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WOMANその後の女妻母たちアフターストーリー

2017.10.07

『結婚後に問われるのは“将来に向けての夫婦のビジョン”だった』女妻母~ひと皮むけば誰でも傷だらけのヒロイン~【北薗 愛さん・後編】

秒速で変わりゆく現実や外的要因に、迷い悩みながらも果敢にサーフィンしていくDomani世代の女性たち。そんな働く女性の“今”をキャッチする本誌の巻頭連載がスタートして、早くも5年がたちました。Webでは「その後の女妻母たち」への追跡インタビューを試みます。

Text:
谷畑まゆみ
Tags:

「その後の女妻母たち」への追跡インタビュー。【妻】北薗 愛さん(34歳)の後編をお届けします。

業務での新たな壁、不確かなことに思い悩む日々からの脱却

結婚して、夫と一緒に暮らすようになってから、生活がすっかり落ち着いてきて、私が家で料理をする回数も、少しずつ増えていきました。でも、今年の1月ぐらいから、仕事の業務内容が変わったのを機に、一気に忙しくなってしまったんですね。

これまで担当してきた“業務の改善活動”の場合は、まず上司から目ざすゴールの指示があり、それを具現化するのが任務でした。でも今度は、実現させたい世界という“上位概念”から考えなければならない。業務効率化のためにオペレーションを整えるような小規模な改善は経験してきたので、自分では“やれる”と思っていたんですが、今の現場では自分がうまく機能できていないことにじょじょに気づいてきて。

−−ご自身では、どのあたりがネックだと思われたのですか。

たとえば、“営業生産性を高めるには何をすべきか”“この部署の新人育成ではゴールとすべきところはどこなのか”などの課題をクリアするためには、まず、チームの現状把握や問題把握をすることが必要なのですが、営業は内勤と違って、現場を見る機会が多くもてない。加えて担当する範囲の人数が増えてしまったので、実態を把握するのもなかなか厳しく。

−−つまり、現状や課題の把握が難しい、と。 
それに加えて、私には課題解決の枠組みを考えるための知識も乏しかったんです。指摘してくれたのは直属の女性上司です。うちの社は週に一度面談する制度があり、そこで仕事のフィードバックも受けるんですが、最初は「全然できてないよ」とその上司にバッサリ言われて「えっ!?」と衝撃を受けまして。

でも当初は、自分は何ができていないのか、まったく理解できなかったんですよ。たぶん、腑に落ちない表情で聞いていたと思います。“もっとわかりやすく言ってくれたらいいのに”とさえ思っていました。しかし、その後も毎回同じことを指摘される。上司もよく根気強く話してくれたと思います。その中でじょじょに、自分の思考にクセがあることが理解できたり、問題解決という仕事を体系的に理解していなかったことにも、思い至るんですね。 そこまで納得して初めて、今、壁にぶちあたっているのは、これまで培ってきた経験や知識の延長線上でできる仕事ではないからなんだと。

今、求められているのは、新しい知識を自ら吸収して、それをもとにゼロベースから展開していくことなんだと、ようやく役割目的を理解できたわけです。 社内のマネージャー研修で勧められた『トヨタ式A3プロセスで仕事改革 ―A3用紙1枚で人を育て、組織を動かす』[ジョン・シュック(著)、成沢俊子(訳) 日刊工業新聞社]という本も、とても参考になりました。知識を得て初めて上司の言葉が理解でき、同じレベルで話すことが可能になるところまでたどりつきました。上司には“この能力は一年やらないと身につかない”と言われているので、もう、がむしゃらにやり続けるしかないなと思っています。

−−少し出口が見えてきたんですね。

それが実はもうひとつ、気がかりなことがあったんです。上司には「本当に統括マネージャーをやりたいんだったら、もうちょっと腹をくくりなさい」と言われました。腹がくくれないなら、別の道もあるんだよ、と。 そのときもうひとつ心の中にあったのは、ゆくゆくは夫の故郷に帰るという“将来に向けての夫婦のビジョン”が、結婚後に濃厚になってきたこと…。

夫は地方出身で、いずれは地元に帰りたいという考えは、彼から聞いていました。でも私の中にはそれまで、会社を辞めるという選択肢はまったくなかったので、自分でもまだ気持ちの整理がついていなかったし、おまけに新しい業務に対しても理解が進んでいなかった。そこを上司に見抜かれたのだと思います。

−−そのことについて、ご夫婦でお話はされましたか。

「上の人にこんなことを言われたんだけど」と素直に話してみました。「私としてはせっかくもらえた機会なので、やっていきたいなと思っているんだけれども」と。そうしたら向こうも「帰る時期はいつでもいいんじゃない。やりたいんだったら、全力でやりなさいよ」と背中を押してくれました。その言葉を聞いて、“よし、それだったら心を落ち着けて取り組もう”と(笑)、気持ちが少し軽くなったんです。

不確かなことに対して、もやもや悩んでいてもしょうがないなという思いがありながらも、悩んでしまっていた、みたいな感じでしたね。もやもやの半分は解消されたのですが、それでもまだちょっとした崖っぷちではあります。役割に対しての期待に応えきれていないので。今はまず、仕事における目の前の課題解決から。日々、あがいている感じです。

自分にとっての理想、幸せな状態とは…?

−−さまざまな感情と選択肢があるからこそ揺れてしまうし、答えを出すのは難しいですよね。そんな中で今改めて思う、“こうなったらいいな”というご自身にとっての理想の状態を教えてください。

仕事でいうと、まずは今の役割をまっとうできるようになること。現場の人たちが「この仕事、やっててよかったよね」と思えるような、やりがいまでもたらすことができたら。「仕事が楽しい」と思えるメンバーがひとりでも増えていってほしいんです。

夫婦間では“子供はいつどうする?”という話もあるんですが、忙しいのを理由に、ふたりとも先送りにしているんですよね。実はまだ新婚旅行もこれからなんです。子供は旅行のあとにしようね、と話していて。でも平日はじっくり会話をするゆとりもなく、土日は疲れを癒したかったり、共通の趣味のボルダリングに行ったり。夫との時間が楽しいので、それを今はまだ、満喫していたい気もしますし…。

振り返ると今は、仕事ですべきことが多くなったうえに、家でもすべきことが増えているんですよね。それでキャパがいっぱいいっぱいなのかもしれません。 独身のときって、仕事軸さえ整理できていれば、心の中もすーっとしていたんですけれども、今はそうもいかないという。

昔、仕事をゲームにたとえて“仕事は達成感のある成長機会だ”なんて言ってましたが、今は仕事面では「もうなんかずっとこの5面をやっている」ような停滞感はあります。さんざん時間をかけて、やっと1面クリアしたな〜、みたいな(笑)。まだ自分の中で“こうだ!”という答えが出ていないのですが、悩みながらも、それでも、前進していきたいなと思っています。

オフィスのフリースペースで、ほっとひと息中の北薗さん。

インタビュー掲載号:2015年Domani6月号「女の時間割」
撮影時スタッフ:撮影/生田祐介(f-me)ヘア&メーク/坂口勝俊(HAIR DIMENSION)


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