Q:円満退社するためのコツは?
答える人/新井千晶(キャリアコンサルタント)
A:強い気持ちと、上司への感謝の気持ちをもって
ある日突然、上司に退職を切り出して、今まで冷静だった上司が激変。相手の感情の高ぶりを見て、「なんてこと言ってしまったんだろう! どうしよう、これでよかったのかな」と不安になる…。こんなケースをよく聞きます。
そんな不安な気持ちのときに、さらに上司は「あなたのやりたい仕事、社内で探すから」とか、「年収アップするから残って!」「一杯飲みに行くか」などと言ってくることも多いものです。
こういう場合、残念ながら、社内に残っても今後社内の昇進の機会はありません。人事の責任者やあなたの上司から「退職予備軍だな」「重要ポジションに就けても途中で投げ出されたりしたら困る」と判断されてしまいます。
だから、退職を切り出すときにはふわふわした気持ちで報告をするのではなく、十分に悩み、考えたうえで、アクションを起こしてください。そして上の例のようなことにならないよう、以下の3つのポイントをおさえてください。
1、退職交渉のスタンスとして最初から最後まで一貫していることが大事です。「一度自分でも考えてみます」ともち帰りをすると、さらに泥沼化していきます。「ご迷惑をおかけしますが、私の気持ちは決まっているので、決定事項と思ってください。気持ちは変わりません」と伝えてください。
2、次の転職先の企業名などは伝える必要はありません。それより、「今の会社ではできない仕事内容である」ことを伝えてください。上司から「それがやりたいのであれば、残念ながら、うちでは用意してあげることができないな」と思ってもらうことが大切です。
3、自分が上司から学んだことをしっかりと伝え、感謝してください。上司からすると、「自分が理由で退職になったわけではない」とわかると、その上にも報告しやすいんです。上司視点を入れて、動いていくといいでしょう。
そのうえで、しっかりと引き継ぎ書を作成。ちょっと古いですが、最終出社日はお菓子などを配りながら、お世話になった方々にご挨拶をすることも大切です。そういったことをちゃんとやっていけば、最終的には円満退社に至っているようです。
もしそれでも円満退社にならなかった場合は…。上司の器が小さかったと思って、退職日まで静かに過ごしましょう。
キャリアコンサルタント
新井千晶(あらい ちあき)
エンワールド・ジャパン株式会社シニアコンサルタント。人材業界で約15年。現在はミドル・シニア層の転職相談やヘッドハンティングをしている。グロービス経営大学院経営学修士(MBA)。プライベートでは30代後半で結婚し、1歳の子どもを育てるワーキングマザー。
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