【お悩み】
以前より下着に付着しているおりものの量が多くなり心配です。何か病気の前兆なのでしょうか?
「今までにも排卵期におりものの確認はしていましたが、最近では月経周期に関係なく下着におりものがついています。夫とはセックスレスのため性病の疑いはなく、また痒みもないので何か婦人科系の病気にかかっているのではないかと不安です…」(40代・愛知県・子ども3人)
おりものは女性器官の健康を示すバロメーター
今回のお悩みに答えてくれたのは、医療法人大美会・南 真実子先生。
「まずはおりものの基本情報ついてお話します。おりものは外陰、腟、子宮頸管、子宮腔から分泌される粘液が混ざり合った液体です。おりものは腟内に病原細菌が増殖しないように腟を酸性に保ち、また精子が子宮内に侵入しやすくなるよう助ける働きがあります。
おりものの分泌にはエストロゲンとプロゲステロンが関わっており、月経周期により変動します。月経が終わり、エストロゲンが増加すると徐々に量が増え、排卵期になると最も多くなります。排卵後はプロゲステロンが増加し、おりものは徐々に減少します。
排卵期以外でおりものが増加する原因は、大きく分けて3つあります。
1:感染症
2:加齢
3:病気
1:【クラミジア】や【淋菌】、【トリコモナス】などの性感染症が有名です。特にトリコモナスは性行為だけでなく、お風呂、タオルを介しても感染することが知られています。また大腸菌や連鎖球菌、ブドウ球菌などが増殖し、腟に炎症を起こす細菌性腟炎でもおりものは多くなります。カンジダ腟炎ではモロモロとした酒粕のようなおりものが増え、外陰部に強いかゆみをきたします。感染症は自然治癒は難しいため、すぐに婦人科を訪ねてください。
2:年齢とともに女性ホルモンであるエストロゲンは減少します。エストロゲンが減少すると、腟壁が薄くなりグリコーゲンの産生が低下し、腟のphが上がって細菌叢が変化することで、結果的に腟に炎症が起こりやすくなります。この状態を萎縮性腟炎といいます。膿性のおりものを認め、ニオイが気になることがあります。加齢への対処法は、豆腐、納豆、豆乳などの大豆イソフラボンの摂取が好ましいです。大豆イソフラボンは腸内細菌によりエクオールに変換され、様々な更年期症状を改善します。ただ、大豆イソフラボンを摂取してもエクオールにうまく変換できない方もいらっしゃいます。そのような場合は、サプリメントで摂取すると良いでしょう(※乳癌や子宮体癌などのホルモン依存性の疾患である場合は、エクオールに関し必ず主治医と相談してください)。
3:比較的<1>の感染症は自分でも心当たりがあったり、気づくことが可能です。<2>の加齢は自分では気付きにくく、また子宮体癌や卵管癌などの腫瘍性疾患である場合もあるため、心配な場合は婦人科を受診することをおすすめします」(南さん)
おりものは膣内を正常に保つ役割をしています。そのため、量の増減や匂い、色の変化など日々チェックしておくことが大切かもしれません。
取材・文/福島孝代
写真/(C)Shutterstock.com
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