【お悩み】なかなか言葉が出てこない子どもの将来が心配です
おとなしくて、思っていることをなかなか言葉にできない息子。成長に個人差があるのはわかっているけれど、このままコミュニケーションが苦手な子になってしまわないか、不安です。(39歳・子ども3歳/男、0歳/女)
【Dr.アグネス・チャンの答え】子どもの代わりに、あなたが答えてない?
あなたは息子さんと、どんなコミュニケーションをとっていますか?親がしゃべりすぎて息子さんにしゃべる余裕を与えていないかもしれないし、だれかが息子さんに声をかけたとき、あなたが息子さんの代わりに答えてしまっているかもしれない。私は大学で教えたりすることもありますが、大学生でもいるんですよ、親御さんが子どもの代わりに「○○だよね?」と答えてしまうこと(苦笑)。もしあなたにもそういう傾向があるのなら、それは、子どもが答えるまで根気よく待ちましょう。子どもによっては考える時間が必要です。
「何食べたい? ○○と△△があるけど、どうする?」と聞いてしばらく答えがなければ、子どもが「恥ずかしい」と思わないように、「洗濯物をたたんでくるね」といったんその会話から離れ、戻ってきてからまた同じ質問をする。そうすれば答えは返ってくるし、次回はもう少し早くなります。そして子どもの答えに対して「ママ、教えてくれて助かったよ」と伝えることが彼らの励みになります。
でも、コミュニケーションをとらないもうひとつの可能性は、子どもに話す内容がないということです。規則正しく変化のない生活を送っていて「面白い」と感じることがないからしゃべらない。私だって一日中家で原稿を書いている日などは、ブログを書こうにもネタがなくて、「今日はミルクティーを飲みました」みたいなことになってしまいますから(苦笑)。毎日楽しいことを見せたり、面白い体験をさせれば、話す意欲はきっと高くなります。
会話をさせて、わが子の話に耳を傾けましょう。話すのが苦手で静かな子もいるし、答えを見つけるのに時間がかかる子もいます。でも、肝心なときに言いたいことをいえるようにしておかないと、学校や社会でも「この子はわかっていない」と誤解されてしまいがち。最低限のコミュニケーション力を鍛えるのは家庭の責任だと思います。
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撮影/田中麻以 構成/酒井亜希子(スタッフ・オン)
アグネス・チャン著
定価:1,400円(税抜)
発売元:小学館
教えてくれたのは…
アグネス・チャン
歌手・エッセイスト・教育学博士/ 1955年、香港生まれ。1970年代より日本で歌手として活躍し、上智大学国際学部を経て、カナダのトロント大学(社会児童心理学)を卒業。1989年、アメリカのスタンフォード大学教育学部博士課程に留学し、1994年に教育学博士号を取得。長男、次男、三男も母校スタンフォード大学に合格して話題となる。現在、ユニセフ・アジア親善大使、日本対がん協会ほほえみ大使など芸能活動のみならず幅広く活躍。2018年春の叙勲で旭日小授章を受章。2019年4月出版の著書『未知に勝つ子育て:AI時代への準備』(小学館)には、AI時代の家庭教育のヒントが満載!