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LIFESTYLE インタビュー

2024.07.15

寺川綾さんが大先輩の影響を受けた自分なりの子育て。「まだ答えは出ていませんが、今のところ成功している気がします」

 

1日のもち時間は誰でも同じ24時間。時間の使い方から見えてくるその人のコアな軸にフォーカスする「女の時間割。」では、毎回働く女性の中にある女・妻・母の3つの顔をクローズアップ!

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プライベートでは小学生の娘ふたりの母である寺川綾さん。元アスリートならではの一本筋の通った子育てから見えてくるものとは…。寺川さんの「母時間」をお聞きします。

寺川さんの「女の時間割。」
Vol.1「女」時間〜ひとりの女性として仕事に向き合う時間〜 
Vol.2「妻」時間〜妻として夫に向き合う時間〜
Vol.3「母」時間〜母として子どもに向き合う時間〜 ←この記事
スピンオフトーク

寺川綾さん
ミズノ(株)スイムチームコーチ、スポーツキャスター・39歳
元競泳日本代表、女子競泳ロンドン五輪銅メダリスト

寺川さんの「母」時間をClose up 8:00@Living
長女と次女の習い事やお稽古がつまった一日の始まり

「娘たちはふたりとも好奇心がとても旺盛なので“やってみたい”というワクワク感を満たしてあげたく、本人がやりたいと自己申告してきたものは好きに習える環境をつくっています。ただし“一度自分で始めたことには責任をもちなさい。途中で投げ出すのは許しません”というのが我が家のルール。現在はふたりとも水泳とチアダンスとお習字を同じスクールや教室で習っています。どれも家の近くでみつけたので送迎もしやすいです」

寺川綾さん 子どもの習い事アイテムを持つ様子

「母」時間 寺川さんの子どもの習い事やお稽古のある日

この連載では“ある日の時間割”についてアンケートに回答してもらい、撮影シーンを構成しています。寺川さんの「母」時間を紹介します。

6:00 起床、朝食準備
7:00 子どもたちを起こして朝食
8:00 長女の習い事の見送り
9:00 掃除、洗濯、昼食準備
10:00 長女の習い事のお迎え、買い出し
11:30 帰宅後、昼食
13:00 長女のお稽古の見送り、夕食準備
14:30 次女の習い事の見送り、長女のお迎え
16:30 長女の塾の見送り、次女のお迎え
19:30 長女のお迎え
20:00 帰宅後、夕食、入浴
22:00 就寝

“好きなこと”を応援して“好奇心の芽を広げて伸ばす”

何かを習うことが大好きなふたりの娘をもつ寺川さんの朝は、平日も休日もあわただしい。

「どのご家庭も同じだと思いますが、子どもを送り出す朝の私の迫力はすごいですよ。娘たちは時間ギリギリに起きてご飯を食べながらぼんやりするので、“間に合わない。早くしないと遅れるでしょ!”とちょっと怖めにお尻をたたいて喝を入れます(笑)。子どもの習い事がつまっている日は学校が休みでも長女を朝8時に送り出します。持ち物やお道具などの忘れ物がないように、“ちゃんと入ってる?”とカバンの中身にもしっかり目を光らせます。

長女のひとつめの習い事が終わったら、午後からまた別のお稽古に送り込みます。次女を習い事に送り出したその足で、今度はまた長女をお迎えに。なかなかのハードスケジュールなので私が仕事で送迎できないときには夫やシッターさんに早めにヘルプを求めます。娘たちが面白そうな習い事をみつけては体験レッスンを受けてすぐに“やりたい”と始めるので、時間はいつも不足気味です。

チアダンスは家族で近所に出かけたときに偶然、レッスン終わりの子どもたちに遭遇したのがきっかけでした。キラキラした華やかなポンポンを持っている姿がとてもかわいらしく、長女が“ママ、あれは何? 私もやってみたい”とすぐに体験を受けにいったのです。チアといってもうちの子たちはまだ小学生なのでダンスが中心。大会は観戦もできるので、見に来たご家族全員ポンポンを持って並んで、“がんばって〜!”と応援したこともありました。

水泳に関してはよく聞かれるのですが、親としては娘たちが楽しく泳いでくれればそれで十分。絶対に選手になってほしいとも、絶対になってほしくないとも、思いません。そもそも上の子は水が大嫌いでお風呂で顔に水がつくのも嫌がる子でした。保育園でひとりプールに入れず見学する期間がずっと続いて、“なんで私だけ水に入れないんだろう。私もみんなみたいにプールで楽しく遊びたい”と頼んできたので4歳でスイミングスクールに通わせました。次女は長女のゴーグル姿に触発されて“私もやりたい”と、同じく4歳からスクールへ。

最近、長女は泳ぐ力をもっと伸ばしたくなってきたようで、“ママは全然練習を見に来てくれない”と口をとがらせるようになってきました。娘を担当してくださるコーチの指導方針があるので、“ママはあなたのコーチじゃないからダメ”とそのたびに断ると、“ママ、本当にいじわる”とすねています。そろそろ思春期でもありますし、私に似て負けず嫌いなところもあるので何かと難しい場面も増えてきました。これからは習い事と学校の両立についても考えていかなければなりません。大変でも子どもの基本である学校の勉強やすべきことをきちんと優先しつつ、長女の希望も尊重しながら見守っていければと思っています」

大先輩から学んだ、子どもの自律心の育み方

自分のことは、ちゃんと自分でできるように。好奇心とともに子どもたちの“自律心”も大切にしている寺川さん。たとえば食事中に“ママお茶”と頼まれたら必ず“ママお茶、じゃありません”とぴしゃりと返す。

「ごく当たり前のことだと思いますが、娘たちには今のうちからなるべく、自分のことは自分でできるようになってほしいと願ってるんです。ふだんから親が甘やかしすぎてしまうといざ何かあったとき、子どもが自分で対処しきれない場面も増えてくるのではないかと思うからです。

今はいつどこにいても、何が起きるかわからない時代ですよね。震災や事故などのニュースをみているとどんなに気をつけていても、自分も子どもたちも、突然何かに巻き込まれてしまうような事態が絶対に起きないとも限りません。そうなったときに、娘たちが自分の頭で考えて判断をして、よりよい行動がとれるように、その始めの一歩として自分のことは自分でやらせる習慣をつけたいと考えているのです。

そう考えたきっかけは、大先輩の千葉すずさんの子育てに感銘を受けたことにもありました。昔、仕事の現場に千葉さんがまだ小学校に上がる前くらいの小さなお子さんをふたり連れてこられたことがありました。なにげなく見ていると、上のお子さんが下のお子さんのめんどうをごく自然にみてあげたり、気づかっているので驚きました。“すずさん、どういう子育てをしたらそうなるんですか?”とお聞きしたら、“子どもでも自分のことぐらい自分でできないと生活していけないから”と、さらりとおっしゃったのです。

お子さんたちが小学校に上がったときにはもう、ひとりでお米も炊けるようになっていたそうです。仕事が長引き帰宅が遅れそうだとなったらすぐにお子さんに電話して頼むと、“わかった”と炊飯器のスイッチを入れてくれる。帰宅するころにはご飯が炊けているのだとか。そのお話を聞いて確かにそうだなと。“ママが帰れないから何も食べられません、準備もできません”では困りますよね。大先輩を見習って、今うちでも実践しているところです」

寺川綾さん 子どもの習い事準備

困っている友達を助けることができた長女

これからの子どもたちに必要な“生きる力”を身につけさせたい。そう願う寺川さんに現在の様子をたずねてみると、こんなエピソードをシェアしてくれた。

「娘ふたりが果たして実際にそんなふうに育ってくれているのか、まだ答えは出ていません。でも、部分的にはそうですね。“ママに聞かないでがんばろう”という姿勢が見えてきだしている気がします。

先日、ちょっと驚いたことがありました。長女が学校で傘を持ってこなかった友達に、自分の傘をさしてあげたというのです。天気予報で午後から雨だと聞いていたので自分は傘を持って登校した。予報どおり下校時には雨が降ってきたけど、傘を持っていない友達がいたので自分の傘をさしながら家まで送ってあげたのだと。“困っていた友達がいたから、助けてあげた”とずぶ濡れで帰ってきて。傘が大きくないから自分はビチョビチョになっているんです。そのとき、長女になんて言ってあげればいいのか、少しとまどいました。

“お友達を助けてあげることはすごくいいことだし、えらかったね。だけれども、自分のことはどうでもいいのではなくって、そういうときは一緒に傘に入るほうがいいかもしれないよ”と話しました。私の知らないところで友達のことをよく見ていたり、困っている人がいたら助けてあげることができる。そういう意味では、いい具合に成長してくれているのを感じます。今のところ、たぶん成功していると思います(笑)」


〈取材現場より〉
女時間から母時間まで、要所要所に“笑いの要素”をとびこませて楽しい談話を展開してくださった寺川さん。インタビュー後半で娘さんの雨の日のエピソードをお聞きしたときには少しじんわりきてしまいました。次回スピンオフでは、寺川さんによる自己分析をお届けしますのでお楽しみに。

Profile

寺川 綾

てらかわ・あや/1984年、大阪府生まれ。ミズノ株式会社所属。3歳から水泳を始め、高校2年生で2001年世界水泳選手権に初出場。翌2002年パンパシフィック水泳選手権女子200m背泳ぎで銀メダルに輝く。アテネオリンピックでは200m背泳ぎ8位、ロンドンオリンピックでは100m背泳ぎと4×100mメドレーリレーの2種目で銅メダルを獲得。50m背泳ぎ、100m背泳ぎの日本記録保持者となる。ロンドン五輪は2大会連続出場、世界選手権は福岡、上海、バルセロナの3大会に出場。2013年12月に競技からの卒業を宣言。29歳で結婚。現在は二児の母。スイムチームコーチ、スポーツキャスター、水着の監修など多方面で活躍中。インスタグラム : @terakawaaya_official

撮影/髙木亜麗 スタイリスト/中原正登(FOURTEEN)ヘア&メーク/香坂寛子(GATTI) 構成/谷畑まゆみ

Tシャツ¥8,500、デニムパンツ¥18,000、ピアス(3set)¥9,000(バナナ・リパブリック)ソックス(スタイリスト私物)バッグ(トート)¥26,400・バッグ(リュック)¥8,580 (ミズノ) リング、水着、スイムキャップ、ゴーグル、チア用ポンポン(私物)

私の生き方



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