離婚後に再婚。セックスレスも解消
離婚をしたものの、夫が改心、再び入籍しセックスレスを解消したエピソードを紹介します。
セックスレスと離婚のリアル:知佳さんの場合
【取材データ】
知佳さん(43歳)。コミュニケーション学のセミナー講師。大好きで結婚した夫のモラハラに耐えられず離婚するも、離婚後彼が改心し再び入籍。その後は夫に不満もなく夫婦円満な結婚生活を送っている。子どもは居ない。
モラハラが酷い夫Fさんと離婚をしたことで、お互いの距離感がちょうどよくなりFさんのモラハラがなくなったという知佳さん。
知佳さん「そうなんです。離婚した意味は、ふたりが仲良くなったってことだけ」
元々お互い嫌いになって別れたわけでなかったし、籍を抜いたことでFさんのモラハラも治ってしまった。だけど再び結婚したら、また夫のモラハラが始まるかもしれない…。そう思いながら2年ほど半同棲を続けたふたり。
知佳さん「結局、『このままダラダラ付き合っていても仕方ないね』ということになって。彼も完全に変わってモラハラの兆候もなくなったので、離婚して2年で彼と再婚しました」
その頃には知佳さんも勉強して資格を取り、バイトを辞めてコミュニケーション関連のセミナー講師に。やりたかった仕事に就いたことで前回結婚していたときは夫に集中していたエネルギーが上手く分散され、ちょうどいい距離感で一緒に居られるようになったそう。
そして再婚して変わったことがもうひとつあります。それは長年のセックスレスが改善されたこと! ―なぜ「!」で強調したのかというと、セックスレスに悩み、しかもそれを放置しているカップルが日本ではあまりにも多すぎるから。
お互い合意の上なら問題ありませんが、どちらかが不満を抱えつつ、大事なコミュニケーション手段であるセックスをないがしろにしているのは、すごく不自然で不健全なのではないでしょうか。たくさんのカップルが悩んでいるセックスレスが、どのように解消されたのかぜひとも知りたいところです。
知佳さん「1回目の結婚のときは、同棲していたときからすでにレス気味だったんです。月に1回あるかないか。だけどあるとき、脳科学者の方と夫婦で話す機会があったんです。その方が、セックスを定期的にした方が心身の健康にも脳にもいいって話してたんです。『セックスを歯磨きみたいに習慣にしてしまいなさい。週2回とか回数を決めてやればいいんです』って」
セックスとはお互いの気持ちやムードが盛り上がってするもの、と思っていた知佳さんにとって、これは目からウロコのアドバイス。「ムードとか情熱とかいらないから」と言われたそうです。確かに、結婚して夫婦になるといまさらムード作りとか難しくて、するタイミングを逸してしまうのがレスになる最大の要因(恐らく大半のカップルは)! そして旦那さんも、心身の健康にいいならするか、と納得してセックスに乗り気になったそう。
知佳さん「アドバイスに従って習慣のようにしたら、全然問題なく出来たんですよね。今までレスだったのは何だったんだろう、っていうくらいに(笑)」
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セックスレスの末離婚。慰謝料どころかマンションも車も夫に譲渡
キャリアを積んで離婚し、マンションも車も元夫に譲ったというケースも。
セックスレスと離婚のリアル:香さんの場合
【取材データ】
香さん(仮名)、45歳。外資系の某華やか系職業に就き、仕事もプライベートもリア充。イケメン夫と結婚したけれど、転職後彼より稼ぐようになってしまってから夫婦関係は悪化。レスな上に愚痴ばかりの夫に愛想をつかして離婚し、現在は既婚者男性と交際中。
結婚当初はお互い日本企業に勤めていて夫の方が稼いでいたけれど、結婚後に香さんが某有名外資系企業の花形職業に転職し、程なくして収入が逆転。さらにマンションを買うとき、夫婦の収入格差が明らかに。この頃からTさんは毎晩家でお酒を飲みながら会社や上司の愚痴ばかり言うようになります。
香さん「彼も2回転職したんですが、それが明らかに私のキャリアに競っているような感じで。彼は私に対抗して『俺も外資系に転職する』って口では言うけど、英語が出来ない。子供の頃アメリカに住んでいた帰国子女の私に『お前はいいよな』ってグチグチ絡んだりして…。だけど英語の勉強をするわけでもない。段々、夫と妻というよりもコンペティター(競争相手)みたいな関係性になっちゃったですよね」
その頃、仕事が楽しくて仕方なかった香さんは、「子供は35歳くらいまでいらないかな」と思っていたそう。そして結婚してから徐々にセックスレスになったこともあり、32歳くらいからは年に一回夏に夫婦で行く沖縄旅行のときだけにするという、「セックスが沖縄限定の季節行事」化。
香さん「35歳になったとき、子供が欲しくなったんです。それで彼に伝えたら、『お前は靴が欲しいとかバッグが欲しいみたいな感覚で子供を欲しがってる』って批判されました。そのままセックスレス状態は変わらないし、沖縄に行ったときにすらしないようになっちゃって」
家に帰っても悪態しかつかない夫とふたり。仕事は充実しているし昇進もして偉くなってしまい、会食も多かった香さんは、そこからタガが外れたように遊びまくり始めます。
香さん「家に帰っても面白くない。人の悪口ばかり言ってる夫を見て、『いらないな』って思いました」
自分よりも稼ぎが悪く、いつも仕事のグチばかり。しかもレス!そんな夫に嫌気をさし、40歳目前に離婚に踏み切った香さん。離婚に際し、夫はふたりで購入したマンションや車も自分のものだと主張しだし、男前な香さんは「めんどくさいから」すべて彼に渡して貯金も3割しかもらわなかったそう。
もったいないし悔しい話ではありますが、誰もが知っている一流外資会社で役職もついていた香さんはストックオプションでまとまったお金があったため、離婚してすぐに都内の人気住宅街に広めの中古マンションを購入します。
香さん「離婚前から実家に戻っていたんですが、その生活がすごく快適で。毎晩飲み歩いても文句を言われなかったんだけどある日ついに『門限を2時にします』って宣言されて(苦笑)。別れて1年経ったころに母から『1年経ちましたけど。そろそろ出てってくれない?』って言われたんです。借りるよりも購入して月々ローンを払う方が断然安かったのでマンションを買うことにしました」
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セックスレスで離婚する?離婚しない?そもそも離婚の理由になる?弁護士に聞いてみました
Q.出産後レス状態が続いています。どれくらいの頻度であればレスでの離婚って認められるのでしょうか?(アパレル勤務・34歳・3歳の男の子のママ)
A.「協議離婚や調停離婚であればセックスレスが離婚の理由になることもあるでしょうが、離婚裁判となった場合には、セックスレスもDVも、そのこと自体より、それらが夫婦の婚姻関係の破綻の原因になっているかどうかが焦点となります。
結論から言うと、セックスレスが不仲の要因となっているケースは多々見られるものの、レス=離婚という直接の原因にはなりません。なぜなら例えばお子さんがいる場合、夫婦がセックスレスの状態にあるとしても両親としては依然として扶養義務があり、家族である以上は、それのみが原因で夫婦仲が破綻しているとは見ることはできないからです。
ですから、頻度や、しなくなった理由などを裁判で主張することにはあまり直接的な意味はないと言えます。夫婦や家族には様々な形があり,そこには様々な価値観が介在しています。たとえ性的交渉が無くとも仲睦まじく幸せに生活されていらっしゃる夫婦も多く存在しますよね。覚えておいていただきたいのは、離婚の裁判というのは、夫婦という重大な身分関係を裁判所が強制的に分断させるという、非常に強力な効果を及ぼすものだということです。そのような強烈な効果を及ぼす程の判断を裁判所がするためには、当然、それ相応の理由が必要になってくるのです。単なる離婚したいという願望や個人的価値観のみで離婚の判決を得られるほど甘くはありません。」(中川先生)
お悩みに回答してくれたのは・・・
中川裕一郎先生
弁護士。東京中川法律事務所経営。https://tokyo-nakagawa.com
商社勤務時代にバックパッカー旅行に飛び出し、世界中を回ってみつけた、弁護士となって社会的正義を守るという生涯の目標のため、紛争を未然に防止し、目の前の依頼者を笑顔にするために日々奮闘中。親身になってアドバイスをくれる人情派弁護士として、依頼者たちからの信頼も篤い。
インタビュー・文
さかいもゆる
出版社勤務を経て、フリーランスライターに転身。女性誌を中心に、海外セレブ情報からファッションまで幅広いジャンルを手掛ける。著書に「やせたければお尻を鍛えなさい」(講談社刊)。講談社mi-mollet「セレブ胸キュン通信」で連載中。Web Domaniの連載「バツイチわらしべ長者」で様々なバツイチたちの人生を紹介している。withオンラインの恋愛コラム「教えて!バツイチ先生」では、アラサーの婚活女子たちからの共感を得ている。
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