【目次】
老後までにやっておくべきこと
その1 定年までは、とにかく働き続ける 《for お金・生きがい》
「人生の中で、お金を貯められる時期は3回、独身のとき、結婚後子供が生まれるまで、子供が巣立ってからです。65歳以降も元気なら、少しでも長く働いてお金を貯める時期に当てましょう。貯金の額も増やせるし、年金を受け取る時期を繰り下げて、その後の1回ごとの受給額も増やせる。いいことだらけなんです」(山崎さん)
その2 100歳までの家族年表をつくる 《for お金・生きがい・健康》
「自分が○歳のときに夫や子供、親が○歳になりどんなライフイベントを迎えるのかを一覧できる家族年表をつくると、100歳までの人生が想像しやすい。たとえば、自分が60歳のときに、夫が65歳で収入がなくなる、子供の学費はいくらかかるetc.、貯めるべき金額や、今何をすればいいのかみえてくるはずです」(水野さん)
その3 「iDeCo」か「つみたてNISA」で、老後の蓄えをつくり始める 《for お金》
「預金してもお金は増えない低金利時代なので、無理のない金額を投資に回してお金を増やす可能性を高めましょう。投資するなら、効果的に節税できる『iDeCo』や『つみたてNISA』で投資信託を毎月買い続けるのがおすすめ。一時的に元本割れするリスクはありますが、長い目でみればプラスになることが多いです」(山崎さん) ■「iDeCo」とは? 正式名称は個人型確定拠出年金。掛け金を積み立て、預金や投資信託で運用し60歳以降でお金を受け取る制度。所得税と住民税が軽減されるほか、収益が非課税に。自営業や会社員など働き方で掛け金の上限が変わる。
メリット:●節税効果が高い ●死亡しても遺族が受け取れる
デメリット:●60歳まで引き出せない ●手数料がかかる
■「つみたてNISA」とは? NISAとは条件内であれば運用益に税金がかからない制度。特に今年から始まった「つみたてNISA」は、投資の上限は40万円と少ないが、税制優遇の期間は最長20年間なので老後資金づくり向き。一般NISAの税制優遇は5年。
メリット:●いつでも解約できる ●100円から投資できる
デメリット:●対象商品が限られている ●一般NISAとの併用は不可
その4 ガマンしない節約の仕組みをつくる 《for お金》
「収入をすぐに増やすことはできないけれど、節約は今すぐスタートできます。ただガマンしたり、無理する節約は続かないし楽しくないのでNG。同じ生活水準をよりリーズナブルに実現することは工夫しだいでできるはずです」(山崎さん)
おすすめ節約術
□住宅ローンや保険の見直し
□格安スマホに乗り換える
□フリマアプリを使う
□家計簿アプリで収入と支出を把握
その5 スポーツの習慣をつけておく 《for 生きがい・健康》
「健康な体や心をキープするには運動することが大事。年をとって体を動かすのが億劫になる前から、運動のクセをつけておいて。若いころに憧れたスポーツをしてみるのも楽しいと思います。また、病気の予防や早期発見のためにも、忙しくても健康診断は必ず受けましょう」(水野さん)
その6 あえて新聞と雑誌で情報収集する 《for お金・生きがい》
「豊かな老後のためには、必要な情報をキャッチアップできるかどうかが分かれ道」(山崎さん)「スマホやPCのニュースページは、閲覧履歴によって自分向けにカスタマイズされることがあり情報が偏りがち。さまざまな情報を目にできる新聞や雑誌をチェックする習慣を」(水野さん)
その7 死ぬまでつきあえる趣味を探す 《for お金・生きがい》
「これを続けたいからお金を稼ぎたい、仲間がいて楽しめる居場所がある、など好きなものがあることは老後、特に大事です。今からいろいろ挑戦してみて、直感で〝何か違う〟と思ったら次のものにチャレンジするくらいの気持ちでOK。ゆっくり探していくとよいと思います」(水野さん)
その8 仕事以外の友達をつくる 《for 生きがい》
「仕事でできた人間関係は、定年後は持続しにくいもの。趣味での知り合いを増やしたり、時間ができたら同窓会を開いてみたり、老後もつきあえる友達を増やす努力をしましょう」(山崎さん)「異性に限らず、老後を支え合えるパートナーを考えておくのも大事」(水野さん)
その9 疲れないSNSを見つけておく 《for お金・生きがい》
「FacebookでもInstagramでもなんでもよいので、ストレスを感じず使えるSNSをもっておきましょう。社会との接点として友人同士で交流できるのはもちろんですが、副業を始めれば告知にも使えるし、老後の新しい仕事の話につながる可能性もあります」(水野さん)
その10 家は65歳までに買っておく 《for お金》
「今後、死ぬまでに賃料がいくらかかるかわからないという状態はリスクが高い。持ち家は必要です。退職金を取り崩すことは避けたいので、住宅ローンは定年退職までに完済しておきましょう。ただし、早く買いすぎると老朽化が進み、リフォームなどの心配が出てくるので要注意」(山崎さん)
お話を伺ったのは…
キャリアのプロ
キャリアカウンセラー 水野順子さん
女性とキャリア研究所代表。「オールアバウト」女性の転職ガイド。公務員、外資系人材サービス会社での営業を経て独立。2万人以上のカウンセリング実績をもつ。
お金のプロ
ファイナンシャルプランナー 山崎俊輔さん
フィナンシャル・ウィズダム代表。企業年金研究所、FP総研を経て独立。4歳と2歳の子の父。著書に『読んだら必ず「もっと早く教えてくれよ」と叫ぶお金の増やし方』(日経BP社)。
Domani2018年5月号『「人生100年時代」のセカンドキャリアを考える』より
本誌撮影時スタッフ:イラスト/船越谷 香 構成/佐々木 恵・赤木さと子・酒井亜希子(スタッフ・オン)