恋愛はしないと決めつけていた「大こじらせ」期。女性が飲み会に来たら帰っていた
「思えば、中学時代からこじらせてました」という金田さん。大人になりきれないまま、芸人としては20代前半で誰よりも早く大成功。「こじらせ」は形を変えながら、今も続いています。けれど、それを魅力にしていく方法にも気づいてきて––。
語り/金田 哲(はんにゃ)
写真をもっと見るいまだ恋愛観はやっと高2レベルです
中学のとき、学校中の面白いヤツを集めてコントをやったり、破いたTシャツを着ておしゃれだと勘違いしたり。自分こそが「とんがって」「誰よりも面白い」って、完全にこじらせてました。でもね、いざ芸人になってみれば、僕も含めずっと中2レベルの勘違い野郎のほうが、早く売れたんです。ただし20代前半までの話、ですけどね。
僕の場合、さらにこじらせてたのは、女性関係でした。同じ中学だった女の子と3年つきあったころ、彼女が別の人とつきあい始めて。僕が上京して1年目でした。裏切られたと思い込み、もう恋愛なんてするものかって決めて。そこからです。女性とは一切しゃべらなくなりました。男ばかりで飲み会をやっていて、そこに誰か女性を呼んだりしたら、即帰ってました。男だけの集まりをけがされた、なんて思って。
もちろん、それじゃまずいとは、わかっていました。
「女遊びも芸の肥やし」だと、先輩芸人の方からはずいぶん言われました。でも、自分にはそれがしっくりこなかった部分があって。みんながやっていると聞くとやりたくない。こじらせな性格が出てしまい、それより、別で出会った大人の男性の方々と高級なバーに行ってみたり、ジャズを聴きに行ってみたり。かっこいい大人になるための嗜みを勉強させてもらいました。その頃には、女性へのこじらせは少しだけマシになって、女性を誘ってふたりで食事に行ったりしていました。
それでも、いまだ恋愛観はやっと高2レベルです。だって、女性との出会いっていったら、DVDレンタル店で同じ趣味の子と出会って、それで手紙を交換して…みたいなことしか想像できないですもん。そんな世界、今も存在してるんですか??
SNSで出会うなんて、怖すぎます
SNSを始めたのは、人より遅い2020年~2021年でした。それを機に、YouTubeやTikTokを多くの人に見てもらえるようになったけれど、TwitterやインスタからのDMがものすごい。女性からの誘いもたくさんあります。でも、僕にしたらそれ、めちゃくちゃ怖い。会ったこともない人と、直接やりとりするなんて。DMをきっかけにつきあうとか、ギャンブル性高すぎて、手を出せません。
じゃあ、何が求める条件なのかと聞かれれば、「笑うタイミングが同じこと」でしょうか。ずっと友達みたいな感覚で、一緒に笑っていられたら。
写真をもっと見る「こじらせ」も悪いことばかりじゃない
そんなことを考えると、「ずっとひとり」でもいいのかな、と思うこともあります。結婚していなくても幸せで充実している人はたくさんいる。結婚しているから、彼女がいるから、幸せだともかぎらない。大人になるための勉強をしてきて、そう感じるようになりました。どちらもないものねだりです。あ、でも人生一度きりだし、やっぱりは結婚したいです。いい人がいれば(笑)。
もうひとつ、明らかに変わったことがあります。それは、「知識欲」です。歴史の勉強はもともと好きだし、体のことを思うなら栄養のことをちゃんと知っておきたい。朝は白湯を飲んで、食事は薄味で、量は控えめに。流行りじゃなくて、ロジックから入ります。あ、ロジックっていう言葉も最近学んだんですけどね。運動も好きだから、脳にどんな影響があるのかも、知っておきたい。ものごとを知れば知るほど、心も豊かになるし、今までと違う世界が見えてくる。それが、時間をかけて少しずつ新しい仕事にもつながっていく。こんな幸せもあるんだとわかりました。
10代、20代は、知識がなくて勢いだけでした。でも、それが失敗だとは思いません。無知でこじらせてたからこその、強みやよさがありました。だから無謀に挑戦できたし、早めに売れることができた。「こじらせ」も悪いことばかりじゃないんです。(終わり)
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金田 哲
かなだ さとし/1986年2月6日生まれ、愛知県出身。2005年に吉本総合芸能学院(NSC)東京校に第10期生として入所し、同年、川島章良とお笑いコンビ「はんにゃ」を結成。 2008年からバラエティ番組『爆笑レッドカーペット』で人気を得る。2009年、映画『フレフレ少女』で俳優でビューし、CM10本、レギュラー番組10本をもつ売れっ子に。2010年の映画『私の優しくない先輩』で主演をつとめる。はんにゃとしてお笑いライブに出演しながらも、ドラマ『アシガール』『正直不動産』、映画『燃えよ剣』『ヘルドッグス』などにも出演。最新公演情報は、https://yoshimoto.funity.jp/
▶︎ツイッター https://twitter.com/HANNYAKANADAS
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▶︎TikTok https://www.tiktok.com/@hannya_kanada
撮影/高木亜麗
文・構成/南 ゆかり
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