アラフォー女子のセカンドハウス物語【FP里香の場合】/story1 | Domani

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2018.11.22

アラフォー女子のセカンドハウス物語/できたてのマイホームにひとりきり【キャリアカウンセラー里香の場合1】

マイホームと別に、自分だけの「セカンドハウス」を見つけたワーキングウーマンの実録ストーリー。今回は、キャリアカウンセラー里香さん(仮名)の1回目。

Text:
南 ゆかり(フリーエディター)
Tags:

story1 できたてのマイホームにひとりきり

Profile
里香さん(45歳)

家族/夫・娘ひとり
職業/キャリアカウンセラー
趣味/美術館めぐり、旅行
住まい/兵庫・神戸(戸建・購入・約70坪・6LDK)
    東京・青山(分譲マンション・50平方メートル・1LDK)

○story1 できたてのマイホームにひとりきり
○story2 賃貸の屈辱からマンション購入へ
○story3 神戸と東京のデュアルライフ

アルバイトの目的は婚活でした

「住む場所に求めることは、地盤のよさ、低層階、気のよさ。ハザードマップや風水をチェックするのは、ひとつの趣味みたいなものです(笑)。そして、本当に好きなもの以外はものを増やさずに暮らすこと。自分の中のこうした基準は、1995年の阪神・淡路大震災を体験したことが根底にあります。すべての価値観を変えてしまった震災。それでも、生まれ育ったこの場所から離れないのは、夫と出会った場所でもあるし、やっぱり海と山のある風景が大好きだから」

15歳年上の現在の夫・信也と出会ったのは、阪神・淡路大震災の1年前。大学を卒業しても就職するつもりがなかった里香は、社会勉強として県庁の事務職バイトを始めた。もちろん社会勉強は建前で、本当の目的は「結婚相手探し」だ。

そのとき、隣の席になったのが信也だった。責任感はひと一倍強くて、いつも夜遅くまで残って仕事をしていた信也。人柄も将来性も申し分ないし、お酒には弱くて飲み会嫌い。里香とも「飲み会を早く終わらせて帰りましょう」というところで意気投合した。何度か一緒に帰るうち、交際が始まって、里香から結婚したい意思を伝えた。それから2か月ほど返事を放っておかれたので「可能性なし」と思っていたところ…。思いがけず信也のほうからプロポーズ。

「こういうのは、ちゃんと男性からさせてほしい」と言いながら、指輪を差し出してくれた。実は、その前年に信也は神戸で土地を購入していて、あとは建物と家族を待つばかりだったのだ。

あれ? 主婦に向いてない?

信也が購入していた土地は、小高い丘の上にあり、坂を下ると海が見えてくる場所だった。買い物エリアや駅周辺の繁華街からは離れているけれど、自然の中で暮らしながら子育てをするには、最高の場所。里香も気に入って、家を建てる話はすぐに進んだ。里香がリクエストしたのは、「窓を大きく」「対面キッチン」くらいで、ほかは「よくわからない」から業者に「お任せ」だった。

結婚を機に県庁でのアルバイトを辞めた里香の、主婦業が始まった。けれど、実家暮らしで料理も掃除もしたことがない箱入り娘だった里香が、主婦としてできることはあまりなかった。

「夫の給料をすべて預かったのはいいけれど、家計の管理というものがまったくできなくて。給料後すぐに20万円のダイニングテーブルを買って、食費がなくなってしまって、次の給料日までどうしよう? というレベル。スーパーでの買い物は、生鮮食品の前で寒さに耐えられず逃げ出すし。料理は苦手で、片付けはもっと苦手だし。それでも信也は一度も怒らないし、私にどうしろと指図することもありません。本当に優しさのかたまりみたいな人で。というのも、自分が果たすべき公務員の任務に、ものすごい責任感でのぞむ人で、ほんとうに命をかけて仕事をしていた。言ってみればそれ以外のことを、気にしたくないという人だったんです」

家事が苦手ならアウトソーシングすればいいし、料理がダメならできあいのものを使えばいい。それが夫婦で出した結論だった。ただ、そうすると里香のほうは一日中時間を持て余してしまう…。

「そうだ、資格を取ろう。時間だけはあるから、テキストを買い込んでどんどん頭に入れて。勉強好きの夫がたまに見てくれて、アドバイスしてくれて、私は彼のこと、“知恵袋”って呼んでました。3か月で宅建(宅地建物取引士)を取って、すぐ後に社労士(社会保険労務士)を取って、順調でしたけど、知恵袋がいないと私、なにもできないんだって、本当に実感したんです。

だから、夫と一緒に山の上の植物園まで歩く時間、近くの牧場で牛乳を買う時間、一緒に勉強する時間、どれも大事にしようと、心に誓いました。それは今でも変わっていません」

そんな幸せな時間を奪ったのが、1995年1月17日早朝の阪神・淡路大震災だった。幸い、家族の命とマイホームは無事だった。けれど、県庁で働く使命感の強い夫は、被災した人たちのために不眠不休で働くことになった。電話も通じなかったので心配だったが、たまに着替えを取りに来たときに、様子を聞くことくらいはできた。車のガソリンも入れられないので、里香は外出もできず、ほぼ4か月間、できたてのマイホームの中でずっと、ひとりで過ごしていた。

寂しいとか、不安とか、そういう気持ちがわいてこなかったのは不思議だった。それより、自らを犠牲にして働く夫にさらに尊敬の気持ちが高まった。一切弱音をはかず、命を懸けて働く夫を思うと、「自分も何かしなくちゃ」という漠然とした思いが募っていった。

story2 賃貸の屈辱からマンション購入へ
へ続く

南 ゆかり

フリーエディター・ライター。10/5発売・後藤真希エッセイ『今の私は』も担当したので、よろしければそちらも読んでくださいね。CanCam.jpでは「インタビュー連載/ゆとり以上バリキャリ未満の女たち」、Oggi誌面では「お金に困らない女になる!」「この人に今、これが聞きたい!」など連載中。

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