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「勘案」(かんあん)の正しい意味とは?
「勘案」は、物事を考え合わせることを意味します。具体的には、多角的な視点から物事を捉え、総合的に判断することを意味する言葉です。
【勘案】かん‐あん
[名](スル)あれこれと考え合わせること。勘考。「諸般の情勢を—する」
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
ビジネスでも「勘案」が必要な場面は多々やってきます。例えば、製品開発やマーケティング戦略の策定において「勘案」は重要です。多様な場面で、さまざまな事象を照らし合わせ考えたうえでの判断が求められます。
また、日常生活でも「勘案」は行われます。商品を購入したり旅行先を決定したりする際は、価格や内容、購入するメリットやデメリットなどを考え合わせる行為が必要です。
このように考えると、「勘案」はビジネスだけでなく日常生活とも関係性の深い語句であることがわかります。
「勘案」と「考察」や「考慮」との違い
「勘案」と似たような意味を持つ言葉に「考察」(こうさつ)や「考慮」(こうりょ)が挙げられます。どちらも考える行為に関連する語句です。それだけに、「勘案」との具体的な違いや使い分け方に迷う場面も多いかもしれません。
ここでは「勘案」と「考察」や「考慮」との意味の違いについて解説します。例文と共に「考察」や「考慮」の使い方も確認していきましょう。
「勘案」と「考察」の違い
「考察」は「勘案」と同様に物事を考えることを意味する言葉です。「勘案」との具体的な違いは、目的がはっきりとしている点にあります。辞書の説明にあるように、「考察」は物事を明らかにするために行う行為です。
【考察】こう‐さつ〔カウ‐〕
[名](スル)物事を明らかにするために、よく調べて考えをめぐらすこと。「深い—を加える」「日本人の社会意識について—する」
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
例えば、1つのテーマについて深く調べ、論理的な根拠などを提示しながら考えを述べる行為は「考察」にあたります。レポートや報告書の作成、プレゼンテーションを行う際などにも「考察」は必要です。
ビジネスや学習に限らず、日常生活で読んだ本や観賞した映画について解釈を深める行為も「考察」にあたると考えられます。ビジネスシーンや日常会話では、以下のように使用していきましょう。
・今回は、経営学の視点から商品開発の手法について考察してみました。
・AIの将来性について、私なりの考察を述べさせていただきます。
・部署が抱える課題について慎重に考察を重ねた。
・毎週放送されているドラマについて、自分なりの考察をSNSで発表している。
「勘案」と「考慮」の違い
「考慮」とは、物事を多様な要素を含めながらよく考えることです。物事を考え合わせる「勘案」と非常に似た意味を持つ言葉だといえます。
【考慮】こう‐りょ〔カウ‐〕
[名](スル)物事を、いろいろの要素を含めてよく考えること。「—に入れる」「—の余地がない」「相手の事情を—する」
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
「勘案」との違いは、物事に配慮する要素が含まれている点です。「勘案」のように物事を考え合わせるだけでなく、それぞれの要素を含めながら、より考えをめぐらせなければいけない場面に適しています。
使用例にもあるように、他者への心遣いや心配りが必要なシーンでは「考慮」という表現を検討してみてください。
・彼の体力や年齢を考慮してトレーニングメニューを作成した。
・当日の天気も考慮しながらスケジュールを決定してください。
・上司の判断は少数派の意見も考慮したものだった。
・発表会への参加は、本人の意見も考慮したうえで決定したいと思います。
「勘案」を使った例文
「勘案」の正しい意味や他の語句との違いをふまえ、ここからは具体的な使用例をご紹介します。
前述したように、ビジネスでは多角的な視点から物事を捉える「勘案」が求められます。それだけに会話で用いる機会も多いかもしれません。具体的には以下のように「勘案」という語句を活用していきましょう。
・諸事情を勘案しプロジェクト決定の判断を下した。
・市場動向と顧客ニーズを勘案し、新製品開発に乗り出した。
・コストと利益を勘案すると、今回のプロジェクトは中止せざるを得ない。
・投資はリスクを十分に勘案したうえで進めるべきだ。
・現在のシステムの脆弱性を勘案し、新たなシステムの導入を決定した。
ビジネスで活用できる「勘案」の敬語表現
ビジネスメールやビジネスにおける会話では、敬語表現を用いるのが一般的です。その際は「勘案」を尊敬語や謙譲語にして用いる必要があります。
尊敬語とは、相手の立場を敬った表現のことです。謙譲語は、相手への敬意を表したへりくだった言い方になります。
ここからはメールや会話のなかで「勘案」をどのように使うのか、具体的な敬語表現についてみていきましょう。