なぜ〝きちんと教えた〟〝できてたはず〟のマナーが崩れていく!?
食事のマナーや、座り方・歩き方など、家庭ではもちろんのこと園や学校でも教えてくれますよね。習得したはずのマナーが悪い方へと崩れていくのは何故なのでしょうか。スクールカウンセラーとしても活動している、臨床心理士・吉田美智子さんに「マナーの崩壊」について解説してもらいました。
一番の原因は年齢!
「マナーとは、礼儀作法や態度のことを言います。その時、その場所、その場面でふさわしい態度を取ることを、親は子どもに教えますよね。例えば、食事中は席を立ってはいけない、背筋を伸ばして座りましょうなど。これは年齢ごとに望ましい・相応しいマナーとしてアップグレードもしていきます。しかし、ある時から停滞を通り越して、態度が悪化の一途をたどることがあります。
一番の原因として考えられのが、ギャングエイジ(小学3〜4年生)の時代です。このギャングエイジとは、親よりも友達を優先する時で、今までのように親の言うことを聞かなくなる時期のことを言います。こうなると友達や上級生の言うことを優先したり、真似をし始めます。それが親が望ましいと思うものとは異なることが多いから気になるのです」
今は「いい子」でいられない
「周りの視線を気にするタイミングでも態度が悪くなる傾向に。『人目を気にするならいい態度をすればいいのに』と大人は感じます。しかし、子どもはその〝いい子〟に見られるのが恥ずかしかったり、カッコ悪いと感じる時期があったりします。また、逆に目立ちたくなくて猫背でいたり、発言ができず態度が悪く見える場合も」
ひとつひとつ注意せず、マナーの根本を伝えてみる
「子どもたちなりに、成長過程の葛藤の中でマナーの悪さ(一旦獲得したマナーを手放す)が生じてくるように思います。ここはひとつひとつ注意をするのは逆効果なので、マナーの根本を伝えてみてください。各家庭でマナーが違ったりする場合もあるかもしれませんが、基本は『お互いが気持ちよくいるために必要な態度』ではないでしょうか。
不適切なマナーだなと感じた際は、その日の終わりに『あの態度は好きじゃなかったな』と伝えると、心に響くかもしれません。そのうち〝こんな自分になりたい〟という憧れや目標が出てくると、マナーの悪さに恥ずかしさを覚えるようになります。その時まで、片目を瞑ってあげるのも親心かもしれませんね」
取材・文/福島孝代
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臨床心理士
吉田美智子
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