PMSと更年期障害を「症状」で見極めるのは困難。
ただし、「症状が現れる期間」はひとつの判断材料に
PMSとは「月経前症候群」のことで、生理前に起こる心や身体の不調を指します。症状は、下腹部の張りや痛み、疲れやだるさ、肌荒れ、眠気といった身体的なものから、イライラや不安感、集中できないなど心の不調までさまざまあり、人によって現れる症状や程度も異なります。
一方、更年期障害は女性ホルモン「エストロゲン」の低下によって起こる不調のこと。更年期とは閉経する年齢の前後5年を指し、一般的には45〜55歳頃といわれています。更年期障害もPMSと似た不調が多いため、症状だけで判断するのは難しいといわれます。
婦人科医の福山先生が解説! PMSと更年期障害のボーダーラインとは?
「正確にいうなら、閉経したときです。閉経前の5年間と閉経後の5年間(計10年)で現れる不調が更年期障害になります。ただ、閉経する前でもある程度の予想することができます。クリニックでしたら血液検査でエストロゲンの量を調べられますし、月経の状態から推測したりもします。ご自身で判断する方法としては、「不調が現れる時期」はひとつの目安になります。
不調が月経前のみに現れて月経が始まると落ち着くなら「PMS」、ほぼ毎日続くのなら「更年期障害」の可能性は高くなります。ただ、40代頃からは体力や基礎代謝が落ちてきますし、職場での責任が増えたり、育児に追われたりしますから、20代30代の頃と月経のリズムや量が変わったり、今までになかったPMS症状が出ることもあります」
PMSや更年期の治療法は?
「人によって異なりますが、一般的にPMSの症状を軽くする場合は低容量ピルを使用してホルモンバランスを調整します。だるさや腹痛、吐き気など、対症療法として漢方薬を使うこともあります。更年期障害の治療は、減少しているエストロゲンを補うホルモン補充療法のほか、対症療法として漢方薬やエクオールといったサプリメントの処方もします。ご自分に合う方法を見つけることで体調が楽になりますので悩まず、受診してみてください」
オンライン診察やチャット相談、体調管理、エクオール検査etc、
忙しいアラフォーこそ使いたいフェムテックサービス
フェムテックとは、Female(女性)とTechnology(テクノロジー)をかけあわせた造語のこと。女性が抱える健康や課題をテクノロジーで解決するサービスや商品を指します。
なかでも、女性の不調に応えるオンラインサービスや、郵送式の検査キットは忙しいアラフォーにも重宝されています。
スマートフォンで、医師による診断や薬の処方ができる「ルナルナ オンライン診療」
全国にある提携の産婦人科医院の予約、ビデオ通話による診察、決済がスマートフォンひとつでき、薬または処方箋を自宅まで配送してくれるアプリ。(初診は来院が必要)
また、生理日などの体調データを記録した「ルナルナ メディコ」を併用すると、そのデータを見ながら診察を受けることができます。診察以外にも、身体の悩みや薬の服用方法などのオンライン相談もできます。
生理日や体調を記録するだけでなくパートナーと共有できる「ペアケア」
アプリのダウンロードが不要で、LINE公式アカウントで友だち追加するだけで利用できる手軽さが評判のサービス。生理日や基礎体温だけでなく、毎日の体や心の変化も記録してグラフ化できるほか、Time Treeとの連携で自分の状態をパートナーと共有することもできます。さらに、生理周期に合わせたアドバイスや医師監修コラムなどの情報がチェックできるのも魅力です。
体内のエクオールを調べられる検査キット「ソイチェック」¥4,180
「エクオール」とは、大豆イソフラボンをもとに腸内細菌によってつくられる成分で、女性ホルモンに似た働きをします。女性にとってうれしい成分のエクオールですが、すべての人がつくれるとは限らないのです。「ソイチェック」は、エクオールが十分つくれるかどうかをチェックできる郵送検査キットで、オンライン専用ページで検査依頼書を入力後に採尿して郵送すると後日、検査結果のお知らせがメールに届きます。自分がエクオールをつくれるかどうか気になる人はぜひチェックしてみてください。
自分の更年期度がチェックできるほか、チャット相談も受けられる「TRULY」
「更年期かも?」と思ってもなかなかクリニックに行けず、悩んでいる女性のためのオンラインサービス。「更年期度チェック」や「セックスのお悩み度チェック」などができるほか、女性ホルモンの悩みについて女性医師にチャット相談できるサービスもあります。また、「みんなの相談」では、更年期だけでなく月経や女性の心身について寄せられたお悩みと、医師の回答も見る事ができます。
教えていただいたのは…
福山千代子 先生
「アヴェニューウィメンズクリニック」院長。金沢医科大学卒業。日本産科婦人科学会専門医。生理のトラブルや月経前症候群(PMS)、更年期症状など、女性特有の悩みに真摯に向き合い診察を行う。※アヴェニューウィメンズクリニックは10月末で閉院いたします。
40代のフェムテック事情記事はほかにも
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撮影/高橋一輝(近藤スタジオ) 構成/片山幸代 トップ画像・アイキャッチ/Shutterstock.com