週3日出勤、2日はリモート作業。ただし全力で仕事に向かいます!
●PROFILE
えみさん・37歳・東京都大田区在住
人材コンサルティング会社勤務 キャリアコンサルタント
6歳(女児)、4歳(男児)の母
○前編:「俺と仕事、どっちが好きなんだ?」婚約中に彼に言われて…
リモートワークは信頼感があってこそ
東京で企業組織のコンサルティング会社を始めたかつての職場の大先輩から、「仕事、手伝ってもらえないかな。もちろん、広島からのリモートでかまわないから」というオファーがあったのは、ひとりめの子どもが生まれて半年後でした。自分を必要としてくれる人がいる、それだけで感謝の気持ちがわいてくるというもの。仕事内容は、資料を作成したり、データを整理したり。リモートワークは、お互いの顔が見えにくく、やりにくい点もあるとよく聞きます。私の場合、離れているからこそ業務を可視化しつつ、よくコミュニケーショをとることで、思いの外スムーズに進みました。
たとえば、「○~○時は子どもの寝かしつけの時間なので、作業できません」「今、何の作業をしていて、いつまでに終わる」といったこちらの状況を、仕事相手にわかりやすく伝える努力です。そして何より、お互いの信頼関係があることが大前提。先輩が起業する前から、セミナーがあれば自費で遠征して聞きに行ったりしていたことは、ムダではなかったと実感しました。
ただ、フルタイム勤務ではないこともあって、娘の保育園入園はかないませんでした。かといって、仕事中にベビーシッターを頼むのも「そこまで自分は仕事してないし」という、割り切れない感じもある。なんともいえないモヤモヤを抱えていたとき、先輩から「キャリアコンサルタントの資格を取ってみたら」と言われたのです。「きっと、何か見えるものがあるんじゃないかな」というアドバイスは、そのときはフワっとしていたけれど…。確かに資格取得は、その後の私の道しるべとなってくれました。そして提案してくれた先輩には、感謝してもしきれません。
朝4時に起きて7時に出勤
キャリアコンサルタントの勉強は大変だったけれど、資格取得の過程で、もうひとつ気づいたことがありました。人の進路の相談に乗るキャリアコンサルタントは、仕事だけでなく生活や生き方全般にわたります。私のようにキャリアプランに迷う人、限られた時間でどう育児や介護と両立していくか悩んでいる人…。それは女性ばかりでなく男性も同じ。そして、まさに私自身がずっと悩み、考えてきたこと。転職相談に来る人の聞き役になり、寄り添える体験の引き出しがあることは、コンサルタントとして大きな強みになるとわかったのです。
その後、正社員として再就職したのは、自分自身の「居心地がいい」環境とマッチしたから。
知人から紹介された会社で面接を受けたとき、上の子が幼稚園、下の子は区の保育園で一時保育利用という、まだまだ手のかかる状況でした。そこで、「週3日は出勤できますが、あと2日はリモート作業になります」と正直に伝えました。それでも大丈夫でしょうか、と。すべて正直に、自分が「心地いい」と思える働き方を伝え、ただし働く時間は「全力で仕事に向かいます!」と宣言しました。
転職先では、私のようなケースはなかったけれど、「チャレンジしてみましょう」と言ってくれたのです。ただ、「日本を元気にしたい!」「頑張っている人、働きたくても働けない人を助けたい!」とアツく語りすぎてしまって。「こんな熱い人、久しぶりに会った」と驚かれました(笑)。
働くことは何かを犠牲にすることではありません。ワーママだけでなく、介護に向き合うパパ、シニア、外国籍の人、それぞれの能力があって、それぞれの「心地よい」仕事や職場があるはず。私自身がそれを模索しながら、相談者に適材適所を提案する。そんな今の仕事に、やりがいを感じています。
そして何より、これを実現させてくれた先輩はじめ周囲の人たち、応援してくれる子どもたちには、心底感謝しています。
今の私は…。朝4時に起きてお弁当をつくり、家事をして。社内でもいちばんの朝型推進者で、たぶん元気な人トップ層(笑)。ふだんは幼稚園のお迎え時間にあわせて帰り、仕事関係者には「3時から7時は子育てゴールデンタイムなので、電話もつながりにくいかもしれません」とあらかじめ伝えておきます。その代わり、仕事時間は100%力を注ぐ。電車の移動時間もムダにできないし、ランチタイムだって相談者との面談で予定を埋めます。そして夜は子どもたちと一緒に早めにベッドへ。朝型になってからはカゼをひかなくなったし、何より効率がよくなりました。朝型生活、おすすめですよ!
●ワーママ転職成功の法則
1、自分のできることを見つけて自己肯定感を高める
2、勤務状況や仕事の進捗など、周囲がわかるように伝えておく
3、無理をせず、持続可能な「心地よい」状態をつくって働く
南 ゆかり
フリーエディター・ライター。半年にわたって取材・執筆した書籍『真夏も雪の日もかき氷おかわり!』発売中! ほかにOggi誌面「お金に困らない女になる!」「この人に今、これが聞きたい!」などなど連載中。