「暖簾に腕押し」の意味&語源
「暖簾に腕押し(のれんにうでおし)」はことわざの一つで、提案に対して思ったような反応を得られなかったときなどに用いられることが多いです。語源とされる説は2つありますが、いずれの説ももとになっているのは布の暖簾です。
ビジネスシーンや日常会話でなどさまざまな場面で多用されるため、意味を理解しておくと安心でしょう。ここでは、「暖簾に腕押し」の意味や語源を詳しく見ていきます。
手応え・効果がないことを表す
「暖簾に腕押し」の意味は、相手の反応について手応えや効果が感じられないことです。こちらからの働きかけに対する相手の反応が薄かったり、注意や要望を聞き流されたりした場合に用いられます。例えば、「勤務態度を注意しても暖簾に腕押しだった」などの形で使うのが基本です。
ネガティブなニュアンスがあり、思ったような反応が得られなかったことに対する虚しさや諦めの感情を含みます。参考として、辞書での意味も確認しておきましょう。
【暖簾に腕押し:のれんにうでおし】
少しも手ごたえや張り合いがないことのたとえ。
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
語源には2つの説がある
「暖簾に腕押し」の語源には2つの説があり、いずれも暖簾をもとにしているのが特徴です。そもそも暖簾とは、お店の入り口に掛けられている布のことです。居酒屋の店名がプリントされていたり、銭湯では男湯・女湯を示すために用いられたりします。
ただ布が掛けられているだけのため、暖簾を手で押しても跳ね返ってくることはありません。手で簡単にめくれる様子から、「暖簾に腕押し」ということわざが生まれたとされています。
また、「腕押し」の語源は腕相撲であると考える説もあります。押しても跳ね返ってこない暖簾と腕相撲をしても、手応えを感じることはないでしょう。このように、暖簾を反応のない相手になぞらえたことが由来ともいわれています。
【例文で解説】暖簾に腕押しの使い方3つ
「暖簾に腕押し」の使い方には、主に3つのパターンがあります。
1.反応や効果がないときに使う
2.要望に応じてくれないときに使う
3.ビジネスシーンや恋愛で使う
他者との関わりの中では、アプローチに対して期待していた反応が得られないこともあるでしょう。「暖簾に腕押し」の使い方を理解しておくと、そのような場面に直面した際にわかりやすく表現できます。ここでは、3つの使い方を例文とともに解説します。
反応や効果がないときの使い方
「暖簾に腕押し」は、働きかけに対して反応や効果がないときに使われることが多いです。具体的には、暖簾を手で押してもすぐに元に戻るように、提案やアドバイスをしても相手に受け流されるような場面を指します。会話の中での使い方を例文で確認してみましょう。
・飲酒を控えるよう何度も言っているが、【暖簾に腕押し】状態だ。
・何度提案しても【暖簾に腕押し】のため、手を引くことにしました。
・しばらく【暖簾に腕押し】という状況が続いていましたが、ようやく改善が見られました。
要望に応じてくれないときの使い方
要望や注意を聞いてもらえないときも「暖簾に腕押し」が使えます。なお、こちらの意見を聞き流されるような状況を表す際は、「暖簾に腕押し状態」と表現することが多いです。
・夫に無駄遣いをやめるように注意していますが、【暖簾に腕押し】状態で困っています。
・注意しても【暖簾に腕押し】状態なので、諦めるしかありません。
・【暖簾に腕押し】状態の人に働きかけても意味がない。