「最近」とは?意味を例文でご紹介
「最近(さいきん)」とは、「現在より少し前のあるとき」や「少し前から現在までの間」の意味で使われる言葉です。たとえば、次の文章では「最近」は「現在より少し前のあるとき」を指します。

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- つい最近の出来事だが、昔のことのようだ。
- 最近、駅ビルで彼に偶然出会った。相変わらず元気なようだった。
また、次の文章では、「最近」は「少し前から現在までの間」を指します。
- 彼女が教授の娘だなんて、最近まで知らなかった。
- 以前は仲良くしていたが、最近はお互いに連絡を取り合っていない。
「最高」が「もっとも高い」を意味するのと同様、「最近」は「もっとも近い」の意味でも使われます。
- 太陽に最近の惑星は水星で間違いないだろうか。
- うちの最近のコンビニは品揃えが悪い。
【最近】さいきん
現在より少し前のあるとき。また、少し前から現在までの間。副詞的にも用いる。
もっとも近いこと。
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
「最近」がビジネス文書に適さない理由
「最近」は普段の会話に使われる言葉です。ビジネスや社交といった少し改まった場所でも、「最近、どうですか?」「最近ピラティスを始めたんですよ」というように頻繁に使われます。

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しかし、書き言葉として使うときには注意が必要です。とくにビジネス文書には適さない恐れがあります。
具体的にいつなのかがわからないから
「最近」は「現在よりも少し前のあるとき」や「少し前から現在までの間」を意味します。時間を特定せずに使える点では便利といえますが、具体的にはいつのことなのかがわからない点には注意が必要です。
ビジネス文書では漠然とした言い回しは避け、具体性を持って示すことが求められます。「最近」のように具体性の欠ける表現を使うと、実際には何を指しているのかが不明瞭になってしまうかもしれません。
たとえば、「最近のデータによれば……」というよりは「2025年3月にまとめたデータによれば……」というほうが、正確な印象を与えられます。具体的な時期や時間がわかっているときは、「最近」を使わずに表現するほうがよいでしょう。
カジュアルな印象を与えることがあるから
「最近」はカジュアルな印象を与えることがあります。話し言葉としては問題がなくても、書き言葉にはふさわしくない場合もあるでしょう。
ビジネス上の付き合いでも、長く親しい関係を築いているなら、「最近、どうですか?」といったカジュアルな言い回しは問題ないかもしれません。しかし、手紙やメールなどの文書では、普段から親しい間柄であってもカジュアルな言い回しは避けるほうがよいでしょう。
「最近」の言い換え表現5選
「最近」と同じく、あまり遠くない過去や現在を指す言葉も多くあります。

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普段の会話や文章に使える言い換え表現を紹介します。また、「最近」とのニュアンスの違いも紹介するので、ぜひ状況に応じて使い分けてみてください。
近頃
「近頃(ちかごろ)」とは、この頃や最近、近来の意味で使われる言葉です。現在を含む近い過去の意味では、「近頃」も「最近」、「この頃」のいずれもとくに違いはありません。
- 近頃の若い者は覇気がないといわれるが、彼は違うようだ。
- 暖炉の上に飾っているオルゴールは、近頃手に入れた品だ。
否定形で使う場合、「最近」が時間的な幅がもっとも長く、次いで「近頃」が長いとされています。「この頃」はもっとも短い期間を指し、「ここのところ」といったニュアンスがあります。たとえば、次の3つの文章を比べてみましょう。
- 最近は夜更かしをしない
- 近頃は夜更かしをしない
- この頃は夜更かしをしない
「最近は夜更かしをしない」というときは、かなり前から夜更かしをしていない状態です。一方、「この頃は夜更かしをしない」は、現在よりもそう遠くはない過去の時点から夜更かしをしていないニュアンスがあります。
この程
「この程(ほど)」もこの頃や最近、近来の意味で使う言葉です。
- この程入社したばかりです。
「この程」は、この度や今度の意味でも使われます。
- この程、新社屋が完成の運びとなりました。
この度
「この度」は今度や今回の意味を表します。
- この度はおめでとうございます。
- この度、左記に転居しました。
近年
「近年」は最近の数年間やここ数年を意味する言葉です。
- 近年にない豊漁で、キログラム当たりの価格がずいぶん下がった。
- 不摂生続きだったが、近年はわたしも健康に注意した生活を送っている。
ここ最近
「ここ最近」の「ここ」とは、現在を中心としてその前後を含めた期間のことです。「ここ数年」や「ここ2、3日」といったように使います。
- がみがみとうるさい人だったが、ここ最近はめっきりとおとなしくなったようだ。
- ここ最近、彼に会っていない。
状況に応じた言葉を選ぼう
「最近」はカジュアルなニュアンスがあり、なおかつ、具体的にいつのことなのかが不明瞭なため、ビジネス文書には適さない恐れがあります。相手に不快感や不信感を与えないためにも、その場に応じた言葉を選ぶようにしましょう。
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