キャッチアップとは?意味・語源や使い方を解説
キャッチアップは、ビジネスや個人の成長における重要な概念です。基本的な意味や語源、一般的なビジネスシーンでの使い方を解説します。
日本語の意味は「追いつく」
キャッチアップとは日本語で表すと、「追いつく」「遅れを取り戻す」という意味を持つ言葉です。一般的には、知識・技術・情報などの面で、他者や最新の状況に追いつくことを表現します。
キャッチ‐アップ【catch-up】
[名](スル)追いつくこと。遅れを取り戻そうとすること。
小学館『デジタル大辞泉』より引用
たとえば、長期休暇後に職場に戻ったときに「仕事のキャッチアップをする」といった場合、休暇中に遅れた業務を取り戻すことを意味します。
キャッチアップの語源は英語の「catch up」です。英語でも「追いつく」「追い上げる」という意味で、日本語のキャッチアップに通じます。
ビジネスにおけるキャッチアップの使い方
ビジネスシーンでのキャッチアップは、主に市場動向や新しい技術・情報を把握する意味で使われます。これは変化の激しい現代社会において、常に最新の情報や技術を吸収し、遅れを取らないことの重要性を示しています。ただし、業界によっては意味が異なるケースもあり注意が必要です。
自社や自身の価値を高める姿勢が不可欠なビジネスにおいては、キャッチアップが競争力維持と成長の鍵となります。
なお、キャッチアップは単なる模倣ではありません。遅れを取り戻しつつ、さらなる革新を生み出す原動力となるのです。現に、日本の高度経済成長期における産業発展も、欧米先進国へのキャッチアップから始まりました。
新入社員が先輩社員のスキルレベルに追いつこうとする姿勢や、企業が競合他社の新製品に対抗して自社製品を開発する過程も、キャッチアップといえます。
業界ごとで異なる意味と使い方
キャッチアップは、業界によって異なる意味や使い方があります。ここでは、経済・産業、医療・看護、そしてITとスポーツにおけるキャッチアップの特徴的な用法について紹介します。
経済・産業界でのキャッチアップ
経済・産業界におけるキャッチアップは、企業や国家が競争力を維持し、成長を続けるための重要な戦略です。
新興企業が業界大手の技術を研究し、より効率的な製品を開発することで市場シェアを拡大する様子がキャッチアップの一例といえます。以下はキャッチアップの具体的な使用例です。
・我が社は、AIを活用した顧客サービスで競合他社にキャッチアップしつつある
・日本の電気自動車産業は、欧米メーカーへのキャッチアップを急いでいる
経済・産業界でのキャッチアップは、技術革新や生産性の向上、市場戦略の刷新などを通じて実現されます。
医療・看護分野におけるキャッチアップ
医療・看護分野におけるキャッチアップも「遅れを取り戻す」という意味ですが、以下のように独特の医療用語として使われます。
・このグラフは、ある患者のキャッチアップ現象を表す好例だ
・コロナによってHPVワクチンを打てなかった人向けに、キャッチアップ接種が行われている
代表的な用語のひとつ目は「キャッチアップ現象」です。これは病気などによって成長が遅れていた子どもが、回復後は病気になる以前よりも速く成長し、本来の発育レベルに追いつくことを指します。
ふたつ目は「キャッチアップ接種」です。こちらは予定通りに受けられなかった人を対象に、予防接種を後から実施することを意味します。
IT業界でのキャッチアップ
IT業界でも、キャッチアップという言葉が独自の意味を持つことがあります。たとえば、以下のような使い方があります。
・ニュースリーダーのキャッチアップ機能なら、未読記事を一括で既読にし、最新情報に追いつける
・画像に関わるキャッチアップは、Web上の画像を一括ダウンロードする操作をいう
・ゲーム分野での「キャッチアップexp」は、対戦相手を倒して得る経験値のことだ
また、新技術や情報が絶えず登場するIT業界では、一般的な意味のキャッチアップも必須スキルです。
スポーツ業界でのキャッチアップ
スポーツ業界では、特定の技術をキャッチアップと呼ぶ場合があります。たとえば水泳には「キャッチアップクロール」という泳ぎ方があります。
片腕のストロークが完了するまで、もう片方の腕を前方に伸ばしたまま待つのが特徴です。これにより、安定したフォームと効率的な推進力を獲得できます。使用例は次の通りです。
・初心者の生徒たちは、キャッチアップクロールで基本フォームを習得している
・ベテラン選手も、フォーム改善のためにキャッチアップクロールを取り入れることがある
この技術は単に速く泳ぐことよりも、正しいフォームを身に付けることを重視した練習方法です。
キャッチアップの類語を紹介
キャッチアップの類語には、「追いつく」「追いかける」「追走」などがあります。類語はキャッチアップと似た意味ですが、使用される場面やニュアンスに違いがあります。
追いつく・追いかける
「追いつく」と「追いかける」は、キャッチアップの基本的な意味を端的に表現する単語です。しかし、ビジネスシーンでは単なる追跡以上の意味を持ちます。
例を挙げると、新入社員が先輩の業務スキルに近づくことや競合他社の新技術を調べて学ぼうとすることなど…単に後を追うだけでなく、積極的に学び成長する過程を含んでいるのです。
キャッチアップとの違いはほとんどありません。一般的なビジネスの場では、入手していない情報や知識を把握するといったニュアンスで使われます。