Contents
「いただけますでしょうか」は正しい使い方?誤用?
「いただけますでしょうか」は正しい使い方ですが、誤用だという説が多く出回っています。二重敬語だから間違っているというのがその根拠となっているのです。
ここでは二重敬語説と二重敬語ではない説をそれぞれご紹介します。そして正しさを判定するとともに、「いただけますでしょうか」を使いたい時にどうすべきかを解説します。
■「いただけますでしょうか」二重敬語説
「いただけますでしょうか」は二重敬語であり誤用であるとする説をよく耳にします。二重敬語説の根拠を検証して、どのような使い方をすべきなのかを考えていきましょう。
まず前提となる二重敬語とは何かを説明します。二重敬語とは同じ種類の敬語を重ねて使うことです。使用が定着しているいくつかの例をのぞいて、一般的に誤りとされています。よくある二重敬語の誤りは次のような例文です。
・先日お送りしたメールをご覧になられましたか?
上の文章は「ご覧になる」という尊敬語に「られる」という尊敬語を重ねているので、誤りとなるのです。正しい使い方は下の例文のようになります。
・先日お送りしたメールをご覧になりましたか?
この二重敬語を踏まえて、「いただけますでしょうか」二重敬語説を見ていきましょう。
「いただけますでしょうか」を二重敬語と判定している説によると、「いただく」という謙譲語に対して、「ます」と「です」という2つの丁寧語が使われているとされています。「でしょうか」を「です」の疑問形として解釈しているところがポイントです。
次の項目では二重敬語ではない説を説明します。
■「いただけますでしょうか」二重敬語ではない説
前述の通り、「いただけますでしょうか」は二重敬語ではありません。この言葉が二重敬語でないのは、同じ種類の敬語を重ねて使っているわけではないからです。
「でしょうか」は「です」の疑問形ではなく、正しくは「だろうか」の丁寧な表現です。「でしょうか」は「ます」に重ねて使われているのではなく、添えられているため、二重敬語にはあたりません。
デジタル大辞泉に同じ構造を持った例文として「いつ私がそんなことを言いましたでしょうか」が紹介されています。「言いました」に「でしょうか」が添えられています。「いただけますでしょうか」も誤用ではないというのが結論です。
「いただけますでしょうか」を使うべきでない理由
「いただけますでしょうか」は正しい表現ですが、ビジネスの現場では使うことを避けたほうが良いでしょう。なぜなら言葉の感じ方には個人差があるからです。
「いただけますでしょうか」は誤用であるという説が出回っており、間違った表現と考える人がそれなりにいると考えられます。ビジネスにおいては、無駄な誤解を招かない配慮が求められるため、他の表現を使用したほうが好ましいです。適切な言い換えについては次の章で説明しましょう。
「いただけますでしょうか」の言い換え表現と例文
「いただけますでしょうか」という言葉のもっとも一般的な言い換えは「いただけますか」です。シンプルな表現ですが、謙譲語と丁寧語で構成された正しい言い方です。
この他にも「くださいますか」という言い換えもあります。メールの文章でさらに丁寧な言葉を使用したい場合には、「願えますか」「仰ぎたく存じます」といった言い換え表現を使うといいでしょう。それぞれ例文をご紹介します。
■「いただけますか」を使った例文
「いただけますか」はビジネスの依頼の場面で使用頻度の高いフレーズです。「いただけますか」を使った例文をご紹介しましょう。
・先日提案した企画の実現の可否をご検討いただけますか。
・お忙しいところ申し訳ありませんが、調査結果のレポートをご確認いただけますか。
・貴社の営業担当の方に、資料一式をお渡しいただけますか。
■「くださいますか」を使った例文
「くださいますか」は相手に対して、丁寧に依頼する時に使われる言葉です。「くださいますか」の例文をご紹介します。
・交通機関の乱れの影響で担当者はまだ到着しておりません。恐縮ですが、もうしばしお待ちくださいますか。
・先日お話したプロジェクトですが、現地の情勢が不安定であるため、日程をご再考くださいますか。
・工場見学の際の安全ヘルメットを用意しましたので、ご利用くださいますか。