「なるほど」は相手の話への同意を表現する言葉

「なるほど」は相手の言葉に対して、「そのとおりである」という同意の気持ちを表す感動詞です。
ただし、相手が誰であっても使える相づちではありません。ということで、まずはじめに「なるほど」を使うと失礼にあたる相手について解説します。あわせて一見丁寧に見える「なるほどですね」という言葉の詳細もチェックしましょう。
目上の人には不適切
先述のとおり「なるほど」は相づちの一種ですが、目上の人に対して使うのは適切ではありません。なぜなら、「なるほど」と言葉にしてしまうと、聞き手の立場から相手の話に対して「それは正しい」「それは間違っている」などと評価を下していることになるためです。
結果、目上の人に「見下されている」という印象を与えかねません。
また、「なるほど、素晴らしい」のように肯定的な文脈で使う場合であっても、評価のニュアンスが含まれるので、目上の人への相づちとしては避けたほうがいいとされています。
上司から部下へ、先生から生徒へなど、立場が上の人から下の人へのみ使える表現といえるでしょう。
「なるほどですね」は文法的に誤り
また、昨今よく見かける「なるほど」と「ですね」を組み合わせた「なるほどですね」という表現も、相づちとして使うのは不適切です。
本記事で紹介している「なるほど」は感動詞。要は「まあ」「うん」などと同じカテゴリーですので、これに丁寧語の「です」を付けた「なるほどですね」は、文法的に不自然な表現とされています。
加えて相手を評価するニュアンスを含むことから、丁寧語の「です」をつけても、目上の人には失礼と受け取られることがあるのです。
地域によっては「なるほどですね」に違和感を抱きにくいケースもあるようですが、「間違った言い回しをしていて失礼だ」と感じる人がいるのも事実。ビジネスシーンでの使用は避けたほうがよいでしょう。
「なるほど」の言い換え表現

目上の人への使用が不適切な「なるほど」は、ほかの表現に言い換えるのが適切でしょう。ここでは「なるほど」の言い換えに使える表現として、4つの言葉を紹介します。
それぞれの言い換え表現は異なる意味を持っているため、「なるほど」をどのような意味合いで使っているか明確にした上で、適切なものを選びましょう。
賛同を示す丁寧な表現「おっしゃる通りです」
相手の話や意見に対して「その通りだ」と賛同するときの「なるほど」は、「おっしゃる通りです」と言い換えられます。より丁寧に表現するなら「おっしゃる通りでございます」としてもよいでしょう。
「おっしゃる」とは「言う」の尊敬語です。「言う通り」を丁寧に表現して相手を立てられるため、目上の人やお客様にも問題なく使えます。
ただ、「おっしゃる」で一つの尊敬語ですので、「おっしゃられる通りです」と敬語を重ねないよう注意が必要です。
理解を示す「左様でございます」
「なるほど」を相手の意見に理解を示す目的で使っているなら、「左様でございます」を使用できます。
「左様」は「その通り」という意味の言葉です。これに丁寧語の「ございます」を合わせることで、「その通りです」を丁寧な表現で伝えられます。ビジネスシーンにおいて「そうですね」という意味合いで使える表現です。
かしこまり過ぎずに理解を示す相づちを打ちたい場合は「そうですか」も使えます。
納得したことを伝える「かしこまりました」
指示や依頼を受けたとき、その内容に納得したことを示す目的で「なるほど」を使っているならば「かしこまりました」と言い換えましょう。
「かしこまる」は謹んで承るという意味の言葉です。そこに丁寧語「ます」の過去形「ました」を合わせることで、相手の言葉について理解し引き受けた意を示せます。
そのほか「わかりました」や「承知しました」とも言い換え可能です。
学びへの感謝を示す「勉強になります」
相手の話から新たな学びを得たときの相づちとして用いる「なるほど」は、「勉強になります」とも表現できます。「なるほど」のような評価のニュアンスが含まれておらず、新たな知見を得たことへの感謝のみを示せる言い回しです。
より丁寧な表現がふさわしいシーンでは「学ばせていただきました」「学びが深まりました」を使うとよいでしょう。
用いる際は、何がどのように勉強になったのかを具体的に伝えることも重要です。単に「勉強になります」では社交辞令と捉えられてしまい、かえって失礼な印象を与えることもあります。
ほかにもある!目上の人に不適切な相づち

目上の人に対して失礼にあたる相づちは、「なるほど」だけではありません。評価するニュアンスを含む「参考になります」や、反対や不満な気持ち感じさせる「一理あります」、不真面目な印象の「はいはい」といった相づちも避けたほうが無難です。
ここでは、これらの相づちが不適切といわれる理由と、適切な言い換え表現を見ていきましょう。
上から目線になる「参考になります」
「参考になります」は一見丁寧な言い回しですので、目上の人に対しても問題なく使えそうと思うかもしれません。ただし「参考」とは〝人の考えや意見を自分の考えを決める手がかりにすること〟であるため、相手の意見を評価しているように受け取られかねないのです。
誤解を与えないよう、目上の人には使わないほうがよいでしょう。評価するニュアンスを含まない「勉強になります」への言い換えが適切です。
反対や不満と捉えられる「一理あります」
「一理あります」も丁寧な言い回しで、目上の人にも使える気がしますよね。ただし「一理ある」というのは、相手の意見のうち一定程度のみを認めるときの言い回しで、すべてを受け入れているわけではありません。
場合によっては、「その意見も一理ありますが…」と反対意見を主張するときに使われます。つまり、反対されている、不満を持っている、と受け取られる可能性がある相づちです。
相手の話や意見に賛同を示す「おっしゃる通りです」や、その通りという意味合いの「左様でございます」に言い換えるとよいでしょう。
不真面目な印象を与える「はいはい」
「はいはい」「うんうん」など、同じ言葉を繰り返す相づちは、親しい人同士であれば使うこともあるかもしれません。しかし、目上の人に対して使うと適当で不真面目な印象を与えます。「話を聞いていないな」と判断されることもあるでしょう。
相づちとして使うときには「はい」の1回のみで、決して繰り返さないように心がけてください。肯定する意味合いであれば「おっしゃる通りです」や「左様でございます」、指示や依頼に納得して引き受けるなら「かしこまりました」と言い換えると丁寧です。
まとめ
「なるほど」は目上の人やお客様に使うと失礼にあたるため、「おっしゃる通りです」「左様でございます」「かしこまりました」「勉強になります」といった丁寧な表現に言い換えてください。
このとき「なるほど」をどのような意味で使っているか理解しておくと、適切な言い換えが可能となります。
また、目上の人への使用が不適切な相づちには「参考になります」「一理あります」「はいはい」などもあります。知らず知らずのうちに失礼な言い回しをすることがないよう、しっかりとチェックしておきましょう。
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Domani編集部
Domaniは1997年に小学館から創刊された30代・40代キャリア女性に向けたファッション雑誌。タイトルはイタリア語で「明日」を意味し、同じくイタリア語で「今日」を表す姉妹誌『Oggi』とともに働く女性を応援するコンテンツを発信している。現在 Domaniはデジタルメディアに特化し、「働くママ」に向けた「明日」も楽しむライフスタイルをWEBサイトとSNSで展開。働く自分、家族と過ごす自分、その境目がないほどに忙しい毎日を送るワーキングマザーたちが、効率良くおしゃれも美容も仕事も楽しみ、子供との時間をハッピーに過ごすための多様な情報を、発信力のある個性豊かな人気ママモデルや読者モデル、ファッションのみならずライフスタイルやビジネス・デジタルスキルにも関心が高いエディターたちを通して発信中。
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