アイロンがけは手間がかかるものの、正しい手順を知れば簡単に仕上げられます! 本記事では、シャツやスーツ、ズボンなどのアイロンがけの基本を創業80余年の歴史を持つ京都発祥の染み抜き・お直し専門店である「きものトータルクリニック吉本」さんにお聞きしました。初心者でもスムーズに進められるコツや時短テクニックを紹介していきましょう。
アイロンをかける前に準備すべきこと
アイロンがけをスムーズに進めるには、事前の準備が大切です。衣類の素材に応じた温度設定やアイロン台の有無、スチーム機能の使い分けを理解すると、仕上がりが格段に向上します。

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衣類の素材に応じた温度設定
アイロンをかける際、衣類の素材に適した温度を選ぶことが大切です。綿や麻は高温でもしっかりシワを伸ばせますが、ウールやポリエステル、絹やレーヨンは中温、アクリルやポリウレタンは低温が適しています。生地によっては高温で傷んだり、テカリが生じることもあるため、アイロンをかける前に衣類のタグを確認し、推奨温度を把握しておくと安心です。
アイロン台がない場合の代替策
アイロン台がない場合でも、厚手のタオルやクッション性のある布を平らな面に敷くことで代用できます。テーブルの上で使う場合は、熱で傷まないよう厚めの布を敷くといいでしょう。
また、ハンガーにかけたままスチームアイロンを使用すると、広範囲のシワを簡単に整えられます。限られた環境でも、工夫次第で効果的なアイロンがけが可能です。
スチームアイロンとドライアイロンの違い
スチームアイロンは、水蒸気の力で繊維をほぐしながらシワを伸ばすため、厚手の生地やしつこいシワに向いています。少し浮かせて使用するとふんわり仕上がります。一方、ドライアイロンは熱と圧力でシワを伸ばします。シワが伸びない場合は霧吹きをしてからアイロンをかけましょう。
アイロンがけの基本手順|シャツ・ズボン・スーツ別のポイント
アイロンがけの効果を高めるには、衣類ごとの特性を理解し、適切な順番で作業を進めることが肝要です。シャツ・ズボン・スーツの仕上がりを美しくするポイントを押さえながら、スムーズなアイロンがけを実践しましょう。
ワイシャツのアイロンがけ|仕上がりを美しくする順番とコツ
ワイシャツのシワを均一に伸ばすには、適切な順番で進めることが肝心です。
一般的には、襟→肩→袖口→袖→右前身頃→後身頃→左身頃の順でかけると、手際よく仕上げられます。
襟
左右の端から中心に向かってアイロンを動かすと、ヨレを防ぎやすくなります。
肩
衿を立てて平らに広げられた部分にアイロンをあてると、しわにならずに綺麗に仕上がります。アイロン台の端にかけて行うといいでしょう。
袖口
左右の端から中心に向かってアイロンを動かしましょう。裏を先にあて、その後表を仕上げます。
袖
袖の縫い目を平らに手でならし、そでぐりからアイロンをかけます。
身頃
ボタンやポケットの周りは、細かい部分から順に仕上げるとスムーズです。
なお、シワが残りやすい部分は、スチームを活用することで整いやすくなります。また、アイロン後にすぐ着るとシワが戻りやすいため、余熱が取れるまでハンガーにかけておくといいでしょう。

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