N.Y.をひとつにするコロナで生まれた新しいトレンド
大半の市民が自宅隔離を守っているおかげか、ここ数日感染者のカーブがなだらかになってきているN.Y.。みんながこのまま「Quarantine(伝染病予防のための隔離)」を続けていけば、いつかはコロナとの闘いに勝てると信じています。そして、夜7時になると窓を開け、ウィルスとの死闘を続ける最前線のドクターや看護師、その他危険に身をさらして働いている人々に拍手とエールを送るのです。
このムーブメントは、#ClapBecauseWeCare と呼ばれてSNS上で広がっているもの。日に日にその声援は大きくなり、今では街中に響くようになりました。物理的な距離は遠くても「Clap」に参加することで、隣人や友人たちとの心の距離がぐっと縮まり、自分も戦うN.Y.の一部になれる。みんながひとつになって励まされる貴重な時間です。
耳慣れなかった単語や新英語が日常のものに
こんな風に、今まであまり使わなかった言葉を毎日使うようになり、新しい言葉が次々と生まれています。
まさか「Quarantine(伝染病予防のための隔離)」という言葉が、自分の生活に実際に関わってくるなんて、2か月前までは予想だにしていませんでした。あっという間にアメリカ全土に感染が拡大た3月以降、「Quarantine」という言葉を聞かない日はありません。
また、各州が外出禁止令を実施してから、少しでもこのお籠り生活をエンジョイしようと、さまざまなアイディアが #quarantinandchill、#Quarantinlife などのタグ付きでインスタグラム上で紹介されています。音楽や映画などのカルチャー情報、エクササイズや料理、メイクアップなどのhow toなど多岐にわたってポストされていて、中には真似したくなるものや、驚かされてしまうものも。限られた自宅という空間の中で、どれだけクリエイティビティを発揮できるか? 誰もが挑戦できるSNS上の新たな“お題”となって沢山のアイディアが紹介されています。
感染防止のため、人と6フィート(1.8m)の距離を保つこと=「Social Distancing」 も、俄かに日々口にするようになった単語です。当初、多くのアメリカ人がハグや握手を禁じられることに戸惑ったものの、今はきちんと守られています。ついいつもの習慣でハグをしそうになった時、どちらかが「Social Distancing!」と叫んで相手を制止するシーンもよく見かけます。
すっかり「Social Distancing」に慣れてきて、入店街の列も読書や音楽鑑賞で時間を有意義に使う人々の姿が。相変わらずどのスーパーも30分から1時間の待ち時間となっています。
また、新型コロナ流行でアメリカ全土で急浮上したのがマスクの需要。もともとアメリカ人はマスク(英語では、Face Mask)をする習慣がないので、すぐにみんなが買いに走ったのは、工事現場で用いられている微粒子用のマスク「N95」。現在DIYストアの入口には「No more N95」の紙が貼られ、すでに市内では入手は困難です。そして、N.Y.では、マスクよりも感染防止ギアとして普及するのが早かったゴム手袋も品薄。お皿洗い用のゴム手袋を流用している人も少なからず見かけます。
ファッション・トレンドのスペシャリストクリスティンさんは手づくりでコロナ・フェイス・シェイドELECTRIC STARSを開発。近々ウェブサイトで販売予定。
一時閉店していたスターバックスもオーダーピックアップサービスのみでオープンし、N.Y.の人々の心の拠り所になっています。恐竜の着ぐるみは、お店の呼び込みではなくコロナ防止のためにハロウィーンの仮装を再利用(!?)して着用しているのだそう。
まだまだ状況は楽観視できませんが、ユーモアを持ってこの状況を乗り切ろうという心意気が、私たちを勇気づけてくれます。
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高久純子
ファッション雑誌編集者を経て渡米。N.Y.をベースにファッション、ライフスタイルビジネスのコンサルティングを手掛ける。12歳の男の子のママでもある。Instagram:@junko901nyc