わが家では、子どもたちが12歳になるまでは、家の中ではほとんどテレビを見せませんでした。テレビのように一方的に情報を受け取るものではなく、家では、子どもたちが実際に手に取って遊べるもので遊ばせることにしました。その中でおすすめのものを紹介します。
達成感を味わいたくて夢中になる
おすすめ1:ジグソーパズル
1つ目は、ジグソーパズルです。長男が1歳の頃の公文式では、「3歳までに100ピースのジグソーパズルができたら東大に行ける」と言われていました。今はもう言われていないようですが、それを聞いたとき、とりあえず100ピースのジグソーパズルを買ってみました。
息子はまだ1歳で幼かったので、私も一緒にやりましたが、ジグソーパズルというのは、1つのピースを指でつまんで狭いところにはめ込むので、指を使った機能を発達させると思いました。
ジグソーパズルで遊ぶことを、能力開発に結びつける気はさらさらなくて、子どもが楽しく遊べたらいいと思ってやらせたのですが、長男はジグソーパズルに熱中して、3歳までに100ピースのジグソーパズルを完成させました。
同じ100ピースのジグソーパズルでも、絵が空や海だと難しかったと思うのですが、電車やバスなどの乗り物のパズルだったので、本当に楽しそうにやっていました。
根気強く取り組み、最後のピースをプチッとはめ込むときの達成感はひとしおです。「この作品を作った!」という達成感を味わいたくて、夢中になるんでしょうね。
わが家の長男も、一度できたら終わりではなくて、できたものを崩して、何回もやっていました。一度やったものは、次にやるときに少しずつ早くできるようになることも、うれしかったんでしょう。下の子が次々と生まれて、1人で子どもたちを連れて外に出かけるのが大変なときには、家でジグソーパズルをさせることが多かったですね。
お手軽に子どもに達成感を与えられるツールとして、ジグソーパズルはおすすめです。指先が器用になるし、根気や集中力もつくと思います。
子どもたちのそれぞれの個性が出る遊び
おすすめ2:トランプ
トランプもよくやりました。私と子ども4人だと5人になるので、トランプは盛り上がりました。家族旅行に行くときには、トランプとUNOは必ず持って行きました。
子どもたちが小さいときには、定番の神経衰弱、ババ抜き、七並べ、ポーカーなどをよくやりました。
とくに、神経衰弱はよくやりました。神経衰弱は、楽しみながら記憶力を鍛えることができます。1セットを5人でやるとすぐに終わってしまうので、同じトランプを2セット使い、100枚以上にしていました。
トランプをすると、勝負事に勝つためにはどうしたらいいかを考えるし、さまざまな感情も育てると思います。子どもたちそれぞれの性格が出るのも面白かったです。
次男は神経衰弱のとき、何かでトランプのほうに風を送り、トランプを浮かして見ようとして、兄と弟に「そんなことするのはおかしいだろ」って言われていました。
私がうまくとれなかったときに、息子たちは「ママはすぐ忘れるよね。ボケてない?」と憎まれ口をたたくのですが、娘は優しいので、4歳頃からは、小声で「あそこ、あそこ」とこっそり教えてくれました。
ババ抜きをしたときにも、子どもたちの性格が出ました。ババをひかれるときに、ポーカーフェイスの子もいれば、ついうれしそうな表情になる子もいました。
三男はとくにトランプが好きで、灘中に通うようになってからは、学校にトランプを持って行っていました。4、5箱は通学用のリュックに入れていました。学校では大貧民をやっていたみたいですね。
おすすめ3:工作/折り紙
折り紙や工作も、本を買ってよくやりました。折り紙と工作の本はたくさん出ていますので、何冊も買って、ボロボロになるまで使いました。
長男が1歳半頃、『工作図鑑』という厚めの本を買って、それを見ながら、1ページめから順番どおりに作ることにしました。行き当たりばったりで工作するのも、それはそれで楽しいのですが、1ページ目から順番に作っていくと、問題集をはじめからすませていくような感じで達成感が持てて楽しいのです。
このような本は、簡単なものからだんだん難しいものへと順に並んでいることが多いので、順番どおりだとやりやすいのです。
最初は私がほとんど作っていましたが、だんだん子どもに任せられるようになって、子どももどんどん楽しくなっていったようです。本のとおりに出来上がるので楽しかったですよ。
工作の材料になる牛乳パックやペットボトル、卵のパッケージ、ラップフィルムの芯などは捨てずに、いつでも工作ができるようためていました。割り箸にゴムをグルグル巻きつけて、輪ゴムを飛ばすゴム鉄砲のようなものも作りました。作ったらすぐに遊べるので、子どもたちは自分が作ったおもちゃで夢中になって遊んでいましたね。これは驚くほど、よく考えられていて、簡単に作れるのにしっかりしていて、かなり遊べました。
折り紙や工作は簡単なものから順番に作るのがコツ
工作の本に出てくる作品は絵なので、いわば平面です。実際に本のとおりに作ると、絵が立体的になり、リアルに目の前に現れます。これが工作の醍醐味でしょうか。出来上がるたびに「やった〜」と子どもたちは大喜びしていました。
折り紙や工作は、1つ完成すると達成感があり、次のものにチャレンジしたくなるので、簡単なものから順番に作るのがコツです。
とくに順番を気にしなくてもいいのですが、折り紙や工作の本は、はじめのページは簡単な物でも、ページを少し飛ばすだけで急に難易度が上がります。そうなると、子どもも親もお手上げ状態になって、「もうや〜めた」となってしまいます。順番にコツをつかみながら難易度を上げると、かなり難しいものにも挑戦できるようになるのです。
問題集と同じだと思うのですが、工作が少しずつ難しくなっていくので、1個できるたびに達成感があったようです。子どもたちにとっては征服していくような感覚があったようで、みんなで工作を楽しみました。
写真/(C)Shutterstock.com
「東大理Ⅲに合格した3男1女」の母
佐藤 亮子
大分県出身。津田塾大学卒業。大分県内の私立高校で英語教師として勤務。結婚後、夫の勤務先の奈良県に移り、専業主婦に。長男、次男、三男、長女の4人の子どもを育てる。長男、次男、三男は灘中学・高等学校を経て、東京大学理科Ⅲ類に進学。長女は洛南中学・高等学校を経て、東京大学理科Ⅲ類に進学。現在、長男と次男は医師として活躍。三男と長女は東大医学部の学生。その育児法、教育法に注目が集まり、全国で講演を行う。著書に『3歳までに絶対やるべき幼児教育 頭のいい子に育てる』がある。
東洋経済オンライン
東洋経済オンラインは、独自に取材した経済関連ニュースを中心とした情報配信プラットフォームです。