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EDUCATION 教育現場より

2024.02.03

実は誤解がいっぱい!? 英語教育にまつわる〈嘘と本当〉確実に英語力をつける道はこれ!【お受験ママの相談室 vol.18後編】

「自分は英語を話せないけれど、子供には!」と思っている保護者は多いですよね。けれども自分も英語話者ではないのに、どうしたら正解なのか?よくわからない・・・。今回は、そんな親たちにありがちな英語教育に関する疑問や誤解を解きながら、英語学習において本当に大切なことを教えていただきます。お招きしたのは、ご自身も日本生まれ&育ちでありながらTOEFL100点獲得、MITの大学院卒で人気急上昇中の英語塾キャタルの三石社長。これを読めば、現時点で親として知っているべき英語学習の知識は完全網羅!という内容になりました。

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第18回[後編]:「なぜ日本人は英語が話せない?」 その本当の理由

三石郷史さんと会話中の田口まさ美さん

たくさん英語を勉強してきたはずなのに、なぜ英語が全然話せないんだろう?と思っている大人は多いですよね。子どもには、同じ思いはさせたくない!では、なぜ英語がこんなに話せないのでしょう?その本当の理由はここにあります。

〈お話を伺った方〉
キャタル代表取締役社長 三石郷史さん

聞き手・原稿:教育エディター 田口まさ美
▶︎Instagram:@masami_taguchi_edu


田口:
スバリ、なぜ日本人が英語を話せないか。教えてください!

三石:第一に、日本の英語教育に小中高を通したグランドデザインがないからではないでしょうか。英語教育がプリスクール、小学校、中学で文法、高校、それぞれに分断されていて、いろんなメソッドとカリキュラムが次々に入れ替わるので、学習者が迷子になってしまう。本来は一貫した教育カリキュラムが必要で、ここが日本の英語学習の最も深刻な課題だと思います。

第二に、日本では英語を短文で学びますが、これも非効率です。短文で語学を勉強するのは、その言葉を脳内でイメージする作業を伴わないからです。

例えば、子供が実生活の中で言語を学ぶときは、赤いリンゴを見て、実際に手に取り、食べ、味わいながら「これはリンゴだよ、美味しいね」と話しかけてもらうようなリアルな経験と共に言語をインプットします。

聴覚、視覚、触覚、味覚、などを含めた極めてリッチな情報とセットになったインプットです。これにより脳に言語が残りやすくなるのです。ですが、日本にいながら、そういった日常的な環境に身を置くことは、なかなか難しいものがありますよね。

ところが、「ある夜、ピーターパンがウェンディの部屋の窓の外にやってきた。ウェンディの髪の色は・・・」というような物語の文章から入れば、リアルな環境がなくても短文の時より格段にイメージできるものが濃厚になります。

「Tom is a boy.」「I have a pen.」という短文からイメージできるものに比べて、物語文では、そのシーンの脳内イメージと言語情報が結びつき、リッチな情報とともに言語をインプットすることになるのです。

つまり海外にいてできる言語体験に近いことを、読書を通して脳内の想像力を使うことで体験できる。さらにそれを、何度も音声を聞いて真似をすることとセットでやっていけば、イメージと音がつながり、口からも出てきやすくなります。言語習得の方法は全てこれです。

弊社キャタルでは、ABCから始める子は、最初はフォニックスを学びながらリーディングブックで読む・書くのアクティビティからスタートします。その後、物語を読むというカリキュラムに移ります。

英語の絵本を開いた様子

■物語を音声を聞きながら黙読

■真似して音読

■分からないところは、英英辞典を引きながら、重要な英単語をボキャブラリーカードに移す

■サマリーを書く(または自分の意見を書く)

■動画とテキストでネイティブスピーカーの先生からの添削&フィードバックを受け取る

■修正する

 

弊社では、このような勉強方法流れはずっと変えずに、ABCからTOEFL100点までサポートし続けていきます。ただ読む題材は、ストーリー(物語)からノンフィクションの記事まで、成長に合わせて変化していきますし、内容を理解してサマリーを書けるようになったら、自分の意見を書くことに移行していくことで、自分のペースでステップアップしていきます。

英語学習の本当の目的とは?
「高校3年生、TOEFL80点」でグッと開ける世界

田口:英語を学ぶ上で、“目的が大切”ということはよく言われますが、三石さんの考える英語学習の目的とは、どんなものでしょうか?

三石:「高校3年生でTOEFL80点。これで、その後の世界が広がる」。TOEFLでハイスコアを取れれば選択肢が圧倒的に広がります。例えば高校3年生でTOEFL80点あれば、国内大学の一般受験も問題ないですし、海外大学への留学の可能性も出てきます。

最近は円安とインフレの影響で、高校卒業後に直接海外大学に留学をするのは難しくなってきていますが、一方で国内大学は交換留学に力を入れており、この制度を使って一年間留学をする学生が増えています。交換留学の選考に使われるのも、やはりTOEFLです。

また、TOEFLで高い点数を取るだけの英語力があれば、それは社会に出てからも通用します。こうして世界中に出ていけることによって広がるその後の世界こそ、本当に英語を学ぶ意味であり、楽しいところだと思います。

TOEFLに関しては、アイビーリーグなどのトップ校の基準となる100点を、願わくば目指したいところですが、まずは高校3年時に80点、その後に大学に入ってから100点を目指すのでも十分だと思います。

また、日々の英語を学習する上での目的は、“英語学習を通じて自立的な学習者になること”だとも思うんです。これは目的達成思考ではなく、学ぶ道のりそのものを楽しむということです。

大学に入ったら終わり、ではなく、実際の社会に出てなお、より高い自分なるための勉強をしていけるような大人になってほしいですよね。それには、学ぶことの楽しさや、続けることの大切さを学ぶことがとても大事だと思っています。

そのために他者との競争を通した学習で、承認欲求を元に勉強するのではなく、自立して主体的に学んでいく人材を育てることも、キャタルの目標です。

田口:学びの楽しさ。おっしゃる通りだと思います。リスキリングのように、今は学び続けることが大事だと言われますよね。日本ではまだ大学入学が学習の最終目的地になってしまう感覚が残っています。

ですが、これからの日本を支えるには、新しい産業が必要で、まさに三石さんのように、自分で事業を起こしたり、新しい価値やサービスを提供するために意欲的に学び続ける人材こそ必要です。

有名大学や大企業に絶対の信頼をおき、そこに入ることだけを目的とした学習をしていても、その大学や企業が以前ほど信頼できる砦にならないかもしれない時代です。そういった意味でも、これからの子供たちは目的達成思考で学習するのではなく、学びの過程を楽しみ、自らの探究心を持って学習していけると良いんだろうなと思います。

また、集団競争型の学習スタイルも然りです。北欧諸国では、教育も個別最適化が進んでおり、学校の中で集団競争はさせないのが主流です。「競争での効果は、トップ集団のみの承認欲求を満たすことに限られ、それ以下の多くの生徒たちへのポジティブな効果が期待できない」という考え方です。

それよりも、全ての子供の学びの意欲を育てることを重視して、自分のペースで学んでいく環境を提供しています。その結果、北欧諸国の学力はおし並べて高く、世界的にも評価されています。

〜ある認知能力に課題のある50代の男性が、小学校の時点で勉強についていけなくなり、小学校を中退して道を外してしまい刑務所に入ってしまったのだけれど、服役中に自分の能力に合わせて勉強を教えてもらい学び始めたらとても楽しく、獄中で中学卒業資格を取り、今は高校卒業資格を目指している〜

という新聞記事を読んだことがあります。

その記事を読んで以来、「学ぶ喜び」は全ての人に与えられるべき権利なのではないかと思うようになりました。誰にとっても、そして何歳になっても、昨日より今日、今日より明日、何かが分かったり、できるようになることは、喜びです。

学習は、誰かと比べて優劣を競ったりするためではなく、学ぶ喜びを知るためにあると思います。なので、私も三石さんの考え方に大賛成です。

今、日本の子供が海外に出ないと学べない最も重要なこと

三石:実は私も多くの日本人と同じで、長らく強い英語コンプレックスを持っていたんです。子供の頃から英語は得意と思ってきたのに、大学に入ったら帰国子女の学生同士の会話が、自分とはレベル違いで。

それは大ショックでした(笑)。その後、外資系企業のメリルリンチに入社し、やはりそこも英語が堪能な帰国子女ばかりが出世する世界で、英語力によって選択肢が狭まることも実感しました。

悔しかったですし、あれだけ長いこと学校で勉強してきたのに自分が英語ができないのは理不尽だとも思いました。もっと早くにあの帰国子女たちに出会えていたら、目線が変わって自分も選択肢が増えていたのに、、、と。自分がしたその想いを次の世代にはさせたくないという思いが今の事業につながっています。

起業した後に、長年の自分の目標であったTOEFL100点を取って2018年から2年間、MIT(マサチューセッツ工科大学Massachusetts Institute of Technology)に留学しました。MITでMBAを取り、 同時にハーバード大学で教育科目も取っていました。その時に最も学んだことは、ダイバーシティの大切さです。

Diversity is a source of innovation.

MITでは、この言葉通りダイバーシティに死に物狂いで取り組んでいます。「多様性の中でいろんな人の意見を聞くこと。それにより発想が広がり、影響し合い、学びが進歩していく。

国籍、人種、性差、などバックグラウンドが違う人間同士で学ぶことを通してのみ、進化は起こり得る」という強い信念のもと、世界中の人々が集まって学んでいます。これが今のアメリカ経済の強さに繋がっていると言えます。

またダイバーシティを尊重するコミュニティにおいては、自分が日本人であることを​​否が応にも意識させられます。一人一人のバックグランドが大切だからこそ、自分自身のバックグランドも尊重される。

海外に行くと自分自身が日本人であることを、意識させられます。その体験こそが自分が将来何を目指すか、何のために学ぶのかという大きな問いに向き合うきっかけを作ってくれると思います。

このダイバーシティの体験こそが、今の日本の教育環境では得難いものであり、これからの未来を生きていく上で最も重要な視点だと僕は思っています。これからを生きる子供たちには、海外に出て、ぜひダイバーシティを体感してもらいたい。 

TOEFL80点や100点を取れれば、誰もがその入り口に立てます!そのサポートができれば、こんなに嬉しいことはありません。

田口:ありがとうございました。

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教えてくれたのは…

英語塾キャタル 代表取締役社長 三石郷史さん

群馬県桐生市出身。慶應義塾大学経済学部卒業後、メリルリンチ証券会社に入社。2020年、マサチューセッツ工科大学大学院卒業。

幼い頃から感じていた英語コンプレックスの悔しさと、外資系の企業で英語ができずに苦労した経験から「次世代に同じ思いをさせてはいけない、正しい英語を正しい方法で学べる場所を作ろう」と決意し、「英語塾キャタル」を創立。延べ10,000人以上の生徒が学ぶキャタルは、世界一生徒の英語力が伸びる塾を目指している。

生徒たちに海外滞在歴がなくても世界に挑戦できることを示そうと、海外留学に挑戦。2017年にTOEFLで102点を取得し、マサチューセッツ工科大学大学院に合格。日米を行き来しながら、2020年に修士号を取得。

福岡に開校するなど教育から地域の活性化にも力を入れている。2024年にはバンコクにはじめてとなる海外教室を開校予定。

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Interview&Writing

田口まさ美

〈教育エディター〉
小学館で教育・ファッション・ビューティ関連の編集に20年以上携わり独立。現在Creative director、Brand producerとして活躍する傍ら教育編集者として本連載を担う。私立高校に通う一人娘の母。Starflower inc.代表。Instagram▶︎@masami_taguchi_edu

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