アイロンがけは、家事の中でも意外と難しく、手間がかかると感じる人も多いでしょう。しかし、正しい温度設定や使い方をマスターすれば、驚くほど簡単に衣類を美しく整えることができます。
そこで、この記事では、初心者でも安心して取り組めるアイロン温度の基本や素材ごとの適切な温度、さらに効率的に作業を進めるためのコツを創業80余年の歴史を持つ京都発祥の染み抜き・お直し専門店である「きものトータルクリニック吉本」さんにお聞きしました。分かりやすく解説します。
初心者でも安心! アイロンの温度設定をマスターする方法
まずは、素材ごとに最適な温度や注意点を分かりやすく解説します。

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アイロンの温度設定の基本とマークの意味
アイロンには、温度を調整するための設定があり、さらに衣類の洗濯表示には適切な温度を示す「アイロンマーク」が記載されています。このマークは、衣類を傷めないための重要な目安となります。例えば、
1つの点:低温(底面温度120℃までを限度)で、アクリルやポリウレタンなどのデリケートな素材に適しています。
2つの点:中温(底面温度160℃まで限度)で、絹や毛、ナイロン、キュブラ、ポリエステルなどに適しています。
3つの点:高温(底面温度210℃まで限度)で、綿や麻などに適しています。
また、温度表示のないアイロンやマークが見当たらない場合は、まず低温かつ当て布をしてアイロンをかけてみるとよいでしょう。
素材別アイロンの適切な温度と注意点
衣類に使われている素材によって、適切な温度や取り扱い方が異なります。以下に、よく使われる素材の特徴と温度設定の注意点を解説します。
綿(コットン)
高温(180℃~210℃)が適しています。シワが伸びにくい場合はスチームや霧吹きを使用することでシワを伸ばせますが、長時間同じ場所にアイロンを当てると焦げることがあるため注意が必要です。濃色に染められた洋服の場合、アイロンによりテカリがでますので必ず当て布を使用してください。
ポリエステル
中温(140℃~160℃)が推奨されます。ポリエステルは熱に弱いため、高温を当てると溶けてしまう恐れがあります。必ず当て布を使用してください。
絹(シルク)
中温(140℃~160℃)で、優しく扱うことが大切です。アイロンを直接当てるとテカリやシミができることがあるため、当て布をして作業を行うと安全です。
初心者向け! 失敗しないアイロンがけのコツ
初心者がよく直面する問題として、シワがうまく伸びない、焦げ跡がつく、アイロンの動かし方が分からないといった悩みがあります。これらの失敗を防ぐための基本的なポイントを以下に紹介しましょう。
シワを効率よく伸ばすコツ
衣類をアイロン台に平らに置き、アイロンを一定のスピードで動かします。また、軽く湿った状態で作業を行うと、スチーム効果が加わりシワが伸びやすくなります。
焦げ跡を防ぐには
熱が衣類に直接当たりすぎると焦げの原因となります。特にデリケートな素材では当て布を使い、短時間で手早くアイロンを動かすのがポイントです。
初心者におすすめの方法
ワイシャツのような大きなアイテムを扱う場合は、まず襟元から順番に進めると失敗が少なくなります。全体にスチームを当ててから、部分ごとに仕上げると作業が効率的です。
忙しい人必見! 効率的なアイロンがけのポイント
ここでは、スチームアイロンの活用法や、時短につながる便利アイテムも合わせて紹介します。
スチームアイロンを使った簡単時短テクニック
スチームアイロンは、忙しい人にとって非常に便利な道具。特に、シワが頑固な衣類にもスチームの力を利用すれば、短時間でしっかりと伸ばすことが可能です。以下に具体的な使い方を紹介します。

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シワを素早く伸ばすコツ
アイロンを使う前に、衣類全体にスチームを均等に当てると、繊維が柔らかくなり、シワが取りやすくなります。ハンガーにかけた状態で使えるスチームアイロンは特におすすめです。ワイシャツやドレスのような形を保ちたいアイテムにも適しています。
衣類に合わせた工夫
厚手の衣類の場合は、スチームを少し長めに当て、繊維の奥まで蒸気が行き渡るようにすると効果的。一方、薄手の衣類では短時間のスチームで十分なので、無駄な時間を省けます。
失敗しないためのアイロン温度と取り扱いの注意点
アイロンの温度設定を間違えると、衣類が傷ついたり、焦げてしまうこともあります。ここでは、失敗例とその防止策をわかりやすく解説します。アイロンがけの基本を押さえて、衣類を長持ちさせる知識を身につけましょう。

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アイロンで焦げたときの対処法とメンテナンス
アイロンで焦げてしまうと、衣類だけでなくアイロン自体の使用感にも影響を与えます。しかし、適切な対処と日々のメンテナンスで、アイロンを清潔に保つことができます。
焦げた場合の対処法
衣服についた糊によるアイロンの焦げ付きは、冷めた状態で行動することが大切です。湿らせた布巾で拭き取って下さい。落ちにくい場合はお湯で湿らせた布巾で試してください。専用のクリーナーがあれば、それを使用するのも安全です。
メンテナンスのポイント
定期的にアイロンの表面を清掃することで、焦げ付きや汚れを防ぐことができます。また、水タンクには蒸留水を使うと、スチーム孔の詰まりを予防できますよ。メンテナンスを怠らないことで、アイロンの寿命を延ばすだけでなく、作業効率も向上します。
最後に
アイロンがけは、正しい知識を持つことで効率的に行え、衣類を美しく保つことができます。本記事で紹介した基本やコツを実践して、家事の負担を減らしながら、家庭や仕事での印象を向上させましょう。アイロンがけの時間を有効活用し、心地いい生活を手に入れてください。
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