことがあります」

6:肌の変化

「エストロゲンは皮膚の厚さ、弾力と関係しています。エストロゲンは皮膚のヒアルロン酸を保持し、水分量を保つ作用があります。エストロゲンが低下すると、皮膚は乾燥し、ハリが失われます。また、紫外線による光老化の影響を受けやすくなるとされています」

女性ホルモンであるエストロゲンの低下は身体から精神までと、幅広く作用することがわかりました。更年期に向けて今からできる対策はあるのでしょうか。

年齢とともに低下するエストロゲンを補うこと

「大豆イソフラボンは女性ホルモン作用があるため、エストロゲン低下による症状に対して有効である可能性があります。FDA(アメリカ食品医療品局)では、大豆がコレステロールを低下させる健康食品としています。納豆や豆腐、豆乳などを積極的に摂るとよいでしょう。

食事からなかなか摂取できないという方は、『エクオール』というサプリメントから摂取しても良いでしょう。エクオールは、大豆イソフラボンの代謝産物で、エストロゲン作用を示すと考えられています。腸内細菌叢の差によりエクオールを産生できるかどうかは個人差があり、日本人の約50%は産生できないとも言われています。エクオールを産生できるかどうかを簡単に調べるキットもあるので、調べてみてもよいでしょう」

更年期は避けて通ることのできないもの。また、それに伴う不調は人それぞれです。まだ見ぬ世界に不安は募りますが、今からできる予防対策をしっかりしていけるといいですね。

画像/(C)Shutterstock.com

取材・文/福島孝代

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骨粗鬆症 糖尿病 精神・神経疾患 泌尿生殖器の変化 肌の変化

大阪美容クリニック理事長

南 真実子

祖父や父が産婦人科医であったことから、自身も大阪医科大学医学部卒業後、初期研修を経て大阪医科大学産婦人科教室に入局。主に、腹腔鏡手術、不妊治療、周産期治療などに従事し、産婦人科専門医を取得。検診業務にも従事し、マンモグラフィー読影認定医を取得。女性がいつまでも健康で美しく輝いていられるよう、更なる高みを目指して、美容医療、アンチエイジング医療を行う。大手美容クリニックで活躍後、2017年大阪美容クリニックを開院。婦人科・美容皮膚科を通じて、女性をトータルにサポートできるよう診療を行っている。
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