ビジネスシーンや恋愛での使い方
「暖簾に腕押し」は使える場面が幅広く、ビジネスシーンや恋愛に関する話題にも多用されます。例えばビジネスシーンでは、部下に忠告してもスルーされたり、取引先との商談で相手の反応がいまひとつだったりした際などが挙げられます。
ただし、「暖簾に腕押し」はマイナスなニュアンスを含む表現のため、ビジネスシーンで目上の人に使う際は失礼にならないように注意しましょう。恋愛においては、好意を寄せる相手へのアプローチがうまくいかないときなどに使われます。それぞれの例文は以下を参考にしてください。
・クライアントに新しい企画を提案しましたが、【暖簾に腕押し】でした。
・部下に注意しても、【暖簾に腕押し】で聞いてもらえなかった。
・せっかく研修をしても【暖簾に腕押し】では意味がありません。
「暖簾に腕押し」に関連する表現
「暖簾に腕押し」には関連する表現が多数あります。例えば、以下は「暖簾に腕押し」と意味が似ている言葉や四字熟語です。
・糠に釘(ぬかにくぎ)
・馬の耳に念仏(うまのみみにねんぶつ)
・馬耳東風(ばじとうふう)
一方で、「暖簾に腕押し」には反対の意味をもつ表現もあります。
・大黒柱と腕押し(だいこくばしらとうでおし)
・打てば響く(うてばひびく)
「暖簾に腕押し」とあわせて、これらの表現も覚えておきましょう。
「暖簾に腕押し」と似ている言葉・四字熟語
「糠に釘」の意味は、手応えや効き目がないことです。糠(米のぬか)に釘を打ってもすぐに抜けてしまう様子を、働きかけても反応が得られない状態に例えています。
「馬の耳に念仏」は、意見や忠告を聞いてもらえないときに使える表現です。馬に念仏を聞かせてもありがたみを理解できないことから、何を言っても効果がない様子を表すことわざとして用いられるようになりました。
また、同じ馬を使った表現には「馬耳東風」もありますが、「馬耳東風」はただ話を聞かないだけでなく、大事な話すらも心に留めない様子を指します。
「暖簾に腕押し」と反対の意味をもつ表現
「大黒柱と腕押し」は、良い反応が見られることや効果があることを意味する表現です。大黒柱は家を支える頑丈な柱を指し、暖簾と違って押すと手応えがあることから、歯が立たないという意味でも使われます。
「打てば響く」の意味は、反応が素早いことです。働きかけるほど成果が見られる様子を表すほか、反応が優れているという意味も含みます。
まとめ
「暖簾に腕押し」は、こちらからのアプローチに対して相手の反応が思わしくないときに使える表現です。店の入り口などに掛ける暖簾は抵抗なく押し上げられることから、働きかけても反応がない様子を表すことわざとして用いられるようになりました。
日常会話のほか、ビジネスシーンや恋愛の話題でも多用されるため、意味を正しく覚えておきましょう。
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